◆ロシア:信仰の復活は本物?
(世界日報 2009/4/25)
ロシアといえば、かつて共産主義の総本山であった。ソ連時代、徹底した宗教弾圧・反宗教教育が行われた。現在のロシア人は、少なくとも何倍も日本人より信仰心があると思われる。ソ連時代は「神を信じる」と言えば社会的に抹殺されたが、今では「神を信じない」と公言すれば選挙で勝てない。
当初、「ロシア正教の復活は一過性の流行りだろう」との見方もあった。しかし、礼拝に出てみて、「これは信仰なしでは無理だ」と思うのである。なぜか?
プロテスタントやカトリックの教会には椅子がある。しかし、ロシア正教の教会には椅子がなく、立って礼拝を受ける。礼拝は三時間ほど続く。祈りと聖歌が延々と続き、信者たちは十字を切りながら、ひたすら聴く。
「……しんどい」
不信心者の筆者は集中力が続かず、周りの人の顔を観察した。どの人も、恍惚としている。椅子に座っていれば美しい聖歌を聞き熟睡するところだが、立っているので眠ることもできず、トランス(恍惚)状態に入ってしまうのだろう。
四月十八日から十九日にかけての深夜、ロシア正教で復活祭の礼拝が行われた。正教の総本山「救世主キリスト教会」の礼拝には、メドベージェフ大統領、プーチン首相も出席した。
キリル総主教が「キリストが復活した!」と叫ぶと、全信者が「まさに復活した!」と大声で叫び返す。怖い者知らずのKGB男プーチンも、キリストの復活を喜ぶとは。