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◆中国の空母開発を警戒せよ

 (世界日報 06・3・27)

元統幕議長 杉山 蕃

軍事的覇権拡大を視野  日米安保からの楽観は禁物


≪防衛関係者の関心の薄さ問題≫

 先日、中国空母開発について、人民解放軍科学技術委員会汪致遠中将が明らかにしたとして、その開発状況が報ぜられた。

 報道の内容は、中国は空母開発を進めており艦載機・護衛艦艇の開発は最終段階にあること、海洋権益確保のため空母は絶対必要、艦載機は現有軍用機の改造による、本当の空母群の完成には時間が必要で三年や五年ではできない、といった内容である。関連して若干の意見を披露したい。

 まず、中国空母に関する報道であるが、わが国においてはほとんど紹介されることがなく注目度は低いが、中国、香港、韓国においては、結構紹介されているようであり、特にインターネット上では、実に多くの「ネタ」が流されている。

 主なものでは、中国空母は、スキージャンプ型の軽空母ではなく、カタパルトによる水平発射型(米国型)の本格空母を目指しており、電磁式、スチーム式双方の構造図が紹介されている。艦載機についても、SU27の艦載型であるSU33が、外翼を折りたたんだ状態で展示されたり、J10の艦載兵装の写真が紹介されたりで、かなり熱くなっている様が窺える。

 かつて本欄で紹介した大連港繋留のソ連空母ワリャーグが再塗装され、何時でも使えるかの如き勇姿(?)も写真報道され、ムードを盛り上げている。過激なところでは、二〇〇八年には空母が完成する、などの怪情報すら登場している。

 このような過熱とも言える背景を考慮すると、汪中将の発言は、「三年や五年では開発できない」とし、冷静を訴える内容にも受け取れるが、それにしても、わが国防衛関係者の認識度が高くないのは心配である。


≪大陸国ながら海洋覇権に戦略≫

 次に関心があるのは、中国がかくも空母に執心する理由である。空母群は基本的には、航空力を遠隔地で発揮させるためにある。

 地球規模で軍事的コミットメントを有する米国、旧植民地・海外領土を有する英・仏には、その必要性が高いのだろう。ロシアも広大すぎる領土を考えると必要なのかも知れない。

 その点、中国は広大な領土を有するとはいえ、大陸国であり、海外に航空力を展開させる当面の理由は見当たらない。

 汪中将の発言では「長い海岸線を有する」とあるが、苦しい理論であり、もし必要としても、軽空母・沿岸用空母で事足りる。

 おそらくは、中国らしい長期的視野から、一極支配と言われる現体制に歪みが生じた時への布石、将来における第三世界への影響力・資源確保などを考慮したものであろうと考えられるが、中期的にも、台湾の独立志向、東・南シナ海における海底資源・領土問題に大きな影響を与えうるのも大きな要素として計算されているのであろう。

 そして、何より留意すべきは、中国自体が明時代に遡り、世界の「華」(文明)の中心にありながら、軍事軽視の弊害がその後の欧米文明の進出に伴い顕在化し、砲艦外交はもとより「アヘン」といった「凶器」まで駆使され、屈辱の近代史を歩んだという国民感情が基本にあることである。

 さらに、この観点を延長すると、中国は異常に安価にして豊富な労働力を背景に、経済成長を続けながら、宇宙技術に見られるように、先端技術を取得培養していくことが予想され、並行して軍事の面でも一方的拡大路線を継続、世界に覇を競うことを長い視野に入れていることが見えてくる。

 空母自体は、一艦につき僅かに五十機程度の戦闘機を展開させるものであるが、反面、これに係る経費は莫大と言ってよく、上述したような需要のある国は別としても、とても採算の取れるものではない。

 これらを十分知り尽くした上で空母開発を公言する中国の長期的戦略に注目すべきことがもっとも重要な視点なのであろう。


≪対等以上の航空力構築が必要≫

 ともあれ、わが国として対応すべきことは多々ある。まず、中国の空母開発の進捗をよくモニターし、その規模に応じて、我が国領海・経済水域の各所において、彼と対等以上の航空力を発揮できる態勢の構築を怠らないことが第一である。また、艦艇部隊の弱点を突き、その行動を制約する意味から、長距離対艦ミサイルを開発するのも重要な事項である。

 さらに、わが国周辺において、彼の行動を逐一詳細に把握するため、警戒監視衛星、要所水路の監視センサー、空中からの哨戒監視、水中音波探知網などの充実を図ることも肝要である。

 日米同盟の緊密性に安住し、わが国防衛体制を楽観視する傾向が散見されるところであるが、長期的視野から、決して軽視してはならないことを強調しておきたい。
by sakura4987 | 2006-04-02 14:14

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