2008年 05月 07日
(産経 2008/5/6) 「他国との関係でいかなる指図も受けない」。インド外務省が4月22日に出したコメントは異例だった。 怒気を帯びたこのメッセージを向けられた相手国というのが、インドの仮想敵国・中国ではなく、自由と民主主義の同じ価値観を持つ米国だったのである。 核開発問題で米国と対立するイランのアフマディネジャド大統領が同29日にインドを訪問するのを前に、米国務省報道官が「インドはイランに対し、国際社会で責任ある行動を取るよう求めるべきだ」と発言したことへの回答だった。 このコメントがニューデリーの外交団で話題となったのは、インドの自主外交を侵害した米国への単なる抗議の意味合いとしてではなく、インドの対外政策の潮流の変化を表すものとして注目されたためである。 ◇ インドを訪れたアフマディネジャド大統領とシン印首相の会談は、予定の2時間を超えた。主要議題は、イランからパキスタン経由でインドに至る天然ガスパイプライン事業だった。 1989年に提唱された懸案の事業で、パキスタンに支払う通過料についてインドが難色を示していた。 しかし会談後の会見で、アフマディネジャド大統領は「ほどなく最終合意できるだろう」と満面に笑みをたたえた。ブッシュ米政権が「イランの核開発資金となる」と懸念していたガスパイプライン事業が、インドの譲歩により実現に向けて動き出したのである。 イランの核開発をめぐってはこれまで、国際原子力機関(IAEA)などで米国の要請を受け、イラン非難で足並みをそろえていたインドが“変心”した最大の理由は、高度成長を支えるエネルギー問題だ。 インドでは2030年の1次エネルギー総需要が05年の消費量の倍以上と見込まれており、現在、中国などと猛烈な資源獲得競争を繰り広げている。インドの原子力発電の拡大に不可欠な米印原子力協力協定はしかし、シン政権に閣外協力する左翼政党の反対で発効のメドが立たず、タイムリミットが迫っていた。 ここでイランが打った手が絶妙だった。 ◇ 米国の包囲網形成を阻止したいイランは、アフマディネジャド大統領の外遊の前にチャイナカードを切ったのである。「ガスパイプライン事業に中国も参加を望んでいる-」。焦るインドにはこれで十分だった。 政策研究センター(ニューデリー)の安全保障問題専門家、バーラット・カーナド氏はこう指摘する。「インドが手を伸ばさなければ、中国に奪い取られるだろう。資源争いはゼロサムゲームなのだ。民主主義は関係ない」 インドは4月初めにも、ミャンマー政府と同国西部の港湾開発で合意した。米欧が民主化運動弾圧を非難するミャンマーに対し、その資源確保をにらんで中国同様、支援強化に乗り出したと受け止められている。 親インド的だったブッシュ大統領が政権末期を迎えるにつれ、独自色を強め始めたインド外交が国際社会に投じる波紋は小さくない。 2007年 12月 28日
謙虚さと笑顔を大切に/国の急成長で傲慢になるな 桐蔭横浜大学法学部教授 ペマ・ギャルポ ■AMDA会議が成功裡に閉幕 この度、AMDA(特定非営利活動法人アムダ)インターナショナルの国際会議に出席するため一週間ほどインドへ出張した。アジアの十五カ国から三十一名の緊急医療に携わる人々が、アジアでの自然災害発生時に、どのように迅速かつ効果的な救済活動ができるかというテーマとそのためのネットワークについて熱心に語りあった。 また、ガンジーアシュラム再建財団よりAMDA創立者の菅波茂代表にガンジー人道賞が贈られたほか、パティル大統領からもお祝いの花束をいただき、医療関係者の貢献を称え激励された。大会そのものは成功裡に閉会した。 私は大会期間中インドの変化について光と影の要素をつぶさに観察することができた。インドは近年バジパイ前首相に続く新首相のもとで安定した確実な発展を成し遂げ、人々が自信を持っていることは嬉しく、また私にとっても大きな励ましになった。 しかし、一方において少々不愉快でがっかりする出来事も体験した。これは私自身がインドが好きで期待し過ぎた結果であるかもしれないが、ホテルの従業員と空港の職員の態度が極めて傲慢であったことが腹立たしく思った。もちろんホテルにおいても空港においても末端の職員は相変わらず一生懸命サービスしようと努めていた。そして少しでもチップを渡せばそれに応じて張り切ってサービスしてくれた。しかし中間管理職に相当する、ホテルで言うところのアシスタント・マネージャーからフロント係やキャッシャー、レストランのマネージャー、空港のカウンター係、入国管理官などは旧態依然で、お互いのおしゃべりに夢中であったり、客に対して仏頂面で応対していた。 ■客が泣き叫ぶ空港職員の応対 ホテルのアシスタント・マネージャーに二、三度、尋ね事や依頼事で接した時、あまりにも不機嫌な表情だったので最後に私も「どなたか家族の方でも亡くなられたのですか?」と皮肉ってしまうほどであった。