◆赤の広場で 大使の適任者は…
日本の野村一成・駐ロシア大使の後任に、斎藤泰雄・駐サウジアラビ
ア大使が就任すると一部新聞が伝え、モスクワの関係者の間でちょっと
した議論となっている。外務省人事は今月中にも発令される見通しだと
いう。
斎藤氏は二〇〇二年、アトランタ総領事時代に部下が起こした公金横
領事件で監督責任を問われて訓戒処分を受け、さらに外務省欧州局長当
時、鈴木宗男衆院議員が絡んだ不正入札疑惑で厳重注意処分を受けてい
る。
いずれの事件とも、斎藤氏が直接、関与したわけではないし、処分は
済んだとの見方もある。
だが、「二回も処分された人物を日本国の代表という最重要ポストに
抜擢(ばってき)する感覚は、民間企業にはない」「外務省のそうした
甘さは、ロシア側に足元を見られ、ひいては領土問題を抱える日露外交
でも付け込まれかねない危険さをはらむ」といった懸念が出ている。
ただ、日本の外交当局には、「当時のスキャンダルですねに傷を持た
ずに、しかも有力な人材を選出するのは困難だ」との声もあり、人材不
足からくる苦悩もにじむ。
でも、そんなことで、寝技、裏技、情報操作など何でもありの元旧ソ
連国家保安委員会(KGB)出身者で固められたロシア現政権相手に互
角に戦えるのだろうか。
プーチン大統領は、柔道家である。政権幹部に武道を学ぶ者も多い。
いっそ、大統領が尊敬する同じ柔道家、山下泰裕東海大教授を大使に任
命してみてはどうだろうか。(内藤泰朗)