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カテゴリ:■核問題
  • ◆【正論】中国軍事専門家・平松茂雄 北の核ミサイルは「政治兵器」
    [ 2009-04-23 13:23 ]
  • ◆現実に目を背けた平和宣言
    [ 2008-08-11 15:21 ]
  • ◆小型核兵器の設計図押収 「闇市場」捜査でと米紙
    [ 2008-06-17 11:34 ]
  • ◆チャベス大統領、核開発を表明 ベネズエラ (朝日 07/11/16)
    [ 2007-12-02 13:30 ]
  • ◆追加制裁どうする イラン核協議へ 28日、6カ国外相会合
    [ 2007-09-22 15:25 ]
  • ◆ワシントン・ポスト(米) 2007年9月5日 エルバラダイ氏の独断専行
    [ 2007-09-12 12:18 ]
  • ◆【やばいぞ日本】第2部 資源ウオーズ(5)電力危機招く「反原発」
    [ 2007-08-25 15:25 ]
  • ◆【主張】広島平和宣言 なぜ北の核には触れない (産経 07/8/7)
    [ 2007-08-14 12:31 ]
  • ◆【風を読む】 (産経 07/2/5)
    [ 2007-02-08 16:04 ]
  • ◆核弾頭試作に3年以上 費用2000~3000億円 政府内部文書
    [ 2006-12-28 19:38 ]

2009年 04月 23日
◆【正論】中国軍事専門家・平松茂雄 北の核ミサイルは「政治兵器」


 (産経 2009/4/20)


 ≪■弾頭も衛星も同ロケット≫

 筆者は核兵器やミサイルの専門家でないが、今回の北朝鮮のミサイル発射実験に関するわが国のマスコミの報道や解説を読んでいて、腑(ふ)に落ちないところがいくつかある。

 一つは、核ミサイル開発と宇宙開発、具体的には、核弾頭と衛星の関係やロケットとミサイルの関係について、ミサイル開発は軍事目的だから危険だが、衛星は平和利用だから問題ないとの見方である。筆者の理解では、同じロケットに核弾頭を搭載すれば弾道ミサイルになるが、衛星を打ち上げるのも同じロケットである。

 中国は同じロケットで核弾頭と衛星を打ち上げている。例えば1970年、初めて人工衛星を打ち上げたロケット「長征1号」は中距離弾道ミサイル(IRBM)を発射するロケットである。これにより日本はじめ中国周辺諸国はその射程内に入った。蛇足ながら、当時も今も日本にはそのような認識はほとんどない。

 それから10年後の1980年に、中国は南太平洋のフィジー諸島近海に大陸間弾道ミサイルを発射した。この時は核弾頭ではなく、実験機材を装備したカプセルを搭載した。80年代以降中国の宇宙開発は本格化するが、衛星を打ち上げるのは、長征1号を衛星の目的に合わせて改良した十数種類のロケットである。

 90年代に入ると、中国の宇宙開発は宇宙ステーション=宇宙軍事基地の設置に向けて進展し、今世紀に入って有人宇宙船を3回打ち上げた。この有人宇宙船を打ち上げたロケット「長征2F号」は米国に届く大陸間弾道ミサイルを発射するロケットである。大きくて重い有人宇宙船を打ち上げて、自在に軌道を修正したばかりか、予定の場所に帰還させた。核弾頭は小さくて軽いから、中国の大陸間弾道ミサイルの精度は相当の水準に達しているとみられる。

 北朝鮮の核ミサイル開発は中国の後を追いかけている。今回の実験の目的が衛星かミサイルか、成功か失敗かは筆者には分からない。だが、予定の海域に到達したというから、核弾頭搭載を目的としたミサイル発射実験としては成功したといえよう。

 ≪■数千万人の餓死者も容認≫

 もう一つは、核ミサイル開発は金正日政権の存続をかけて、人民の生活を犠牲にして強行され、数百万人の人民が餓死ないしそれに近い状態にあるという報道や見方である。中国でも、核ミサイル開発を断行した時期は、それに劣らない大変な国内事情であった。

 中国では核開発を断行した1950年代末から60年代にかけて2000万人の餓死者が出たといわれた。数年前わが国でも翻訳されたユン・チアン『マオ』では、6000万人という驚くべき数字が出ている。当時の中国の人口は6億5000万人とみられるから、10人に1人が餓死ないしそれに近い状態であったことになる。

 筆者はこの数字に疑問を感じているが、今から50年前に毛沢東は「一皿のスープを皆で啜(すす)りあっても、ズボンを履(は)かなくても」との決意で核ミサイル兵器を開発した。悪評の高い大躍進・人民公社はそのために採用した政策である。そういう認識が中国研究、中国認識に欠落している。人民の満ち足りた生活を考慮しては、核ミサイル開発はできなかった。

 限られた財源、資源、技術を核ミサイル開発に集中する。人民大衆は「自力」で生活するのが「大躍進」であり、米国や旧ソ連の核攻撃を受けた場合は、農村に「星をちりばめた」ように作った「人民公社」で生き延びるのだ。