最も酷かったのは空港の出入国係官であった。観光客が非常に増えて空港では大行列ができ、手続きだけでも一時間以上はゆうにかかるような混雑の中でも、いくつかのカウンターは閉めたまま上司のような二、三名が悠々と歩き回り無駄口を叩いていた。 インド人の地方からと思われる不慣れな人々に、親切に教える代わりに命令ばかりして手伝わず、まるで誰が見てもハラスメントのような行為を繰り返していた。その間、他の観光客は待たされるままで、アフリカ人に見える男性は「飛行機が離陸してしまう」と言って、泣き声で叫び周囲の人に訴えていたが、もちろん無意味であった。最後に私も直接監督官に文句を言ったところ、「空港が狭いからだ、来年は良くなるから我慢しなさい。それでも文句があったら総理大臣に人数を増やしてもらうよう言いなさい」と傲慢な態度で、取りつく島もなかった。 やっとセキュリティーチェックを済ませ搭乗案内されてから、日本人の団体の年配者も含む女性たちの手荷物の札に、セキュリティーチェックのスタンプが無いからと言って、再度チェックを受けに戻るよう命じられていたところも、私が不愉快に思った要因の一つである。もちろん添乗員の説明不足もあるだろうが、セキュリティーチェック無しで搭乗口に辿りつくはずもないし、しかもグループの中の人々にはスタンプが押されている人もいた。しかし全く融通や柔軟性が効かず、ただ権力を振りかざすばかりだった。 インドは確かに大きく躍進しており、そのこと自体は私も心から喜ぶと同時に更なる躍進を祈願している。だが少々この急激な発展と繁栄を背景に、ますます傲慢になっているような一面が覗いている。 ■日本でも失われる笑顔の応対 帰国後、早速渋谷の某デパートに行ったところ、ここの店員さんたちからも、かつての明るさと微笑みが消えていたことにまたもがっかりさせられた。私は日本が世界中から憧れを持たれ、日本の経済が発展したのは日本人の職場でのサービス精神と笑顔が大きな要因になっていると思っていた。インドにもぜひこれを見習って欲しいと思っていた。 私は日本、インド両国の発展と繁栄のためにも謙虚さと笑顔を取り戻して欲しいと切に願っている。微笑みはお金も掛からず、ちょっとした努力で多くの人々を幸せにできる。両国にもう一つ共通するものはダイナミックな国家的指導者が消え去り、トップの人々までも無表情であることだ。指導者たちにもぜひ明るい笑顔を持って政務に励んでもらいたいと願っている。 2007年 10月 10日
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20070930STXKA013030092007.html インドが対中国軍事抑止力強化のため中国国境近くの2カ所に空軍基地を新たに整備し、核兵器の搭載も可能なロシア製の新鋭戦闘機スホイ30の配備を進めていることが30日分かった。インド軍当局がこのほど一部記者団に基地を公開した。 インドは4月、核弾頭搭載可能な中距離弾道ミサイル「アグニ3」の発射実験に成功、核戦力で優位に立つ中国を追う立場だが、同じスホイ戦闘機などで空軍力を急速に強化する中国をにらみ、国境付近の基地整備で、より実戦に即した抑止力を目指しているもようだ。 基地は北部ウッタルプラデシュ州バレーリーと北東部アッサム州テズプル。バレーリーでは既に2個飛行中隊が配置済みで、テズプルにもあと半年で2個中隊が配置される。インドの軍事専門家によると、スホイ30は航続距離3000キロで、150―250キロ離れた中国国境には8分で到達が可能という。 バレーリー基地には戦闘機八機を収容できる大型格納庫のほか、航空電子工学の研究施設も建設中。 2007年 05月 23日
http://www.sankei.co.jp/kokusai/world/070518/wld070518000.htm AP通信によると、インド国防省は16日、2017年までに空母3隻を保有する計画を議会に提出した。 現在、同国海軍が保有する空母「ビラート」(旧英空母)は2012年に退役予定。 このため2隻目の空母をロシアから購入し08年に就役予定。さらに12年までの就役を目指し建造中の初の国産空母に加え、3隻目を導入する計画だ。 インドはアラビア海とベンガル湾の2方面に対応するため2隻の空母を求めてきたが、今回、3隻目の保有を打ち出した背景には、中国の海軍力増強への対抗があるとみられている。 2007年 02月 10日
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20070208AT2M0703K08022007.html インド中央統計機構は7日、2007年3月までの1年間の国内総生産(GDP)の伸び率が、前年度比9.2%に達するとの予測を発表した。実現すれば2年連続の9%台達成となる。 前年度に同6.0%の高成長を記録した農業部門が2.7%と伸び悩み、建設業も同14.2%から9.4%に低下する見通しだが、製造業の伸び率は前年度を2.2ポイント上回る11.3%と予測。 サービス業でも「貿易・ホテル・輸送・通信」が13.0%、「金融・保険・不動産」が11.1%と、ともに前年度を上回る二ケタの伸びを見込んでいる。 2007年 01月 12日
