◆増える「高校で中国語」 長崎・壱岐高の場合
2005年09月19日18時05分
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200509190093.html
中国語や中国の歴史・文化の学習をカリキュラムに組み込む高校が
増えている。文部科学省の調べで、中国語教育に取り組む高校は03
年5月時点で475校で、10年間で約3倍に増えた。教育特区の認
可を受け、今年度から「中国語専攻」を創設した長崎県の離島・壱岐
にある県立壱岐高校(川本敏光校長、777人)を訪ねた。
「上課了(シャンカーラ)(授業を始めます)」。1年生の授業は、
あいさつから始まった。教壇では、上海外国語大から講師に招かれた
毛文偉さん(32)と、渋谷憲昭先生(34)がペアを組んでいた。
毛さんの発音の後に生徒が続き、渋谷先生が文法などの注釈を加え
る。初めは発音練習が中心。「ここの発音が難しいです」。時々、毛
さんが助言する。中国語の授業は週6時間ある。
県が申請した「壱岐いき離島留学教育特区」が昨年6月に認可され、
同校は今年度、中国語専攻を新設した。壱岐は日本と大陸の接点とし
て、古くから中国とかかわりが深かった。その地で「中国語教育を進
め、国際交流を担う人材を育てる」を目標に掲げる。
1期生は男子が5人、女子が6人。大阪や福岡など遠方から来た生徒もいた。
山本裕介君(15)は福岡市から来た。「世界の中で中国が目立っ
てきている。ちょっとでも中国のことを知り、将来に生かしたいと思
った」。発音が苦手だが、CDをこまめに聴いて少しでも慣れるよう
にしている。
長崎県大村市出身の山口彩乃さん(15)は三国志から中国に興味
を持った。「中国の文化に触れてみたかった。発音は難しいけれど、
もっと勉強して留学し、将来は通訳の仕事をしたい」と話す。
毛さんは生徒の学習意欲の高さに感心している。「生徒は非常にまじ
め。私の予想以上に学習が進んでいる」
語学だけでなく、中国の歴史・文化も学ぶ。特区に認定されたことで、
学校の裁量で設定が認められている科目単位の上限(20単位)を超え、
25単位を中国関連の授業で取れるようにした。7月末には上海を語学
研修で訪ねた。
渋谷先生は「生徒が中国語を自信を持って話せるぐらいにはしてあげ
たい。日中間には色々な問題もあるが、お互いを知ることが大事。交流
の懸け橋になってくれれば」と話す。
「中国語熱」は地域にも広がっている。昨年はPTAが中国を訪問。
今秋の地域開放講座では、毛さんと渋谷先生が島民に中国語を教える予
定だ。
◇約4万人、英語以外の外国語で学ぶ
文科省の03年5月現在の調べで、約4万2000人の生徒が英語以
外の外国語を何らかの形で学んでいる。最も多いのは中国語で、フラン
ス語、朝鮮・韓国語と続く。
石川県立金沢辰巳丘高(金沢市)は、県が提唱する「環日本海文化圏
構想」の一環で、95年に中国語専攻を設置した。中国人の外国語指導
助手(ALT)を交え、現在は1~3年の計20人が学んでいる。生徒
は中国語のスピーチ大会などに参加しているという。
多様な言語を教えているのは慶応志木高(埼玉県志木市)。アイヌ語
を含めて「言語数」は22にのぼる。91年から希望者向けに放課後に
実施していた。03年からは、2年生が前・後期でそれぞれ1言語を週
2時間学んでいる。
各言語とも最低1人は生徒がいて、大学教授や地域の専門家が教える
ケースもある。授業内容は語学を習得するというより、その国の文化を
伝える色彩が強いという。足立文治主事(教頭職)は「他の国の文化を
知ることで、多角的な思考力を育て、探求心を旺盛にしてほしい」と話
す。語学習得を希望する生徒には放課後に特別授業をしているという。
若者への外国語教育を推進している「国際文化フォーラム」によると、
中国語を何らかの形で教えているのは現在、約650校。「総合的な学
習の時間」や課外活動で中国の言葉や文化を学ぶ例もあるため、「文科
省の統計数字より多くなった」という。同フォーラムは「多彩な外国語
授業が増えるのは歓迎するが、今後は教材や教員の研修体制を充実する
必要がある」と話している。
◇
《慶応志木高で教える22言語の内訳》 アイヌ▽アラビア▽イタリア
▽インドネシア▽ベトナム▽古典ギリシャ▽古典ラテン▽サンスクリット
▽スペイン▽スワヒリ▽タイ▽中国▽朝鮮・韓国▽ドイツ▽トルコ
▽ミャンマー▽フランス▽ヘブライ▽ペルシャ▽ポルトガル▽モンゴル▽ロシア

