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◆残留孤児2世の日本人男性 中国で7年服役

 「外務省の依頼で情報収集」

「助ける」約束…保護されず  (産経2/21)

 中国で国家機密を入手したとして、日本人男性が一九九六年に逮捕され、
二〇〇三年まで約七年間、北京の刑務所で服役したことがわかった。男性
は産経新聞の取材に、「日本の外務省職員から情報収集を依頼され、逮捕
されたら外交ルートで助けると言われたが、実際は助けてもらえず、帰国
後も外務省からは謝罪のひと言もない」などと話した。

 証言が事実なら、民間人を利用し機密情報を集めさせたこと自体、外交
活動の範囲を逸脱している。邦人保護が行われなかったことに加え、先の
上海総領事館員自殺事件同様、情報活動をめぐる外務省の対応のまずさが
改めて問われそうだ。

 服役していたのは、東京都内に住む会社経営、原博文氏(40)。原氏
は九一年に、残留孤児だった母親ら家族と日本に帰国。都内で情報紙を発
行するなどしていた。

 産経新聞が入手した中国の裁判所の判決文によると、原氏は九六年六月、
中国の秘密情報を所持していた容疑で中国当局に逮捕され、翌年、国家秘
密探知罪で懲役八年の実刑判決を受けた。彼の協力者とされた中国の公務
員など数人も懲役五年から同七年の判決を受けた。

 判決文によると、原氏は国営新華社通信が内部で発行する秘密資料の
「経済決策(方針)情報」や「内部参考」「国際内参」などの資料や「内
部参考音像版」を複写したテープなどを得ていたという。

 原氏によると、最初に外務省国際情報局のキャリア官僚から連絡があっ
たのは九四年。当初は意見交換だけだったが、やがて情報提供を依頼され
た。仕事で中国に出張した機会などを利用し、中国国内で情報を集め、十
数回、外務省職員に資料を渡し、謝礼として、毎回十万から二十万円を受
け取ったという。

 この間、原氏が中国当局による摘発を恐れ、外務省への協力をやめたい
と申し入れたが、外務省職員からは、「国益のためです」「仮に中国に逮
捕されれば、外交ルートで救出する」などと言われ、情報収集を続けるよ
う説得された。しかし、原氏が実際に逮捕され、刑務所に入った後は、北
京大使館員が面会に来ただけだったという。

 原氏が刑期を終え、帰国した後、ようやく探しあてたかつての外務省の
担当者からは、「終わったことだ」「生活が苦しいなら、生活保護を申請
すればどうだ」などと言われたという。

 原氏は現在、再び情報紙を発行する会社を立ち上げ、中国ビジネスに関
するコンサルタントを行っている。

 今回、帰国から三年がたって取材に応じた理由について、原氏は上海総
領事館の電信官自殺事件を聞いたのがきっかけとしたうえで、「外交官は、
私が逮捕されると厄介になり、簡単に切り捨てた。事なかれ主義の外務省
によって隠されてしまった。上海の事件も、私の事件と本質は同じだと感
じた」と話している。

 この件に関して、外務省は二十日、産経新聞の取材に対し、「特定の個
人に関する事柄については答えられない。外務省の情報収集活動の内容な
どについて、具体的に述べることは差し控えたい」と、文書で回答してい
る。

          ◇

≪無責任、保護は大前提≫

 ▼菅沼光弘・元公安調査庁調査第二部長の話 

 本当の機密情報とは、非公開情報であり、それを集めることは、情報機
関でない外務省ではできない。また、外交官はそのための訓練・教育を受
けていない。

 その外交官が、この程度の民間人を使って取れる情報は大した価値はな
い。今回の証言が事実ならば、民間人に対し、「逮捕されたら助けるから」
などと、できもしないことを言ってやらせたこと自体、無責任だ。

 さらに「国家のためだから」などと言って、結局助けられないと、協力
者は国に裏切られたと思う。協力者を守ることは情報機関の命だ。

 情報機関をめぐる論議が盛んだが、公開情報を分析するだけなら情報機
関はいらない。相手が知られたくない非公開の情報を取ってくるのが情報
機関の仕事だ。同時に、カウンターインテリジェンスつまり防諜(ぼうち
ょう)も必要だ。

 上海総領事館の電信官が自殺した事件をみても、各国大使館で電信官の
仕事をしているのは普通、外交官ではなく情報機関の人間だ。まして、電
信官の立場の人間がひとりで中国のカラオケに出かけることなど、他国で
は考えられない。

 その意味で、外務省は、情報を集めるのも守るのも組織としてまったく
できていない。外務省は完全に弱体化しており、その立て直しこそ、焦眉
(しょうび)の急だ。
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by sakura4987 | 2006-02-27 09:07

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