◆中日春秋 (中日 2009/4/19)
http://www.chunichi.co.jp/article/column/syunju/CK2009041902000053.html
こんなことを言うのは、五は奇数だと主張するようなものだが、漢字は素晴らしい
第一に、アルファベットのように音だけでなく、一字に情報が詰まっている。評論家の森本哲郎さんが随筆で挙げていた例は中国の踏切で見た「一慢二看三通過」という注意表示。確かにこれだけで「ゆっくり(あわてず)、よく見て、渡ろう」の意と察しがつく
元は中国からの輸入品だが、『新潮日本語漢字辞典』の執筆者小駒勝美さんによれば、今、われわれが使っている漢字は日本が独自に進化させたものという。だから著書名は、ずばり『漢字は日本語である』
最大のポイントは中国にはない訓読と送りがなの発明。訓読で一字の意味が明確になるため、大量に新しい熟語も造られた。本家への逆輸入も多く「共産主義」や中華人民共和国の「人民」「共和」さえ、そうだという
日本で漢字熱が高いのも道理だが、その象徴でもある「漢検」の元締、日本漢字能力検定協会は依然、カネにまつわる疑惑の渦中。やっとトップの親子が身を引き、検定料も下げる話になったようだが、ついに検察が捜査を始めたとの報道である
漢字の持つ表現の「豊かさ」が、誰かの懐の「豊かさ」のために利用されたなら言語道断。文科相は中止の可能性も口にしたが、漢検の趣旨には罪はない。出すべきうみは出し、検定自体は守ってほしい。

