◆中国と太平洋島嶼国の首脳たちによる初の島サミット
(産経 06・3・27)
四月初め、南太平洋のフィジーの首都スバで、中国の温家宝首相と太平洋島嶼(とうしょ)国の首脳たちによる初の島サミットが開かれる。
このニュースを伝えてくれたのは先日、来日されたパラオのクニオ・ナカムラ元大統領だ。大統領を二期務め、いまはさしずめ南太平洋の“ご意見番”だが、元国家元首らしからぬ気さくな人柄に、ついこちらも「やりますネ、中国は」と率直な感想を述べた。
なぜといって太平洋島サミットの生みの親は日本だからだ。一九九七年に東京で第一回、二〇〇〇年の九州・沖縄での主要国首脳会議の前に第二回。三年後、舞台を沖縄に移し第三回が開かれた。
島同士で相性も良かったのだろう。折しも五月に再び沖縄で第四回が開かれる。元大統領の来日は、前段となる那覇での島嶼国学長会議に出席のためだった。
中国のコピー癖には脱帽する。いや厳密には換骨奪胎だ。太平洋諸島フォーラム(PIF)加盟国が全員参加する日本の島サミットと異なり、中国版の方はフィジーのほかサモア、トンガ、バヌアツなど親中派だけ。つまり「一つの中国」への踏み絵なのだ。
ナカムラ元大統領のパラオやツバル、ナウルなど親台派はお呼びでない。冷戦時代、米ソ角逐の場だった南太平洋は、いまや中台の承認合戦の場に転じている。
日本の国連安保理常任理事国入りを阻止するために、昨年、中国がアフリカ諸国に露骨なまでの援助外交を展開したことは記憶に新しい。日本の地道なアフリカ援助が、中国の物量攻勢にひとたまりもなかったことを想起したい。
将来、島サミットが同じ轍(てつ)を踏まないとは言えない。うかうか出来ない。中国の台頭に南太平洋に仏領のあるフランスも六月にパリで島サミットを開く予定だ。