 ≪■開発環境恵まれた金政権≫

 その中国と現在の北朝鮮の国際環境はまったく異なる。中国は建国以来米国の核兵器にさんざん威嚇されて、核ミサイル開発を決断する。それが原因となって旧ソ連との同盟関係は一転して対立関係となった。核ミサイル威嚇だけでなく、長大な国境線を越えて「100万の大軍」がいつ侵入してくるかもしれない状況の中で、中国の核ミサイル開発は遂行された。

 それに比べ、北朝鮮の核ミサイル開発の国際環境は大変恵まれている。米国や韓国、日本から、軽水炉や原油、食糧を供給するから核ミサイル開発をやめなさいといわれるが、各国の対応は好意的ですらある。北の核ミサイルに中国の立場は微妙だが、中国によって庇護(ひご)されている面もある。このように恵まれた環境のなかで北朝鮮の核ミサイル開発は進展しているのである。

 核ミサイル開発を達成した中国を世界はもはや放っておけなくなった。国連加盟、米中接近をへて今日、中国は「世界の大国」に成長した。その最大要因はトウ小平の改革開放ではなく、毛沢東の核ミサイル開発である。核ミサイルの開発がなければ改革開放はなく、中国は今でも発展途上国、小国として相手にされていないだろう。

 北朝鮮は中国が来た道を辿(たど)ろうとしている。実際には使えない兵器であるにしても、核ミサイルは「政治兵器」であることを、日本はいまこそ明確に認識する必要がある。





by sakura4987 | 2009-04-23 13:23 | ■核問題
2008年 08月 11日
◆現実に目を背けた平和宣言


     【土・日曜日に書く】論説委員・石川水穂

 (産経 2008/8/9)


 ≪■「北」を避ける広島市長≫

 6日、広島で63回目の原爆の日を迎え、秋葉忠利市長は世界の都市・自治体連合による核兵器廃絶や日本国憲法の順守を訴えた平和宣言を読み上げた。今年も、昨年と同様、北朝鮮の核には全く言及がなかった。

 今年は、6月末に北の核申告を受けた米国が北のテロ支援国家指定解除の手続きに入り、その期限の8月11日が迫る中で迎えた原爆の日だった。それだけに、北に対するメッセージが期待されたが、期待は裏切られた。

 旧社会党出身の秋葉市長はこれまでも、北の核への言及を避けてきた。昨年の原爆の日は北の核実験(一昨年10月)の後だったにもかかわらず、平和宣言はそれに触れず、「憲法順守」と「米国批判」を強調した。北の核開発が明らかになった直後の2002年10月に米の大学で行った「広がる核の脅威」と題する講演でも、米の核政策への非難に終始し、北の核には触れなかった。

 これに対し、長崎の田上富久市長は昨年8月9日の平和宣言で、新たに核兵器を保有した北朝鮮などの国名を挙げ、北の核廃棄に向けた6カ国協議での「ねばり強い努力」を訴えた。昨年4月に凶弾で倒れた伊藤一長前市長も、平和宣言で北の核に言及することを忘れなかった。これが被爆地の首長として当然の対応であろう。

 日本にとって、当面する最大の脅威は北の核だ。それを取り上げない広島の平和宣言は、あまりにも現実と遊離している。

 ≪■金体制への期待は禁物≫

 北が核計画を申告したといっても、それは核爆弾の原料となるプルトニウムの抽出量や核施設の稼働実績が記載されているだけで、高濃縮ウランによる核開発やシリアへの核技術協力については別の文書に記すことで、問題が先送りされた。

 申告が不十分なうえ、検証もされないまま、米が北のテロ支援国家指定を解除することは、極めて危険である。

 14年前の1994年10月、北の核開発凍結の見返りに軽水炉提供や重油支援などを約束させられた「米朝枠組み合意」が成立した。産経は「この『合意』を素直に喜んでいいものなのだろうか」(10月19日付主張)と疑問を提起したが、朝日と毎日は次のように米朝合意を高く評価した。

 「難航してきた米朝交渉が妥結を見たことは、金(正日)書記が対話と協調の路線で指導力を発揮していることを間接的に証明している」(同日付朝日社説)

 「米朝両国が公式外交文書に調印することは、北朝鮮にとっては金正日書記の後継体制発足を飾る、歴史的な合意である」(同日付毎日社説)

 だが、こうした金正日氏(現・総書記)への期待が裏切られたことは、その後の朝鮮半島の歴史が証明している。北はもらうものだけをもらい、秘(ひそ)かに核開発を続けていた。金正日体制への甘い期待は禁物である。

 ≪■米の戦争責任の検証も≫

 広島、長崎の原爆の日で、もう一つ忘れてならないのは、米国の戦争責任の問題である。

 広島、長崎への原爆投下は、東京・下町一帯がB29の無差別爆撃を受け、10万人が死亡した東京大空襲の延長線上で行われた。広島、長崎市や旧厚生省の調査によれば、原爆による死者は29万人を超え、今も多くの被爆者が後遺症に苦しんでいる。ほとんどの犠牲者は一般市民だった。