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20070110AT2M1001O10012007.html インド宇宙研究機構(ISRO)は10日、最新鋭の地球観測衛星など4基を搭載したロケット「PSLV―C7」の打ち上げに成功したと発表した。 ISROは昨年7月、大型の放送衛星を積んだ「GSLV」の打ち上げに失敗しており、今回の成功を機に再び宇宙開発計画を加速させる方針。 ロケットはインド南東部・スリハリコタ島のサティシュ・ダワン宇宙センターで打ち上げられた。1メートル四方の物体を識別できる高精度カメラを備えた「CARTOSAT―2」のほか、インドネシア、アルゼンチンから打ち上げを受託された人工衛星を搭載。衛星はすでに予定通りの軌道に乗ったという。 2014年を目標としている有人宇宙飛行に備え、航行制御や大気圏再突入の実験を行う宇宙カプセル「SRE―1」も積み込んだ。 2007年 01月 10日
http://jp.ibtimes.com/article/moneyneco/070109/3423.html インド経済成長率は2006年財政年度に9%を示すことが予測されている一方、高まるインフレが懸念されている。インドチタンバラム財務大臣は9日、国内経済の広範囲にわたる上昇にもかかわらず、一部産業が出遅れていることにも懸念を感じていると述べた。 インド経済は2006年度上半期で9.1%の上昇を示し、2007年3月締めの2006年財政年度では9%近い経済成長率を示すことが予測されているという。これは過去3年間8%台で推移していた同国経済成長率を上回る記録的な経済成長率で、中国にも匹敵する。 インド商工会議所によると、これまでのインド経済成長率の上昇はすばらしいものであるが、唯一懸念されるのが高まるインフレであるという。インドのインフレ率は昨年12月23日に5.5%にまで達している。 チタンバラム財務大臣は、ここ最近のインフレはインドの一部製造業における物価上昇に起因するものであるとし「もしこれが4%のインフレだったとしてもインド国内で受け入れられるインフレ率ではない」と述べ、高まるインフレ率が金利を引き上げ、今後の経済成長を抑制するのではないかと懸念を示した。 すでにインド中央銀行は主要政策金利の引き上げを行っている。またインド産業部門での成長率のばらつきも懸念事項となっているという。インド国内の多くの企業が著しい成長を示す中、いくつかのインド産業ではその逆の方向へ向かっているという。 現在インドで滞りを示している産業は食品加工、製紙、皮製品、化学製品、卑金属製品で、チタンバラム財務大臣は現在何故これらの部門で成長率の滞りを示しているのか調査中であるという。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆強い!インド式教育 数学重視、IT立国支える (産経 07/1/8) http://www.sankei.co.jp/kyouiku/gakko/070108/gkk070108002.htm 理数離れが進み、分数ができない大学生が続出して「技術立国・日本」の名が危ぶまれる一方で、逆にIT技術立国に躍進したのがインドだ。 その成長の陰には、「2桁かけ算の暗唱」でも有名な数学教育の重視があるとされる。インド式教育に学力向上策のヒントが隠されているのではないか。 ■週に7コマ配置 東京都江戸川区の住宅街にある4階建てのビル。昨年7月、国内2番目のインド系学校として開校した「グローバル・インディアン・インターナショナル・スクール」だ。インドの中等教育(日本の中3)までの児童生徒約150人が通学。英語で授業が行われていることもあり、日本人も通う。 1コマは30~40分間で、50分間が標準の日本より短い。その代わり連日、午後3時半まで9コマを課す。8年生の場合、数学は週に7コマ。月曜の1限目には、どの学年も小テストがある=表。土日も自宅での自習が迫られそうだ。 父親はIT技術者というラフル・イングル君(12)は「算数はちょっと難しいけど面白い」。日本人女児(5)は「飛び級しました。英語で掛け算も言えるようにしてます」と目を輝かせる。 ■19×19まで暗唱 インド式教育で注目されるのは、算数・数学の教え方だ。 同校のニヤンタ・デシュパンデ代表(33)は、日本でいう「掛け算九九」を「10×30」まで記憶。同数同士の掛け算を「30×30」まで覚えたという。