◆【世界の論調】中国の言論弾圧と米ITメディア
▼米紙 「ワシントン・ポスト」 (2/6)
ニューヨーク・タイムズ紙が北京で雇っていた調査報道記者の趙岩氏が
今後数週間以内に、詐欺罪と国家機密漏洩(ろうえい)罪で裁判に掛けら
れる見通しだ。彼の起訴は、中国の胡錦濤体制が、独立心に富んだジャー
ナリストに対する締め付けを強化している最中の出来事である。
政権側の弾圧は過去一カ月の間だけでも、二つの人気出版物の休刊や編
集者の更迭、広く読まれているインターネット・ブログの閉鎖、新聞記者
一人の投獄につながった。
しかし、趙氏の裁判は、他のどんな事例よりも、胡錦濤国家主席が中国
における自由な情報の流れを阻止することに、いかに強い熱意を燃やそう
としているかを示している。
趙氏のケースは注目を集め、ライス国務長官はそれについて公然と発言。
ブッシュ大統領が昨年の訪中の際、胡主席に手渡した人権問題リストにも
彼の名が載っていた。
しかし、そして趙氏が米有力紙のために働いていたという事実も、彼を
禁固十年かそれ以上の判決が予想される裁判に掛けようとする北京政府の
動きを阻むことにはならなかった。
一方、最も有名な米国の(IT)メディア三社も、胡主席の言論弾圧に
積極的に協力している。すなわち、ヤフーは反体制派ジャーナリストの身
元を中国当局に告知。彼は昨年、逮捕され、禁固十年の刑を宣告された。
マイクロソフトも中国国内で展開しているネットワークサービスのブロ
グに記入された「民主主義」や「人権」などの言葉を検閲のキーワードに
し、最近になって政治的なブログを閉鎖した。
これでは米国が本当に、中国における表現の自由実現を望んでも、胡主
席に、それは信じられない、という言い逃れを許すことになろう。
◆【中国情報】ヤフーの情報提供で懲役刑 腐敗告発の元公務員
産経新聞2/10
国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(本部パリ)は九日、米イ
ンターネット検索大手ヤフーが中国当局に情報提供したために、地元政府
の腐敗をネット上で批判した元地方公務員が国家転覆罪で懲役八年の判決
を受けたと発表、ヤフー側にこれまでに当局に情報提供した活動家のリス
トを公表するよう要求した。
ヤフーは昨年、湖南省の地元紙記者が政府の内部文書を国外の民主活動
家らにメールで送ったとして、国家機密漏洩(ろうえい)罪で懲役十年の
判決を受けた件でも、当局に情報提供したことを認めている。同記者団は
「ヤフーが継続的かつ効率的に中国の警察に協力していることを示した」
と強く批判した。(北京 共同)