 終戦後、GHQ(連合国軍総司令部)のプレスコード(報道検閲)により、原爆投下を批判することが許されなかった。

 昭和20年9月18日、朝日新聞は2日間の発行停止命令を受けた。同月15日付紙面に、原爆の使用を「国際法違反、戦争犯罪」とする鳩山一郎氏(後の首相)の談話を載せたことが主な理由だった。

 昭和20年12月8日から、GHQが新聞各紙に連載させた「太平洋戦争史」には、広島の原爆について「TNT二万トン破壊力を有するこの一弾は、広島の兵器廠(へいきしょう)都市の六十パーセントを一掃してしまった」と書かせた。NHKの「真相はか(こ)うだ」でも、長崎の原爆について「長崎軍港の軍事施設と三菱ドックに投下されました」と言わせ、原爆の主要な目標が一般市民ではなく、軍事施設であったかのように印象づけた。

 原爆投下を指令したトルーマン米大統領(当時)の回顧録によれば、トルーマンは原爆を軍事兵器と見なし、その使用に疑念を持っていなかった。連合国側のチャーチル英首相やスターリン・ソ連首相も、日本への原爆使用に賛意を示したとされる。

 米国の原爆投下の違法性や非人道性について、被爆国として学問的にきちんと検証すべきだ。(いしかわ みずほ)



by sakura4987 | 2008-08-11 15:21 | ■核問題
2008年 06月 17日
◆小型核兵器の設計図押収 「闇市場」捜査でと米紙


 (共同 2008/6/15)

 http://www.47news.jp/CN/200806/CN2008061501000473.html


 15日の米紙ワシントン・ポスト(電子版)は、スイス当局が「核の闇市場」に関する捜査で押収したコンピューターに、小型核兵器の設計図が含まれていたと報じた。国際原子力機関(IAEA)の元査察官が近く出版する報告書で明らかにした。設計図がイランや北朝鮮などに渡った恐れもあるという。

 この小型核は爆発力は高くないが、イランや北朝鮮が持つ中距離弾道ミサイルにも搭載できるという。報告書をまとめた元査察官のデビッド・オルブライト氏は「所持するミサイルに合うよう核弾頭を小型化するのに苦労していたイランや北朝鮮にとって理想的だった」と指摘している。

 報告書によるとコンピューターは、パキスタンの科学者カーン博士らが構築した「核の闇市場」にかかわったスイス人家族が所有し、2006年に発見された。



by sakura4987 | 2008-06-17 11:34 | ■核問題
2007年 12月 02日
◆チャベス大統領、核開発を表明 ベネズエラ (朝日 07/11/16)


 http://www.asahi.com/international/update/1116/TKY200711160258.html


 ベネズエラのチャベス大統領は15日、「平和目的のために核開発する」と述べた。具体的な時期などは明言しなかった。



 反米を掲げる強硬左派のチャベス氏は、イランのアフマディネジャド大統領の盟友。地元メディアによると、チャベス氏は「イランは核兵器はつくっていない。間違いなく平和目的だ」と同国の核開発を擁護。世界的なエネルギー不足に対応するため、同様の核開発をすると述べた。



 ベネズエラは世界有数の産油国。南米ではブラジル、アルゼンチンが原発を保有している。



by sakura4987 | 2007-12-02 13:30 | ■核問題
2007年 09月 22日
◆追加制裁どうする イラン核協議へ 28日、6カ国外相会合


 (産経 07/9/20)


 マコーマック米国務省報道官は18日の記者会見で、イランの核問題を話し合う国連安全保障理事会の常任理事国5カ国(P5)とドイツの6カ国の外相会合が28日、ニューヨークで開かれると発表した。イランは国際原子力機関(IAEA)と核開発をめぐる情報開示の日程を示す「行動計画」に合意したばかりだが、同報道官は、安保理決議に従わずウラン濃縮活動を継続するイランに対し追加制裁の早期採択を目指す方針を示した。その具体的内容は、外相会合に先立ち21日、ワシントンでバーンズ米国務次官(政治問題担当)を中心に事務レベルで行われる協議で検討される。



 ◆エルバラダイ独走


 マコーマック報道官は会見で、「行動計画」について「十分とはいえない。安保理決議を前に進めるべきだ」と述べた。



 米紙ニューヨーク・タイムズによると、今回、IAEAとイランが秘密裏の交渉で合意した後、米英仏独の4カ国の代表がエルバラダイ事務局長を訪ね共同で抗議した。



 行動計画では、9月末までにイラン中部ナタンツのウラン濃縮施設の査察方法をIAEAと詰めるなどの日程は含まれているものの、国連が求めるウラン濃縮活動停止に言及していないためだ。



 事務局長は、制裁だけでは解決しないとして対話の必要性を強調する。これに対し、米中東専門家は、イラン最高指導者ハメネイ師の外交顧問のベラヤティ氏がイラン学生通信に、「われわれは抑止力を持たなければならない」と述べたことを指摘。「イランの核計画追求は続いている」として、行動計画はイランに時間稼ぎをする口実を与えるだけだとしている。



 ◆欧州、強硬に転換


 ここにきて、米国への“追い風”となっているのが、シラク前政権下で対イラン政策で米国と距離があったフランスがサルコジ政権になって、親米路線の一環として圧力重視に転換したことだ。



