◆風邪で達磨ストーブの前に
北国の三月はまだ寒さが厳しい。高校入試に備えて体調にも万全の注意を払っていた。外出時にはマスクをし、寝るときには湯たんぽを足元に置いた。それが風呂上がりにちょっと油断してしまった。くしゃみ、鼻水、熱に悪寒。
そしてついに試験当日。熱が下がらないまま試験会場に入った。「顔色が悪いぞ。風邪でも引いたか?」と受付で聞かれた。「ハイ」と返事をすると、ちょっと待つように言われた。しばらくすると戻ってきた係員が私の席を配慮するという。
会場の前方窓側で達磨(だるま)ストーブが真っ赤に燃えていた。ちょうどそのストーブの前の席を与えられたのである。そのときは緊張していたし、試験のことで頭がいっぱいだったので、ろくにお礼も言えなかった。
入学式の日、ずっと気にしていた「お礼」を言う機会にめぐり合い、やっと風邪の呪縛(じゅばく)から解放された。「入試」という言葉を聞くと、そのことを今もはっきりと思いだす。
◆感動した駅の巨大ポスター
平成18年1月28日(土) 産経新聞
JR山手線の目白駅を通勤で利用しているが、先日、駅の巨大ポスターに目を奪われた。
ポスターの中心に目白駅長の写真があり、「受験生の皆さん、緊張していると思いますが、われわれ駅員・乗務員も緊張しています。最後まであきらめないで頑張ってください」という趣旨だった。
私はえらく感動し、改札口の若い駅員さんに「私は学校の教員をしていて、現在受験生を教えていますが、大変感動しました。駅長さんによろしくお伝えください」と申し上げると、彼は照れながら「ありがとうございます」と丁重に笑顔で答えてくれた。昨今、暗いニュースばかりの世の中であるが、朝の通勤時、このポスターを見ると、本当に心が洗われる。
本校も来月初旬に入試がある。これから目白駅を利用する受験生全員が間違いなくこの心温まるポスターに感動し、励まされることだろう。