試しに「259259」の二乗の計算の実演を頼むと、紙に少しメモ書きしただけでスラスラと解いてみせた。 どうやら「メソッド」と呼ばれるさまざまな“裏技”に秘密があるらしい。たとえば「17×15」(答えは255)の場合、16の二乗から1を引くだけで済む。暗記した掛け算や、この手の法則を駆使することで、多くの計算が素早く簡略化できるそうだ。 ニヤンタ氏は「計算は高度な数学を習得するための基礎。計算ができることで数学への自信がつき、理解を深めていく」と話す。ただ「本国では最近は19×19までの暗記にとどめ、後は応用させている。暗記だけではだめ」とも付け加える。 ■「論証と志」重視 インドの数学について芳沢光雄東京理科大教授(数学教育)は「論証を重視し粘り強く考えさせている。大学入試もほとんど証明問題で、マークシートが主流の日本とは違う」と指摘。暗唱ではなく論証重視だと分析する。 また「四則計算の場合、掛け算・割り算を先行させる法則を無視した計算式を多数示し、理解させた上で計算規則の必要性を説いている」と、法則の成り立ちを考えさせる指導法を評価する。 芳沢氏は、インドの学習指導要領に「わが国が科学技術で重要な国になるつもりなら、この段階の数学教育を重視し、創造的にすべきだ」などと「国」を意識した記述がある点にも着目。 「日本の指導要領は何のために勉強するか分からない。インドは志を育てるから強い」と分析する。 2006年 12月 19日
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/world/20061219/20061219_003.shtml ブッシュ米大統領は18日、核拡散防止条約(NPT)未加盟国のインドへの原子力協力を可能にする「米インド平和原子力協力法案」に署名する。 国際原子力機関(IAEA)の包括的査察下にないインドに対し、過去30年以上禁じてきた米企業の原子力関連物資などの輸出に道を開く内容。 実際の輸出開始には日本も参加する原子力供給国グループ(NSG)のルール改正が必要で、態度を保留する被爆国日本の対応が注目される。 大国化する中国の動きをにらみ、インドとの「戦略的関係」強化の観点から、ブッシュ政権が推進してきた重要法案の成立。 しかし、NPTの枠外で核開発を続けるインドへの原子力協力をめぐっては「核不拡散の国際ルールを損なう」(米専門家)との批判もあり、弱体化が指摘されるNPT体制の行方にも影響を与えそうだ。 今春以降の議会審議では、NPT体制を重視する一部民主党議員が「核燃料輸出で民生用のインド国内のウランが軍事転用され、インドの核生産能力を増強しかねない」と反対を表明。 しかし、インド系ロビー団体の政界工作や両国関係強化を優先する議会世論の流れを受け、大多数の議員が法案に賛成した。 議会は(1)インドが核実験をした場合の協力停止(2)軍事目的のウラン濃縮や使用済み燃料再処理関連の輸出禁止‐といった制限を設けたが、兵器用核分裂物質の製造中止などインド側が強く反対する規制は設けなかった。 核燃料や原発関連製品の輸出実施に当たっては、NSGの了解に加え、具体的協力内容への議会の同意が条件となる。 ▽米インド原子力協力 ブッシュ米大統領は昨年、インドに対する民生用原子力をめぐる技術協力や関連物資提供を禁じてきた政策を転換し、核拡散防止条約(NPT)未加盟国のインドへの核協力を推進することで同国と合意。 今年3月大統領がインドを訪れ、22ある原子炉のうち14を国際原子力機関(IAEA)の包括的保障措置(査察)下に置くことで一致した。ただし兵器級プルトニウムが製造できる高速増殖炉は査察対象外となった。 2006年 12月 19日
[ 主に国内時事(政治等)関連 ] http://plaza.rakuten.co.jp/shousimin/diary/200612180000/ 今月14日にインドのシン首相が国会で演説されました。 インドは経済興隆著しく,かつ親日的国家であり,我が国が将来良好な関係を結ぶべきアジアの大国の一つです。にもかかわらず,その演説の内容についてはほとんどのマスコミが無視し,伝えることはありませんでした。 隣の半島から俳優がやってくると,そのニュースバリューの低さにも関わらず過剰にかつ過大に報道するのに対し,これから我が国が重視しなければならない国の首相が国会において演説すると,そのニュースバリューの高さにもかかわらず,軽く扱うかもしくはまったく扱わない。このこと一つをとってみても日本のマスコミのレベルの低さが伺われようというものです。 幸い,今日はネット時代であり,衆議院もネット時代に対応するため,国賓の演説をストリーミング配信しています。インド首相の演説も配信されていました。本日はそのストリーミング配信されたインド首相の演説を掲載することにします。その意義は決して低くないものと確信しております。 =================== 「日本とインドは文明的にも近い国同士であります。我々の最も古い絆は,共通遺産でもあります仏教です。二つの文化は歴史を通して交流しあい,豊かさを増してまいりました。 1000年あまり前,インドの僧侶ボリセナは東大寺の大仏開眼供養に参列するため奈良を訪れております。近代におきましては,タゴールと岡倉天心が,アジアの偉大なる両国の間に理解の新しい掛け橋を築きました。 科学技術の発展に基づく明治維新以来の日本の近代化,及び戦後の日本再建の礎となりました活力と気概は,インドの初代首相でありますジャワハルラル・ネールに深い影響を与えました。ネール首相は,インドが日本と緊密な絆を結び,その経験から学ぶことを望みました。インドが日本からのODAの最初の受益国となるようご尽力されたのは,当時の岸総理大臣でありました。今日,インドは,日本のODAの最大の受益国でありまして,こうした援助に,我々は深く感謝しております。貴重なご支援いただいてありがとうございます。 日本の工業は,自動車や石油化学など,インド産業の発展のために,貴重な役割を果たしてきました。90年代の初頭,インドが深刻な経済危機に陥ったときも,日本は迷うことなく支援しつづけてくださいました。1952年,インドは日本との間で,二国間の平和条約を別途調印いたしまして,日本に対するすべての戦争賠償請求権を放棄いたしました。戦後パール判事の下した信念に基づく判断は,今日に至っても日本で記憶されております。 御来席の皆様,こうした出来事は,我々の友情の深さ,そして歴史を通じて,危機に際してお互いに支えあってきた事実を反映するものであります。 日本を訪れますたびに,お国の発展を目の当たりにし,真に鼓舞され,その寛大さに心をうたれます。 私は1992年の訪日を決して忘れることがないでしょう。それはインドの財務大臣として,はじめて日本に伺ったときのことであります。1991年に,前例のない経済危機に直面した際,日本からいただいたご支援に謝意を述べるための訪日でございました。古い型を打破し,グローバル化しつつある世界での競争に備えるべく,経済を開放し,新たな前進への道に乗り出す機会を,あの危機は我々に与えたのでありました。当時,強靭な力や献身といった長所,あるいは(語彙不明)にあっても,いかにそこから機会を創造するかといったことを日本から学ぼうとし,我々は日本に眼を向けたのであります。 新生インドの首相として,今回,私は日本に戻ってまいりました。過去15年間,インド経済は,年率平均6%を上回る成長を遂げてきております。近年では更に一層弾みがつき,成長率は年間8%以上に加速しております。現在,インドの投資率は対(語彙不明)で30%になっております。90年代初頭以来立ち上げました広範な経済改革の結果,インド経済は,経済のグローバル化,そして世界の多極化がもたらした課題,及びチャンスを受け取められる柔軟性を身に付けました。インドは開かれた社会,ひらかれた経済として前進を続けております。民主的な政体の枠組みの中で,インドを成功裏に変容させていくことは,アジア,そしてひいては世界の平和と発展にとって極めて重要であります。 御来席の皆様,これまでに人間の歴史始まって以来,10億を超える人々が,民族や文化など多元的な要素を抱えた民主主義の枠組みの中で,貧困を撲滅し,社会と経済を現代化しようと試みた例は全くありません。インドは現在,持続的な高度成長の波に乗っていると思います。サーヴィス主導型,かつ技術先導型の経済によるグローバル経済との統合という新しいモデルを開発してまいりました。今日インドは,情報技術,バイオテクノロジー,医薬品など知識を基礎とする分野で主要な役割を担う国として台頭しております。道路,鉄道,電気通信,港湾,空港などの物理的,及び社会的インフラを拡大し,現代化するため,大規模な投資が行われております。こうした発展は,インドの製造業の競争力,及び生産性を大いに高めるでありましょう。 インドと日本が,両国間の結びつきを急速に発展させるための土台は,こうした経過と国際的な筋書きの変化によって生れました。二つの古代文明にとって,戦略的かつグローバルな関係を含む,強固で今日的な関係を構築するときが到来したと思っております。それはアジアと世界にとって大変重要な意味をもつでありましょう。 我々は自由,民主主義,基本的権利,法の支配といった普遍的に擁護された価値を共有するアジアの二つの大国であります。両国間に存在するこの共通の価値と膨大な経済的な補完性を活用し,互に相手国を最重要と認める強固なパートナーシップを築いていかなければなりません。 また,新たな国際秩序の中で,インドと日本は,国力に相応な均衡のとれた役割を演じなければならないという点におきましても考え方を共有しております。日印間の強い絆は,開かれた包容力のあるアジアを構築し,地域の平和,及び安定を強化するための重要な要素であります。 