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◆ガス田協議 「尖閣で共同開発」 中国提案、政府拒否へ

 (産経06/3/8)

 【北京=野口東秀】東シナ海の石油ガス田開発をめぐる第四回日中政府間協議が七日終了した。日本外務省筋によると中国側は新たにわが国固有の領土である尖閣諸島と日韓共同大陸棚まで共同開発の対象とするよう提案した。中国は「白樺」(中国名・春暁)ガス田の開発中止にも応じず、日本側は反発を強めている。

 日本の外務省関係者によると、中国側の新提案で共同開発の対象とされた尖閣諸島と日韓共同大陸棚には石油ガス田が埋蔵されているとの指摘が以前からあるが、試掘データがないため埋蔵の有無ははっきりしない。

 そのため、中国側の新提案には、日本の領土である尖閣諸島まで対象に含めることで、日本政府を強く揺さぶる狙いがあるとみられる。

 李肇星外相は七日、人民大会堂での記者会見で「中国の開発活動は、中日双方による争いのない中国の近海で行われている」と述べ、あくまで「白樺」「樫」(中国名・天外天)などの開発は「共同開発の対象外」とする姿勢を示唆した。

 協議では、東シナ海の日中間の境界線をめぐる議論は平行線をたどった。日本側が「白樺」などの生産開始時期を含めた情報提供を求めたうえで開発中止を要求したことにも中国側は反発した。

 日本側代表の佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長は協議終了後、「中国側には協力を通じて前進を図るとの意欲はあったと思うが、それが現実的な中身に反映されているかどうかは別の問題だ」と中国案の受け入れは難しいとの立場を示した。次回協議は東京で行われる。



◆ガス田協議 中国の分断策を警戒せよ (産経06/3/8)

 東シナ海のガス田開発をめぐる第四回日中政府間協議は、両国の主張が平行線のまま終わった。

 中国側は今回、新しい共同開発案を示した。中国は日中中間線付近で一方的に開発を進める「白樺」(中国名・春暁)ガス田などについて、共同開発の対象としない方針を堅持し、一方で、尖閣諸島などを共同開発の対象とするよう求めた。妥協の余地はない。

 日本側が前回協議で示した中間線の両側を対象海域とする共同開発案は、両国にとって公平なものであり、今後も譲るべきではない。

 心配な点は、最近の二階俊博経済産業相の言動である。今年一月、地元和歌山県での意見交換会で、「国内には試掘をやったらいいと、元気のよい発言をする人もいるが、私はその道は取らない」と明確に試掘を否定した。

 また、二階氏は二月に訪中して温家宝首相と会談した。同時期に訪中した中川秀直自民党政調会長とは対照的な歓待を受けた。温首相は二階氏との会談で、ガス田開発問題について「係争を棚上げし、平和の海として協力していく」と述べた。二階氏は「日中両国の経済協力に明るい見通しが立ったら、日本に来てもらいたい」と訪日を要請したといわれる。

 中国は東シナ海を平和の海にしようとしているというより、係争の海にしようとしているのではないか。中間線付近の海域に軍艦が出動し、日本の防空識別圏には中国機が侵入して自衛隊の電子情報を収集している。「白樺」ガス田では試運転が始まり、月内にも生産を開始する予定だ。

 二階氏はこの問題を所管する大臣として、国益を重視し、日本の立場を強く主張すべきだ。「試掘」は元気のいい人が言っているのでなく、主権国家として当然の権利である。中国に誤ったメッセージを与えてはならない。

 中国の胡錦濤国家主席は、日本国際貿易促進協会会長の橋本龍太郎元首相ら日中友好団体の代表らと会談する方向で日程を調整している。親中派の取り込みを狙う中国の分断工作には、重ねて警戒が必要だ。

 中国の既成事実化を許さないためには、日本も海上保安庁や防衛庁などが協力し、万全の体制で試掘が行えるよう準備を急ぐべきである。




◆“及び腰外交”大きなツケ 境界画定棚上げ論も (産経06/3/8)

