◆「被害者全員の帰国実現せず」拉致問題 検定で追加される
北朝鮮による拉致事件の記述をめぐっては、解決していないことを強調するよう求める検定意見が目立った。
帝国書院の現代社会の教科書が、二○○二年十月に帰国した日本人について「北朝鮮から帰国した拉致被害者たち」との写真説明を載せたが、「これだけでは拉致事件が解決済みであるかのように誤解する恐れのある表現だ」との意見が付き、「しかし、まだ拉致被害者全員の帰国は実現していません」と追加された。
第一学習社の政治経済の教科書では、○四年五月の日朝首脳会談の説明として「○二年に帰国していた拉致被害者の家族の帰国が実現した」と記述したが、同様の意見が付き、「一部の拉致被害者の家族が帰国した」に書き換えた。
東京書籍の世界史の教科書では、「○二年九月に日朝国交正常化交渉が開始された。しかし、核開発や日本人拉致をめぐる問題が国際緊張を招いている」との記述が、「国交正常化交渉が再開されたが、核開発や日本人拉致事件が国際問題となり、交渉は進んでいない」と変更された。