 クシュネル仏外相は16日、交渉による解決を目指すとしつつも、「最悪の事態に備えなければならない。最悪の事態とは戦争だ」と警告した。フランス通信(AFP)によると、その後、ロシアを訪れたクシュネル外相は18日、「戦争を避けるためあらゆることをしなければならない」とトーンを弱めて波紋の拡大を抑えようとしてもいる。



 だが、こうした発言は米国には歓迎すべきことだといえる。欧州が米国と足並みをそろえれば、イランに核開発で協力してきたロシアに対しても共同歩調を取るよう圧力をかけられるからだ。



 実際、ペリーノ米大統領報道官はクシュネル発言に関し、「ブッシュ米大統領はイラン問題の外交的解決は可能だと信じている」とする一方で、「いかなる選択肢も排除すべきではない」と、呼応するかのように強調している。



 米国が狙う国際的な対イラン包囲網作りは進んでいるといっていい。



 ◆米国一枚岩ならず


 だが、米国内的には圧力をいかにかけていくかをめぐり議論が続く。外交重視のライス国務長官に対し、チェイニー副大統領らは圧力をさらに加えてイランを封じ込めるべきだと唱えている。



 事態を複雑化させているのがイラク治安回復問題での米イラン対立だ。



 同紙などによると、国務省や財務省がイラク国内の暴力をあおっているとしてイラン革命防衛隊の特殊部隊、アルクドゥスへの制裁強化を検討しているのに対し、副大統領スタッフを含めホワイトハウス側には革命防衛隊全体を制裁対象にすべきだとの意見も根強い。



 イラク駐留米軍は8月に、イランからの派遣要員6人の身柄を拘束したほか、1月にもイラク武装組織の訓練に関与したイラン要員を拘束しており、イランによる“干渉”の阻止に努めている。



 イラン系米国人がイラン国内で数人、拘束されている問題も存在する。



 欧米人権団体はイランでこの数カ月、誘拐や強盗などを働いたとして処刑や死刑判決が相次いでいる点も懸念しており、「米国による攻撃説をはじめ、国際圧力が強まる中で、国内基盤が弱まることを恐れ、治安を強化しようとしているのではないか」(中東情報筋)との見方も出ている。



by sakura4987 | 2007-09-22 15:25 | ■核問題
2007年 09月 12日
◆ワシントン・ポスト(米) 2007年9月5日 エルバラダイ氏の独断専行






 エジプト出身の外交官である国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長は、国連安保理やIAEA理事会の政策を実行するよりも、そうした組織から独立しており、その決定を無視して、主要なメンバー国、特に米国の邪魔をするために、IAEAを自由に利用できるかのように振る舞っている。



 エルバラダイ氏は、サダム・フセインが核計画を再開したとするブッシュ政権の主張には根拠がなかったことを暴露し、戦争反対派からもてはやされた。気をよくした同氏は今、「『さあ、イランを爆撃しよう』と言いたがっている」ワシントンの「正気でない連中」を制止するという新たな使命を自分に課している。本紙はそうした者たちの味方ではないが、アハマディネジャド・イラン大統領の多くの発言に比べれば、彼らの方がまともであると考える。まったく受け入れ難いのは、ウランの濃縮を正当化するイランの活動を見逃す一方、経済制裁という非軍事的な圧力の弱体化を狙うエルバラダイ氏のやり方である。



 安保理はここ1年余りの間に、イランにウラン濃縮活動の停止を命じる拘束力のある決議を3度、可決した。しかし、エルバラダイ氏は、国際社会はイランのウラン濃縮能力をそのまま認めるべきであり、制裁は誤った対応であると決め付けている。さらに、IAEAとイランは先月、ウラン濃縮の停止ではなく、明らかになっていない過去の核活動に関する情報の開示を進める独自の計画で合意した。IAEAによると、イランは年末までに開示問題を片付けることに同意した。



 しかし、エルバラダイ氏の独り歩きは、重大な結果を招く。その1つは、進行中のウラン濃縮用遠心分離機の製造と設置よりも、過去の活動に焦点を当てることをイランに許してしまうことだ。IAEAは先週、イランは7月に「わずか」2600基の遠心分離機を稼動させるか、設置するか、テストしただけだという報告書を公表したが、アハマディネジャド大統領は2日、分離機3000基が稼動中であると発表した。過去の核活動の協議が終わる年末までに、イランはほぼ間違いなく、1年で核爆弾1発を製造できるほどの分離機を稼動させるだろう。



 IAEAとイランの合意が招く2つ目の重大な結果は、西側がイランに加えている経済的圧力に付け込んで、イランとの貿易を急増させているロシアと中国に、新たな制裁決議に抵抗する口実を与えることだ。両国は、年内は何もすべきではないと言うエルバラダイ氏の主張に同調するだろう。しかし、年末まで待てば、イランの核計画を阻止すべきだと確信しているブッシュ政権や諸外国の選択肢は、著しく狭まることになろう。それも、どうやら他人の意見は一切、取り上げる必要はないと思っている1人の外交官のために。



by sakura4987 | 2007-09-12 12:18 | ■核問題
2007年 08月 25日
◆【やばいぞ日本】第2部 資源ウオーズ(5)電力危機招く「反原発」