 日本政府内には未確定の日中中間線の境界画定を棚上げし、共同開発論議を前進させるという秘策も浮上している。

 だが、東シナ海の海洋権益確保に猛進する中国にどう対処するかという根本問題の解決にはほど遠い。試掘実施が最も効果的な対抗策のはずだが、“及び腰外交”を繰り返す政府の対応が今日の事態を招いたといえる。


≪秘策≫

 親中派で知られる二階俊博経済産業相でさえ、七日夜、記者団から東シナ海のガス田開発をめぐる中国側の新提案について質問され、「受け入れられる提案ではない」と苦渋の表情を浮かべた。政府筋も「受け入れがたい内容だ。のめるはずがない」と述べ、新提案を拒否する考えを示した。

 政府は昨年九月の局長級協議で、日中中間線付近にある白樺(中国名・春暁)、樫(同・天外天)など四つの石油ガス田を共同開発の対象とするよう求めていたが、中国の提案は、中間線の日本側海域だけを対象としたもので、「中国の権益だけが沖縄近海まで一方的にせり出してくることになり、絶対にのめない」(日中関係者)という声が上がる。

 二階経産相が先月二十二、二十三の両日訪中し、温家宝首相と会談した直後の協議だけに、中国側が柔軟な姿勢を見せるのではとの期待感もあったが、完全に裏切られた。「中国は譲歩する意思はないことを明確に示した」(外務省筋)といえ「協議を継続しても時間稼ぎされるだけ」(政府関係者)との声も出る。

 政府内では、日中が「共同開発」という点では一致していることに着目し、主張がぶつかる中間線の境界画定協議は先送りして、海底資源を掘削する資金供与や技術提供などの共同開発論議を先行させようという秘策も練られている。「日中の対立が決定的にならないようにできる」(日中関係者)というのが理由だ。

 しかし、中国は東シナ海での軍事活動を活発化させ、制海権確保に向けた布石を着々と打っている。すでに「樫」で生産を開始し、「白樺」でも生産をすぐに開始できる態勢にある。「中国に東シナ海の海洋資源と制海権のすべてを奪われることになる」(政府関係者)との危機感が募る。


≪狙い≫

 中国政府は東シナ海での日中「共同開発」で「『平和の海』として係争を棚上げし協力する」(温家宝首相)との姿勢を強調してきた。狙いは「日本が中国案を拒否」した場合に備えた牽制(けんせい)で、内外向けに宣伝する材料にもなる。海洋権益は軍の意思が反映される領域でもあり、日本側の主張に応じる可能性は低い。

 中国は国家戦略の重要な柱として「海洋強国」建設を掲げ、海洋権益の拡大を目指している。それは海軍の増強や活発な海底調査活動に直結してきた。海洋権益は「国家のプレゼンス増大に絡む問題」(中国筋)と位置づけているからにほかならず、東シナ海を含む西太平洋への進出を図る軍は昨年、最新鋭ミサイル駆逐艦を「白樺」付近で航行させるなどの示威的行動をとってきた。


≪誤算≫

 二階経産相は就任後、東シナ海問題について「中国との粘り強い対話」を強調してきた。

 中川昭一前経産相(現農水相)が試掘権を盾に中国と正面から対峙(たいじ)したが、「私はその道はとらない」と公言する二階経産相の戦略は、省エネや環境対策の技術協力と引き換えに中国側の譲歩を引き出そうとする「太陽路線」。二月の訪中時には、「日中省エネ環境総合フォーラム」を今年五月に日本で開催することで合意するなど、中国に便宜を図る形での関係改善を模索していた。そういった思惑も、中国にはまったく通じなかった。

 中国のエネルギー需要は石油換算で二〇〇四年の十三億八千六百万トンから、二〇二〇年に二十億六千三百万トンへ約一・五倍に増えるとの試算もある。「資源獲得への切迫感は日本と比較にならない」(資源エネルギー庁幹部)という。
by sakura4987 | 2006-03-12 16:53

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