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◆スターリン批判から50年の様変わり 露の歴史問題に無関心すぎぬか

■【正論】拓殖大学海外事情研究所教授 佐瀬昌盛 (産経06/2/23)

≪ソ連国内では「秘密」扱い≫

 ちょうど五十年前の一九五六年二月二十五日、ソ連共産党第二十回大会でフルシチョフ第一書記がスターリンの個人崇拝と同志大量粛清を強く批判する秘密報告を行った。

 これが引き金でこの年は、半世紀に及んだ冷戦期でも屈指の激動の年となった。ポーランドを震撼(しんかん)させた「ポズナニ暴動」やソ連との衝突すれすれまでいった指導者交代劇、ハンガリーの「人民蜂起」(死者はハンガリー側で二万五千人、ソ連軍兵士七千人)は、いずれもフルシチョフ報告に起因していた。

 ハンガリーの悲劇と相前後して「スエズ危機」が起きた。やはりフルシチョフ演説と無関係ではない。非スターリン化を渇望するブダペストの離反を力を行使してでも阻止すべく、ソ連指導部は必死だった。だから英仏は、ソ連は動けまいと踏み、スエズでの権益回復のためイスラエルを誘って軍事進攻に出た。

 案に相違してモスクワは英仏に史上初の核恫喝(どうかつ)書簡を送った。英仏の期待に反し、なんと米国は両国の行動を批判した。これを教訓としてイスラエルは英仏から離れ、対米関係重視に転じる。

 ところが、震源となったソ連でスターリン批判は徹底しなかった。全世界がほどなくフルシチョフ報告の深刻な内容を知ったのに、肝心のソ連では「秘密」扱いが続いた。公表は共産体制維持にとり危険とみられたのだ。

≪今日では汚名と結ばれず≫

 秘密解禁は一九八九年。皮肉なことに、そのころ秘密主義の共産体制はもたなくなっていた。また、秘密報告が公表されたころ、人びとはフルシチョフを忘れはじめた。若き日に秘密報告に打たれ、三十年後にペレストロイカを進めたゴルバチョフまでもが忘れられつつある。分かりにくい国だ、ロシアは。

 他方、スターリンはどうか。昨年五月、プーチン大統領は、戦勝国、旧敗戦国首脳の参加の下、第二次大戦勝利六十周年を派手に祝った。スターリンは、フルシチョフが描いたダメな戦争指導者ではなく、改めて「大祖国戦争」勝利の立役者扱いとなった。

 プーチン大統領はスターリンが歿した五カ月後に生まれ、フルシチョフ秘密報告時にはまだ三歳だったから、スターリン時代を皮膚感覚的には知らない。また、その精神形成期に受けた教育ではスターリン批判は忘れられていた。だから、そのスターリン観が厳しくなくとも不思議ではない。これはロシア国民一般のスターリン観にもたぶんに影響していよう。

 今日、外から見るとロシア世論はスターリンに対しひどく寛容だ。昨年十一月の旧革命記念日に因(ちな)む世論調査では、この独裁者への否定的評価も高くはあったが(45・5%)、肯定は37・3%で、レーニン(54・5%)、最後の皇帝ニコライ二世らに次ぎ第四位につけた。外国はこの現象に首をひねる。

 米外交誌『フォーリン・アフェアーズ』最新号は、ロシアでの独自調査に基づく論文を巻頭に置き、「今日のロシアではスターリンは汚名と結ばれていない」と書いて、その理由を探っている。同じような探索は英国でもドイツでも見られる。一九九〇年までソ連に屈していた東欧やバルト三国では、ロシアに漂うスターリン郷愁に怒りと不安が渦巻きはじめている。

≪プーチン戦略に乗る日本≫

 スターリン評価のこの内外格差に注目すべきだ。「資源輸出国」ロシアは、このところの原油・ガス国際価格の高どまりで鼻息すこぶる荒く、十年足らず前の「債務繰り延べ」要請から一転、「期限前返済」攻勢をかけている。初のG8サミット議長となるプーチン大統領は、「エネルギー・サミット」を呼号、中国との軍事面での「戦略的関係」といい、イラン核開発問題での独自の言動といい、外交的に抜け目がない。

 G8中では日本が唯一、スターリンに起因する「未解決の」問題、すなわち領土問題をもつ国である。が、その国にしては小泉首相の対露外交姿勢があまりにちぐはぐだ。

 スターリンというロシアの「歴史問題」には、まるで無関心。一昨年夏には北方領土を洋上視察。が、一九四五年五月にはソ連と戦争していなかったのに六十年後の「戦勝祝賀」には敗戦国として出席、この矛盾に一言半句の言及もなし。二月七日の「北方領土返還要求全国大会」には欠席、代理派遣もなし。七月のロシアでのG8サミットでは、どう出るつもりなのか。

 五十年前の一九五六年は「日ソ共同宣言」の年でもあった。で、一部の政治家は祝賀を思案中だと聞くが、脇が甘すぎる。相手は手ごわいのに。(させ まさもり)
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by sakura4987 | 2006-02-26 09:13

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