 (産経 07/8/23)


 伝統狩猟マタギの里で知られる過疎の山村、秋田県上小阿仁(かみこあに)村が、ハチの巣をつついたような騒動に見舞われたのは、ついひと月ほど前の7月だった。


 「高レベル放射性廃棄物の最終処分地についても誘致の可能性を検討していきたい」


 初当選したばかりの小林宏晨(ひろあき)村長(70)のこのひと言がきっかけだった。


 新聞・テレビがセンセーショナルに報道した。真っ先に反応したのが寺田典城知事。「あまりに短絡的」と不快感をあらわにすれば、呼応して村議会も全会一致で「断固反対」を決議した。村役場には社民党などの関係者が押しかけた。抗議電話は全国から殺到し、村の業務は一時停止状態に追い込まれた。


 結局、1週間後に村長が自らが緊急会見して白紙撤回を表明、誘致話はあっけなくついえた。


 「村の再建には村民一丸が不可欠。断念はやむを得なかった。だが処分地はいずれどこかに必要だ。時間さえあれば、村中を回って、村民である前に県民、国民であることも説明したかった」


 日大法学部教授から郷里の再建に挑んだ“学者村長”の表情には、いまなお無念さがにじむ。


 「核のゴミ」ともいわれる高レベル放射性廃棄物。核燃料を燃やす過程では必然的に生じる。原子力発電を行う国で最終処分地の確保は、避けて通れない課題である。


 それゆえ、誘致した自治体には国が長期にわたり毎年10億円程度の交付金を支給、電力事業者団体も有形無形の経済支援を約束している。


 ところが、日本では安全性や必要性の議論以前に感情的な反発が先行しがちだ。経済支援についても「カネで危険を押し付ける」との批判がつきまとう。自治体が候補地として名乗りを上げることすらままならないのが日本の実情だ。


 最近も、高知県の東洋町が誘致に名乗りを上げたが、民意を問う4月の出直し町長選で推進派の現職町長が落選、計画は頓挫している。


 これは最終処分地に限らない。原子力発電の議論全般についていえることだ。資源小国のエネルギー問題をどう解決するのか、冷静な国民的議論は忘れられがちだ。


 上の図は日本の原子力発電所の所在位置を示している。現在運転中が55基、ほかに計13基が建設中もしくは着工準備中。共通するのは、用地選びから建設まで、いずれも20、30年を要していることだ。地元の理解を得るための調整に膨大な時間とコストがかかることが最大の理由である。


 唯一の被爆国ゆえの核アレルギー。さらに地震大国としての不安。諸外国に比べても根深い日本の反原発感情をそこに求める見方がある。同時に、日本原子力文化振興財団の理事長、秋元勇巳氏は「問題の根源は原子力政策における政治の不在」と指摘する。


 処分場の確保にせよ、多くは民間任せ。国が責任を負う姿勢はなかなか見えてこない。政治家も票にならないから腰が引ける。2、3年で担当が代わる官僚は長期的視点に立った責任ある政策は先送りしがちだ。いずれ事業者が原発事業に嫌気をさし始めたら、日本は原子力先進国どころか後進国になりかねない。秋元氏はそう警鐘を鳴らす。

                  ◇

 ■異常に低い原発稼働率


 「問題は政治の不在」という秋元氏の懸念は、日本の原子力研究者の多くの思いも代弁する。一昨年夏、経産相の諮問により、国への提言「原子力立国計画」を座長役としてまとめた東大大学院の田中知教授も危機感を共有する。


 田中氏によれば、日本は、基数、出力ともに米国、フランスに次ぐ原発先進国。世界の主要原子炉メーカー5社のうち3社は東芝、日立製作所、三菱重工業の日本勢である。


 ところが、その日本の原発設備の稼働率は70%前後だ。90%台の欧米諸国に対して異常に低い。問題が生じる度、長期の運転停止を余儀なくされるからだ。7月の新潟県中越沖地震による柏崎刈羽原発の運転停止も長期化する見通しで、酷暑の今夏の電力供給は綱渡りを強いられている。


 だが、日本人の危機感は乏しい。ウランの燃焼効率を現在の約60倍にする高速増殖炉開発も停滞気味だ。


 いずれも、日本の原子力政策が長年にわたってブレ続けてきた結果だ。提言はそれを正すのが最大の狙いで、具体的には高速増殖炉を中心とする核燃料サイクルの達成、それを支える技術者の育成、国民向けの科学的見地からの啓蒙(けいもう)など、国の責任で取り組むことが重要だと田中氏は言う。


 外からも、日本の原子力政策にいや応なしに活を入れる環境変化が起き始めている。米スリーマイル島、旧ソ連のチェルノブイリと大事故が相次いだ結果、世界の原子力発電所建設は1980年代以降、停滞が続いてきた。それが今、ラッシュともいえる状況を現出している。


 中国では、現在10基800万キロワットの原子力発電を2030年までに15倍から20倍に拡大する計画が進む。100万キロワット級の原発が今後20年間で百数十基もできる計算だ。インドも電力を原発に求めようとしている。


