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◆重ねて外務省の「歴史認識」を糾す

「産経」05/08/29正論

理解できぬこの時期のHP掲載
東京大学名誉教授・小堀圭一郎 

 近日我が国の(中国のではない)外務省が恐るべき悪質な反
日宣伝活動を開始した。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/taisen/qa/index.html

 筆者はコンピューターの類を一切扱ふことのできない不器用
者なのだが、以下は或る知友が外務省のホームページを開いた
ところ「歴史問題Q&A」といふ掲載に遭遇し、十項目に亙る
その質問に対する「外務省の公式見解による回答」なるものを
導き出した結果を筆者に送つてくれた、それを見て言ふことで
ある。

 第一問は、〈先の戦争に対して、日本政府はどのような歴史
認識を持っていますか〉といふ形なのであるが、この問ひかけ
の語法と用語を見ただけで、そこに想定されてゐる質問者が中
国・韓国内の専門反日活動家及びそれに同調する諸外国の反日
勢力であることが看て取れる。選(よ)りによつて本年のこの
時期に、いつたい何故に外務省はこの様な愚かな質問を、さあ
日本政府に向けて発してみよ、と言はんばかりに国際電子空間
に向けて撒(ま)き散らすのであるか。

 コンピューターの画面上にこの質疑応答を捉(とら)へた人
の話によると、掲載に気がついたのは八月十二日の事であると
いふ。それが初出ならば八日に国会の解散が決り、九月十一日
の投票日までに約一箇月の政治的空白が生ずるといふ見通しが
生じた直(す)ぐ後のことである。この異様な宣伝工作の開始
に気づいてその阻止のために手を打つであらう明敏な政治家(
国会議員)が居たとしても、政局の混乱を目前にしておそらく
は動きが取れぬ、その隙(すき)を狙つての確信犯的工作では
ないのか。

 この第一問に対する外務省の回答、即ち日本政府の「歴史認
識」といふのが、〈かつて植民地支配と侵略〉によつてアジア
諸国の人々に〈多大の損害と苦痛を与え〉た事を、我が国は〈
痛切なる反省と心からのお詫びの気持ち〉を常に心に刻んでゐ
る状態なのださうである。そしてその参考として平成七年八月
十五日の、あの「村山謝罪談話」と本年四月二十二日のアジア
・アフリカ会議に於ける小泉首相演説の触りの部分、つまり最
悪の自己毀傷(きしょう)的表現を性懲りもなく反復引用して
ゐる。

 全て物事はその名を正しく呼ぶことが正しい理解の大前提で
ある。この正名論から言へば〈先の戦争〉とは我々日本人にと
つては「大東亜戦争」である。そしてこの戦争の性格の歴史的
解釈権は我々日本人の側にある。何故に正しい名を以て我々自
身の解釈を語らないのか。しかも「侵略」者の烙印(らくいん
)を我々に灼(や)きつけたのはあの「中世的野蛮」の復活た
る極東国際軍事裁判だつたのであり、この裁判の不法性は今や
世界の国際法学界の定説となつてゐるといふ事態をどう認識し
てゐるのか。

 日米戦争開始以前の日本の大陸政策については、東京裁判の
実施と判決の最高の責任者であつたD・マッカーサーが、審理
終了のわづか二年半後に、日本の多年の防共努力にあまりにも
理解を欠いてゐたことが、アメリカの国家戦略として過去百年
の歴史上合衆国最大の過誤であつたと深刻な後悔を述べた。狭
義の大東亜戦争の開戦については、日本の行動は自存自衛の必
要に迫られてのことであつた、と、我々の主張に深甚の同調を
表明してゐるのである。

 〈先の戦争〉についての歴史認識を語る上では昭和二十六年
五月三日の合衆国上院軍事外交合同委員会でのこのマッカーサ
ー証言の意味は決定的に重要である。それを取り洩(も)らし
たままで村山談話を表に振りかざすといふ外務省の心理は殆(
ほとん)ど病的であると言はなくてはならない。

 第一問の回答に既に以上の錯乱を見せているのだから後は推
して知るべしである。

 「戦争被害国に公式謝罪はしたのか」、同じく「賠償はした
のか」「従軍慰安婦をどの様に考えるのか」(この設問も正名
論上元来成立しないのである)「総理の靖国神社参拝は侵略の
正当化ではないのか」「南京大虐殺をどう考えているのか」等
々、設問自体が現に我が国を敵視し誹謗(ひぼう)に是努める
相手に向けての阿諛(あゆ)追従であり、それへの回答が又恥
づかし気もなき誤謬(ごびゅう)と迎合の連続である。

 例へば第九問の東京裁判関連への回答で、サンフランシスコ
平和条約の第一一条(釈放条件規定)を「裁判の受諾」として
ゐるのは完全な曲解である。ここでパール判事の名を挙げても
ゐないのはマッカーサー証言にふれない欠陥と同工と言へよう


 この一問一答は、明日にも英・中・韓国語等に翻訳されて広
まる可能性がある。この政治の空白期にそれを阻止する力を、
我々はいつたい何処に求めたらよいのか。
by sakura4987 | 2006-03-04 15:18

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