◆残留農薬 輸入食品も規制強化 中国野菜に影響か (産経 06/5/30)
一定基準以上の農薬類が検出されれば食品の出荷や流通、販売を禁止するなど、残留農薬への規制を大幅に強化した「ポジティブリスト」制度が二十九日施行された。国内産だけでなく、外国から輸入された農作物や加工食品にも適用される。
新制度では、どんな農薬でも〇・〇一PPM(PPMは百万分率)を超えて含まれた食品は販売禁止となるほか、特定の七百九十九種の農薬類には別の基準値も定められている。平成十五年の食品衛生法改正で導入が決まっていた。
従来の制度では、二百三十八種類の農薬や飼料添加物にだけ基準値が設けられ、それ以外の残留農薬には規制がなかった。
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【北京=共同】日本政府が、国内外で使用されている全農薬などに残留基準を設け、それを超えると食品の販売を原則禁止する「ポジティブリスト制度」を二十九日から導入したのに伴い、対日農産物輸出の比重が高い中国では、輸出企業や農家への影響を懸念する声が出ている。
中国商務省によると、二〇〇五年の中国の農産物輸出額は約二百七十二億ドル(約三兆円)で、うち約三割に当たる約七十九億ドルが日本向け。タケノコの水煮や生きウナギ、マツタケなどは輸出全体の八-九割にも上る。
商務省はこのような状況下で、日本の規制強化は「農家などの経営リスクが強まった」(外国貿易局)としている。一部の中国メディアは日本の対中圧力の表れ、というトーンで報道したケースも出ている。
ただ、商務省は最近発表した「対日輸出農産品のリスク評価報告」の中で、農薬使用の厳格化や製品の質の向上を呼び掛けた。農薬規制強化が世界的流れになっているのを受けて、「中国産農産物の質の向上に結び付けようという考え方に変わっている」(日中関係筋)と受け止められている。