 米国はスリーマイル島事故以来凍結されていた新規建設を、30基規模で再開すると表明。英国も建設再開を決定した。ドイツも脱原発宣言の見直しに動き始めた。原発の新規着工は世界規模で加速しそうだ。


 中国、インドなどで急増するエネルギー需要。その中で強まる中東諸国やロシアの資源支配。原油の安定需給に対する世界的懸念が高まっていることが背景だ。地球温暖化対策から発電で二酸化炭素を出さないクリーンエネルギー性が見直されていることも大きい。


 だが、この原発の先行きにも新たな不安材料が出てきた。左上図が示すようなウラン価格の異常ともいえる高騰ぶりだ。調達先や資源埋蔵量は不安なしとみられてきたが、この7年間で実に20倍近くも上昇している。


 日本も手をこまぬいているわけではない。世界第2の埋蔵量を誇るカザフスタンに懸命の資源外交攻勢をかけ始めたのも対策のひとつだ。それでも、同じエネルギー資源小国として原子力発電に力を注ぐフランスが、早くから各地の産地で採掘権を確保するなど安定供給体制を固めてきたことに比べれば、出遅れ感は否めない。


 すでに世界のウラン鉱山では、中国などの活発な買い付け工作も報じられている。日本がここでも後手に回るなら、安定供給の先行きは危うい。


 「日本はかつてエネルギーで戦争を起こし、エネルギーで負けた。それを教訓としなければならない」。秋元氏は危機感を深めている。



by sakura4987 | 2007-08-25 15:25 | ■核問題
2007年 08月 14日
◆【主張】広島平和宣言 なぜ北の核には触れない (産経 07/8/7)


 http://www.sankei.co.jp/ronsetsu/shucho/070807/shc070807000.htm


 広島が62回目の原爆の日を迎えた。秋葉忠利市長は平和宣言で、「日本国政府は世界に誇るべき平和憲法をあるがままに遵守し、米国の時代遅れで誤った政策にははっきり『ノー』と言うべきです」と訴えた。だが、今年も昨年と同様、北朝鮮の核には言及がなかった。
 北朝鮮は昨年7月、計7発の弾道ミサイル発射実験を行い、10月には核実験まで強行した。日本にとって当面の最大の核脅威は北朝鮮であろう。秋葉市長の平和宣言はなぜ、北朝鮮の核の脅威には言及しないのだろうか。



 6カ国協議で、北は寧辺の核施設の稼働停止に応じ、非核化へ向けて第一歩を踏み出したかに見える。だが、核計画の完全申告や核施設無能力化などの問題は先送りされ、実施のメドすら立っていない。北は軽水炉をはじめとする要求を拡大することで、時間稼ぎを図る可能性も残る。



 そうした時期だけに、北朝鮮に対して完全に核廃棄を求める強いメッセージが必要だった。国際社会も日本国民もそれを期待していたはずだ。



 今年の広島の平和宣言は、4月に凶弾に倒れた伊藤一長前長崎市長にも哀悼の意を表した。伊藤前市長が昨年8月9日の長崎原爆の日に読み上げた平和宣言は、「核兵器保有を宣言した北朝鮮は、我が国をはじめ世界の平和と安全を脅かしています」と北の核の脅威にも触れていた。秋葉市長は伊藤前長崎市長から、現実を踏まえた平和宣言のあり方を学ぶべきである。



 6月末、久間章生前防衛相は千葉県内での講演で、米国の原爆投下について「しょうがない」と発言し、大臣を引責辞任した。日本は侵略したのだから原爆を投下されてもやむを得ないという考え方は、今も日本の一部の教育現場に残っている。



 だが、広島や長崎で原爆の犠牲になった人々のほとんどは、非戦闘員だった。米国でも戦後、アイゼンハワー氏やリーヒ氏ら元将校が原爆投下を疑問視する発言をしている。「原爆はソ連との政治戦争に使用された」(米の女性歴史家、ヘレン・ミアーズ氏)といった見方もある。



 現在も多くの被爆者が後遺症に苦しみながら亡くなっている。原爆の悲劇を繰り返さないためにも、バランスのとれた平和教育が必要である。


◆ヒロシマ 原爆の罪と核抑止力のジレンマ (読売社説 07/8/6)

 http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20070805ig90.htm

 広島市の秋葉忠利市長が6日に行う平和宣言では「米国の時代遅れで誤った政策にはノー」としながら、北朝鮮の核については直接、言及がないという。



●市長への手紙

 市長宛に届きます。市政に対する具体的で建設的なご提案などをお寄せください。市政運営上の参考とさせていただくとともに、必要に応じて関係部局から回答させていただきます。

https://www4.city.hiroshima.jp/koe/mayor.html


広島市役所

〒730-8586  広島市中区国泰寺町一丁目6番34号
TEL:082-245-2111


●平和推進担当

〒730-0811
広島市中区中島町1番5号
TEL:082-242-7831
FAX:082-242-7452

peace@city.hiroshima.jp

 平和の推進に関する調査研究及び調整、平和記念資料館、(財)広島平和文化センターに対する指導調整に関すること



by sakura4987 | 2007-08-14 12:31 | ■核問題
2007年 02月 08日
◆【風を読む】 (産経 07/2/5)