経済関係が二国間関係の基盤となるべきであり,この分野での結びつきを強力に推し進めることが必要です。日印間の貿易や投資は到底そのポテンシャルを発揮しているとはいえません。それとは対照的に,インドと中国,インドと韓国の貿易は好調でございまして,昨年は両国との貿易がおよそ40%の伸びをそれぞれ示しております。中国との貿易は,日印貿易の3倍近くに膨らんでおりますし,韓国との貿易も日印貿易とほぼ肩を並べております。申し上げましたように,これは変えていかなくてはいけないんです。経済協力のポテンシャルを充分に生かすためには,両国の政府,経済界そして産業界の間の積極的な努力が必要であります。将来このパートナーシップを築くことができる最も重要な分野は,知識経済であると信じております。knowledge economyです。両国の経済構造,また様々な分野におけるそれぞれの比較優位のバランス,人口動態の違いなどを考えれば明らかであると思います。 御来席の皆様,科学技術の分野でもナノテクノロジー,バイオテクノロジー,生命科学,情報通信技術といった将来の成長分野での提携も加速させていくことが必要であります。インドのソフト産業と日本のハード産業は相乗効果を活用しあいながら,発展していかなくてはいけません。 国内の(語彙不明)同士のパートナーシップは人事の交流をより盛んにすることを意味します。私は,インドにおいて,日本語を学ぶ学生の数が増えることを願っています。日本語は既にインドの中等教育で外国語の選択科目として導入されています。明日,安倍総理大臣と私は,将来への投資構想を立ち上げることになります。今後数年の間に何千人ものインドの若者が,日本語が学ぶことができるようにしたいと望んでいます。 相互が関心をもっているもう一つの分野は,エネルギーの安全保障です。アジア地域全体として,エネルギー供給の安全を保障し,エネルギー市場を効率的に機能させることが必要です。我々は貿易とエネルギーの流れを確保するために,シーレーンを保護することを含めた防衛協力の促進に同等の関心を寄せています。日本と同様にインドも増加するエネルギー需要に対応するため,原子力が現実的で,クリーンなエネルギー資源だと考えています。これを実現させるために,国際社会による革新的で前向きな取り組みが軌道に乗るよう,我々は日本の支援を求めます。 そしてここで確認をさせていただきます。インドは,国際的に核軍縮を進めていく,そのコミットメントは変わりません。 テロは,平和に対する共通の脅威です。また開かれた我々の社会の調和と組織を脅かします。テロには多くの側面があり,その原因も多様で,地理的な境界も無視されるという複雑な問題なのです。我々が力を合わせない限り,テロとの戦いには勝てません。 私は,国連と国連安全保障理事会が,今日の情勢に対応できるものになるよう,その活性化と改革に向けて両国が協力してきたことをうれしく思います。両国は,国連と様々な国連関連機関の効率強化に関心をもっています。この意味において,今,我々がおかれているグローバル化された世界で各国の相互依存関係を秩序正しく,公正に運営していくべく,両国の協力関係を強化しなければなりません。 ご列席の皆様,アジアで最大の民主主義国と,最も発達した民主主義国である両国は,お互いの発展と繁栄に利害関係を有しています。我々はインドの経済環境が投資しやすいものとなるよう努める決意です。日本企業に,是非インドにおけるプレゼンスを拡大していただきたいと考えています。安倍総理大臣と私は,二国間の投資,貿易,テクノロジーの流れを増大させるべく,包括的経済連携協定の締結につながる交渉を開始いたします。 ご列席の皆様,我々のパートナーシップは,アジア全域に(注:「ゆうい」といっているが,どういう意味かは不明)と繁栄の弧を創出する可能性を秘めていると確信しています。それはアジア経済共同体の形成の基礎となるものです。こういった日印間のパートナーシップを拡大させたいという希望や抱負は,あらゆるレベルでの交流を増やすことによってのみ,現実のものとなると考えます。我々はハイレベルでのエネルギー対話を設置することで合意していますが,このような機会が更に多くの分野で設置されるべきであり,とりわけ貿易と産業分野では不可欠です。 ご列席の皆様,いかなる戦略的パートナーシップにおいても,その礎となるのは人々の友情です。日本の若者の間で,映画『踊るマハラジャ』が人気を博していると聞き,うれしく思っています。インドの子供たちは,日本のロボット『踊るアシモ』を見て,歓声をあげていました。また日本ではインド料理店の数が驚異的に増えているようですし,インドでも寿司と天ぷらへの人気が高まってきたことは,間違いありません。 2007年は日印友好年であり,また日印観光交流年でもあります。更に,両国を結ぶ航空便の大幅な増便も望んでおります。老いも若きも多くの日本人の方々がインドを訪れ,古代と現代のインドが放つ数多くの輝きをご自身の眼で見て欲しいと願っています。 ご列席の皆様,インドと日本の新たなパートナーシップという構想は,本日その決定的瞬間を迎えました。私の訪日はこの構想を具体化するためであり,21世紀をアジアの世紀にするために我々が努力して演じている役割に,将来の世代が感謝することができるようにするためなのです。」 2006年 12月 18日
