◆国連人権理創設が暗礁に、米が設立決議案に猛反対
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20060303id23.htm
【ニューヨーク=白川義和】国連改革の目玉である人権理事会の設立について、エリアソン国連総会議長(スウェーデン)がまとめた設立決議案に米国が強硬に反対し、暗礁に乗り上げつつある。
決議案は大半の国が賛成しており、表決に付せば採択は確実。しかし、米国が反対票を投じれば、新組織の発足から傷が付くだけに、エリアソン氏や関係国は頭を痛めている。
「我々は決議案は受け入れられないと決めている。ライス国務長官は再交渉すべしとの指示を出した」
ボルトン米国連大使は2日、記者団にこう述べ、米国が孤立してでも断固反対するとの姿勢を示した。
人権理は、昨年9月の国連首脳会合で、人権委員会に代わる人権審議機関とすることで合意していた。
人権委員会はメンバー53か国で、キューバやスーダンなど人権状況に問題のある国も名を連ねる。過去に落選経験を持つ米国は、人権理のメンバーを30か国以下にし、国連総会での3分の2以上の賛成で選出するよう主張。現状維持を図る途上国グループとの間で論争が続いていた。
エリアソン氏が妥協策として先月23日に提示した決議案は「メンバー47か国、国連加盟国の過半数の賛成で選出」。また、預言者ムハンマドの風刺漫画問題でイスラム諸国の要求を受け、「メディアが宗教と信仰への敬意を高めさせる役割を持つ」との一節を加えた。
途上国グループは決議案を受け入れ、アムネスティなど人権団体も肯定的評価を下したが、米国だけが「多くの欠陥」があると反発。ボルトン氏の姿勢をこれまで「高圧的」と批判してきたニューヨーク・タイムズ紙も社説で、決議案は現状維持の「恥ずべきごまかしだ」と珍しく共闘している。
人権委員会が始まる13日までに決議案が採決されないと、円滑な移行もおぼつかなくなる。エリアソン氏は米国の説得に全力を挙げているが、米国に配慮して決議案を修正すれば、途上国側の反発で大混乱は必至だ。エリアソン氏は「『パンドラの箱』という言葉を周囲からこれほど聞かされたことはない」と修正に否定的な考えを示している。
(2006年3月4日0時25分 読売新聞)