論説副委員長・中静敬一郎

 核保有国の北朝鮮とそうでない日本との力関係が大きく変化してしまったことを押さえておきたい。

 先に訪朝した山崎拓元自民党副総裁が「(6カ国協議で)日本は今、何の役割もない並び大名になってしまっている」(1月18日付毎日新聞夕刊)と述べたことや、北が日本を小人を意味する「倭(わ)国」と悪口をいっていることも変容の本質の一端を物語っている。

 北が核実験に成功した昨年10月9日の前は、日朝の国力の差は隔絶したものだった。

 国内総生産(GDP)は日本4兆7000億ドルに対し、北朝鮮は220億ドルで214分の1、

 1人当たりGDPは日本3万6850ドルで北は969ドルで38分の1。

 人口は日本1億2742万人に対し、北は2291万人で6分の1弱だ。

 それが核兵器によって一変してしまうことをフランスの核抑止論を確立したピエール・ガロワ将軍はかつてこう予測していた。

 「核保有国と、この兵器を持っていない国との間では、空前の不均衡が生じる。核戦力を持っていない国は、核保有国に対してまったくの無防備状態にあるということと、軍事同盟体制に依存していても、昨日まで得られた安全保障をもはや期待することはできないという二重の不利を負うことになる」(核戦略と中級国家)

 日本の安全保障が、核保有国を前にして、いかに危ういものになっているかを示していよう。

 作家の塩野七生さんは本紙1月22日付朝刊の「話の肖像画」インタビューで、ローマが1000年以上続いた理由について、

 「運がよかったからでも、彼らの資質が特別に優れていたからでもありません」と指摘したうえで、

 「自分たちの姿を直視し、それを改善してゆく勇気があったからです」と語ったことをかみしめたい。



by sakura4987 | 2007-02-08 16:04 | ■核問題
2006年 12月 28日
◆核弾頭試作に3年以上 費用2000~3000億円 政府内部文書


 (産経 06/12/25)

 「日本が小型核弾頭を試作するまでには少なくとも3~5年かかる」とする政府の内部文書が24日明らかになった。

 「核兵器の国産可能性について」と題した文書によると、日本にはウラン濃縮工場や原発の使用済み核燃料の再処理技術・設備はあるが、技術上の制約から核兵器にただちに転用できないとしている。

 北朝鮮の核実験を機に日本国内では一部に「非核三原則」の見直しや核武装論が出ているが、日本が仮に核武装する決心をしてもほぼゼロからの開発にならざるをえない、という現実を確認したことになる。

 政府内部文書はことし9月20日付で作成された。10月9日の北朝鮮核実験に先立ってひそかに政府機関の専門家が調査し、まとめた。小型核弾頭試作までに3年以上の期間、2000億~3000億円の予算と技術者数百人の動員が必要という。

 これでは仮に日本が核武装宣言しても、ただちに独力で北朝鮮からの「核の脅威」抑止には間に合わない。

 核兵器の材料は、いわゆる広島型原爆材料の高濃縮ウランか長崎型のプルトニウムの2種類。日本原燃の六ケ所村(青森県)原子燃料サイクル施設や日本原子力研究開発機構東海事業所(茨城県)に、ウラン濃縮や原子力発電所の使用済み核燃料再処理工場がある。

 しかし、いずれも軽水炉用で、核兵器級の原料をつくるのには適さない。濃縮工場は純度3%程度の低濃縮ウランを製造するが、そのため稼働している遠心分離機は故障続きで、短期間での大規模化は困難である。

 政府内部文書では、日本が核武装するためには、結局、プルトニウム239を効率的に作り出すことができる黒鉛減速炉の建設と減速炉から生じる使用済み核燃料を再処理するラインを設置する必要があると結論づける。さらに小型核弾頭をつくるためには日本にとって未知の技術開発に挑戦しなければならない。

                   ◇

 【政府文書骨子】

 一、小型核弾頭試作には最低でも3~5年、2000億~3000億円かかる

 一、核原料製造のためウラン濃縮工場拡張は非現実的。軽水炉使用済み燃料再処理をしても不可能

 一、黒鉛減速炉によるプルトニウム抽出が一番の近道

                    ◇

 ■核をめぐる主な動き

 昭和

 30年 原子力三法公布

 37年 国産1号炉が臨界

 44年 動燃事業団、遠心分離法でウラン濃縮実験に成功

 51年 日本政府、核拡散防止条約(NPT)批准

 52年 米原子力政策グループ、再処理凍結を大統領に勧告

 54年 米スリーマイルアイランド2号機で事故

 61年 旧ソ連のチェルノブイリ原発で事故が発生

 平成

  4年 日本原燃産業、ウラン濃縮工場操業開始

  7年 朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)設立

  8年 包括的核実験禁止条約に署名

 10年 インドとパキスタンが相次ぎ核実験

 13年 米中枢同時テロ

 15年 北朝鮮がNPT即時脱退を宣言

 17年 国連総会が核テロリズム防止に関する国際条約を採択

 18年 10月9日、北朝鮮が地下核実験

 (電気事業連合会のサイトなどから)