http://dogma.at.webry.info/200612/article_14.html 親日国インドのシン首相が来日して小気味良い演説をした。新外交ではインドなど民主国家との連携を提唱している。因縁ばかり付ける不愉快な隣国から、もう一つのアジアの大国へのシフトは大歓迎だ。 「戦後、パール判事の下した信念に基づく判断は今日に至っても日本で記憶されています」 この言葉が出た直後、衆院本会議場には大きな拍手が巻き起こった。 来日中のインドのシン首相は14日、国会で30分にわたって演説し、日本との関係強化を提唱。その演説は、親日国インドの面目躍如たる内容だった。 シン首相はこう語る。 「私は92年に財務大臣として来日しましたが、その時に受けた感動は忘れられません。90年代初頭、インドは深刻な経済危機に見舞われましたが、日本は迷うことなく支援を続けてくれました」 経済危機に直面したインドに対して、我が国が何の条件も付けずに援助の手を差し伸べたことに、シン首相は最大限の感謝の言葉を捧げた。 更にシン首相は訴える。 「我々(日印)は、自由、民主主義、基本的権利、法の支配といった普遍的に擁護される価値を共有するアジアの大国です」 その通り、インドは世界最大の民主主義国家だ。途上国ではあるが、法律面はイギリスの洗礼を受け、裁判制度などは先進国並みに整備されている。善良な市民を闇から闇へ葬る隣の大国とは全く異なる。 同じ日、シン首相夫妻は皇居を訪ね、天皇・皇后両陛下から歓待を受けた。思い出に残る1日となっただろう。 シン首相は今回、経済界のお歴々とも懇談している。来日する他国の首脳は天皇陛下との懇談(=名誉)と経済人との会合(=実利)があれば、それだけで満足とも言われる。もちろん政府当局者への皮肉だが、鋭い指摘でもある。 だた今回は、安倍政権の対応はお座なりではなかった。 15日には日印首脳会談が行われ、海上自衛隊とインド海軍の交流、毎年の首脳の相互交流などを確認。そして、最大の課題であるEPA(経済連携協定)の締結に向けた交渉の開始で合意した。 安倍首相は会談で「繁栄の弧」を描く大切さを強調している。これは前日の国会でのシン首相演説を受けての発言だった。 「自由と繁栄の弧」は、麻生外相が打ち出した外交戦略のキーワードである。ユーラシア大陸の外郭で帯状に弧を描く地域は、冷戦終結後に激変したエリアだと認識し、それを「自由と繁栄の弧」にする戦略である。 この外交戦略から漏れている国がある…中共だ。 中共をツンボ桟敷に置く麻生外交に期待したい。付き合ってもロクなことがないのが赤い隣国である。 15日、読売新聞は不気味なスクープを報じた。日中間の最悪の問題になりつつある遺棄化学兵器の新展開である。 【メディア封殺の遺棄兵器問題】 読売新聞によると、日中両政府は、旧日本軍が中国に残したとされる化学兵器の回収・処理を円滑に進めるため、来年1月にも「日中遺棄化学兵器処理連合機構」を設置。経費は日本側が負担し、発掘・回収施設建設や処理施設建設に3,000億円以上の垂れ流される見込みだという。 なんということだ… この問題は『正論』6月号が、兵器の引継書発見をすっぱ抜いて以来、『正論』誌上で追及が行われていたが、わが国にとっては悪夢のような問題である。 中共サイドの問題だけではなく、外務省中国課と内閣府遺棄兵器処理担当室が絡んだ大問題の様相を帯びている。 発煙筒が化学兵器として処理されるなど意味不明の交渉が続いてたのだ。最大の問題は、マスメディアが完全に沈黙し、中共との交渉過程が闇に仕舞われていたことだろう。 読売新聞によれば、来週21日に都内で行われる日中実務者協議で合意される見通しだという。その日、大新聞やテレビがどう報道するのか、注目している。 中共=ヤクザ国家を証明する問題だ。改めて追及したい… 【中共を袖にしてインドに寄り添え】 これまでの我が国と中共との歪んだ関係については、繰り返し繰り返し罵倒してきた。深刻な問題が山積しているのはご承知の通りだ。 では、今後どうすれば良いのか? その回答のひとつが、中共の最大のライバルであるインドとの関係強化である。 ここだけの話だが、筆者はインド滞在暦がやや長く、多少なりともインド社会に揉まれた経験がある。 ところが、それ故に客観的な見方が出来なくなっている。媚中派という言葉があるなら、完全な媚印派である。困ったことだ。 