◆【次代への名言】4月6日・ジョージ・ワシントン
(産経 2009/4/6)
■「正直は常に最上の知恵である-ということわざは、私事のみならず、公事にもあてはまる、と私は真に思う」(ジョージ・ワシントン)
220年前のきょう、米国上院は、新たな任務に就く「建国の父」、ワシントンを迎えるための式典の日時や手順について最終合意し、閉会した。こうして、初代大統領の就任式が同じ月の30日、ニューヨークで開催されることになった。
「人生につきものである有為転変のなかでも、今回ほど不安を感じることはありません」。就任演説はこんなことばではじまっている。無理もない。独立戦争で疲弊する一方で、州の権限が強すぎて国内がまとまらない。だから、「国のかたち」を定めた憲法を制定したが、うまく機能するのか。しかも、就任式から2カ月半後にはフランス革命が勃発(ぼっぱつ)し、やがて欧州は戦火に包まれる-。
独立戦争のとき、総司令官のワシントンは、不屈の魂で劣勢を覆した。大統領として国難に直面したとき、彼が選んだ「知恵」はいずれの国内党派、欧州のどの国にもくみしない不偏不党だった。言うは易(やす)い。だがこれは、必要経費以外のいっさいの報酬を辞退し、「公」に尽くし続けた彼だったからこそ可能だった。
こんなワシントンの清廉さは子供でも知っているはずなのに、米国でも歴史教育がなおざりにされていたのだろうか。最近、そう思わせるニュースが多い。