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◆「核兵器の国産可能性について」の要約 膨大な資金・大規模設備 非現実的

 (産経 06/12/25)

 政府内部調査資料「核兵器の国産可能性について」(2006年9月20日)の要約

 1、結論

 法令や条約上の制約がないと仮定しても、現在国内にある核関連施設や核燃料などを使って1~2年以内に核兵器を国産化することは不可能である。小型弾頭を試作するまでに最低でも3~5年、2000億~3000億円の予算と技術者数百人の動員が必要。核実験せずに開発すれば期間と費用はさらに増える。

 2、原材料の入手可能性

 (核弾頭の原材料)運用可能な核弾頭の材料としては、94%以上の純度の金属プルトニウム(Pu)239=いわゆる長崎型=を最低でも約5kg程度必要。Pu239を作るためにはウラニウム(U)238を黒鉛減速炉か重水減速炉の中で3~6カ月照射し、冷却、再処理、冶金(やきん)加工が必要。U238は日本原子力開発機構人形峠事業所(現・人形峠環境技術センター)、日本原燃六ヶ所ウラン濃縮工場で合計約1万トンが保管されている。

 U235による核=広島型=を作るためには、六ヶ所濃縮工場のほぼ10倍の1万トン規模の濃縮設備が必要だが、資金・設備とも現実的ではない。

 (U238の国内保有)U238については、日本原子力研究開発機構人形峠事業所、日本原燃六カ所ウラン濃縮工場で合計約1万トンが保管されている。大部分がフッ化物として圧力容器に保管されている。第一段階としてフッ化物のU238を金属か酸化物に転換し、燃料集合体に加工する必要がある。

 (原発の使用済み燃料からの製造)現在の技術ではPu240を分離除去する方法がないので、軽水炉から取り出した使用済み燃料からは核兵器を作ることは事実上不可能である。

 原子炉でU238に中性子を照射するとPu239より重い同位体Pu240、242、244が増えるが、核兵器に使えるのはPu239のみで、Pu240などがPu239に対して7%以上混在していると突然暴発する。軽水炉や高速増殖炉ではPu239に対してPu240が20~30%も産出する。

 東芝と金属鉱業事業団が開発した原子レーザー法はPu239を選択的に取り出せる技術だが、未完成である。

 もうひとつ、軽水炉の炉心を改造し、U239の製造に適した特別の領域を設け、頻繁に燃料交換する方法があるが、商業発電用原子炉では非能率で無理がある。

 3、製造工程の利用可能性

 (黒鉛減速炉の必要性)Pu239を効率よく作るためには、必要以上に中性子を吸わない黒鉛減速炉か重水減速炉が適している。日本にはかつて日本原電東海事業所に黒鉛減速炉が、重水炉としては日本原子力研究開発機構ふげん発電所(福井県敦賀市)があったが、いずれも廃炉になっており、再操業は不可能。

 最も合理的な選択は小型の黒鉛減速炉の新設である。高純度の黒鉛ブロック100トン程度と天然ウラン燃料、U238燃料集合体がそろえば、比較的簡単に建設運転できる。高純度黒鉛は国産の半導体製造用黒鉛を転用できる。この新型炉は核弾頭1個だけならごく小規模で済むが、数をそろえるためには規模を大きくする必要がある。

 (再処理工場の必要性)黒鉛減速炉から取り出した使用済み燃料を再処理してU239をつくる。日本原子力研究開発機構東海再処理工場、日本原燃六ヶ所再処理工場の場合、軽水炉用なのでPu240で「汚染」されている。高純度のPu239を作ることは困難である。

 従って東海再処理工場を洗浄・改造しPu239専用とするか、小規模な専用再処理ラインを併設する必要がある。

 4、弾頭化の可能性

 (起爆)94%以上の高純度の金属Pu239を海綿状に加工した中心核をU238や金属ベリリウムなどの中性子反射体で包んでコアをつくり、コアの外部から爆薬で爆縮して臨界(核分裂が連鎖して起き始めること)させる技術が必要。

 (核保有と核兵器保有の境界)爆縮を起こすためには、方法が2つある。1つは多面体の爆発レンズで包み、少量の高性能爆薬の衝撃波をコアに効率よく集中させて起爆する「爆薬レンズ法」。もうひとつは、地下の坑道などで数十トンの爆薬でコアを覆い、無理やり爆縮させる「坑道法」である。運用可能な核兵器をつくるためには爆薬レンズ法が必須だ。爆薬レンズ法技術が進んでいれば、Pu239を強いて爆発させる実験は不要で、多くの核保有国は未臨界核実験で十分としている。

 爆薬レンズは日本の技術力では十分開発可能だが、ゼロからの開発になるため、材料や要素技術がそろっていても数年を要する。核実験をせずに完成させることは不可能ではないとしても時間と費用がかさむ。

 (弾頭工場)再処理工場でつくられたPu239の酸化物粉末は臨界を起こさないように還元して金属とし、成形加工する工場が必要。機密管理などのために、日本原子力研究開発機構東海事業所の地下か、防衛庁の既知内部などに設置する必要がある。



by sakura4987 | 2006-12-28 19:38 | ■核問題