それはインドを語る評論家や作家にも言えることで、完全にまっぷたつに分かれている。 インド熱烈支持派か、インド大嫌い派の2つで、ナゼか中間派が存在しない。不思議な国である。 ひと言で表現すれば、インドは大の親日国だ。 親日国にも様々あるが、海外で日本人が高く評される場合、それは国家モデルや国民性などではなく、単にソニーやトヨタなど先端技術への憧れだったりする。 ところがインドは「マッチから原爆まで」と言われるように輸入制限が徹底されていた時代が長く、日本製品は殆ど見当たらない。あるのはスズキの車、ホンダのバイク、ボールペン。 それらも都会から離れた瞬間、消えてしまう。 では、なぜ日本人に対する親近感がそろって高いのか? 推測するに…歴史認識だ。 『F機関』を語ったエントリでも簡単に述べたが、インドの独立には大東亜戦争が直接、関わっている。 アジアの盟主として白人の植民地主義を粉砕し、2発の原爆で大打撃、絶望的な焼け野原から復興した国…それがインド人の日本近代史だ。 原爆に関しては少々誤解があるようで、何人ものインド人から「広島には人が住めないんだろ?」との質問を受けた。「立派な都市になって人口も多い」と答えると驚く者が多い。 中共とは全く逆で、日本は戦争でボロボロになった被害国というイメージがあるのかも知れない。 ついでに言えば、インドの歴史教育では中共が悪者に描かれているようだ。 これは中ソ対立で、インドがソ連側に付いたことが影響しているが、歴史的にヒンドゥー文明とシナ文明が対立してきたことにも由来する。 インドで日本人とシナ人のイメージは、天と地ほどの差がある。 もしかしたら大東亜戦争で日本軍がシナ軍を叩いた過去も関係しているかも知れないが、何とも言えない… 【経済連携はやるだけの価値がある】 国会演説でシン首相は、こう語っていた。 「印中の貿易規模は日印の3倍あるが、これは変えていかなければならない」 ハッキリした物言いだ。 さらにインド=韓国間の経済規模は日本と同等だとも言う。いつの間にか、韓国企業はインドに深く入り込んでいた。都市にはヒュンダイの新型車が走り回り、携帯電話でもサムスン製の高級機種が目立つ。 日本企業は完全に出遅れてしまっている。 20世紀末から激しい対中投資ブームが我が国で巻き起こった頃、インドでは南部のバンガロールを中心にIT産業が勃興していた。米国は早くから目をつけて協力関係を深めたが、なぜか、日本の経済界は対中一辺倒を崩さなかったのだ。 媚中派政治家と親中派経済人による失策である。 一方で岸内閣の時代に対インドODAをスタートさせたにも関わらず、経済面での関係強化に取り組む日本人が少なかったのも事実だ。 厳格な輸入規制、ソ連との友好関係をマイナスと見なし、大手商社がインドで暗躍することは例外的だった。そうした背景も90年代には徐々に崩れて、インド社会は外に開かれて行くが、密接な関係を築くことは出来なかった… ビジネスの上では予期しない問題も起こるだろうが、やってみるだけの価値はある。 今からでも決して遅くはない。 【差し出された手を温かく握る】 インドの経済発展は未知数だが、民主国家を支援することに異議はないだろう。中共にいくら援助しても返って来るのは、因縁だけだった。 もう、いい加減、気が付いて良い時期だ。 シン首相の来日では、留学生の交流強化も提言されたが、親日家のインド人なら深刻な問題は少ないと想像する。 反日教育を受けたシナ人留学生とは比べものにならない。インドではマフィアさえもカーストに束縛されるため、犯罪集団が紛れ込む可能性はゼロだと信じる。 最近、都心部ではIT関連企業で働くインド人が目立つようになったが、取り立てて問題は指摘されていない。多くがホワイトカラー層の技術職で、教育レベルは高いと見る。当然、英語はしゃべれる。 インド人と接した日本人は、急に自分の英語が上手くなったと錯覚する。インド英語は独特だが、慣れるのも早い。ネイティブスピーカーは極少数なので、難解な単語を使うことはなく、会話に支障のないケースが多い。それでスラスラ喋れるようになったと勘違いするのだ。 練習相手にバッチリである。 なぜか相手が白人だと臆するが、インド人相手だとお互い手探りでコミュニケートできるのだろう。船乗りが使う簡易英語=ピジン・イングリッシュでもOK。 I go tomorrow が許され、動詞の時制なんか気にしない。 …論点がズレてきたが、インドは経済発展にともなって中進国に飛躍しようとしている。 わが国のチカラを本当に必要としているのだ。 差し出された手を握りしめるのが国家の心意気であろう。中共からインドへのシフトを歓迎し、新しい関係が結ばれることを待ち焦がれる。 来年は日印友好50周年だという。 そのついでに、日中絶縁元年にしたい。 < 前のページ次のページ >
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