◆【断】防大の校長不在
先日の小欄で英国王子兄弟が陸軍士官学校に入学、卒業されたこと等を紹介し「他方、防大は、ご皇室と縁遠い」等々と「日英士官学校の落差」を指摘した(二十一日付)。
その防大で“校長不在という異例の事態”が続いている(「週刊新潮」四月二十日号)。今春の入学式では「校長代理」が式辞を述べた。週刊新潮(掲載の官房秘書課談)によると、昨年二月頃から後任選考を始めたが「現在最終調整」中とのこと。
防大一期生が定年退官して久しいが、歴代校長中なぜか、未だに防大出身者は一人もいない。このこと自体、諸外国の士官学校では、およそあり得ない「異例」の人事である。学校長適任の防大OBは何人もいるであろう。定年後、大学教授として教鞭(べん)を振るう著名OBの名前を挙げるまでもあるまい。
以上の点からも、防大は名実ともに士官学校とは言い難い。やはり「日英士官学校の落差」は桁(けた)違いに大きい。
英国だけではない。「士官候補生」を意味する英単語(cadet)は元々「貴族の子弟」を意味するフランス語だった。貴族の子弟にとって、士官学校への入学は至極当然の進路だからである。
欧米諸国はそうでも、戦後の日本は事情が異なる。ご皇族の防大入学など無理だというのなら、せめて新校長くらい、防大出身者から選任すべきではないだろうか。
かつて大江健三郎氏は毎日夕刊で防大生を「恥辱」と罵(ばとう)した。防大出身者が校長になれば、その“傷”は多少なりとも癒やされると思うのだが。
(評論家・潮匡人)

