◆北朝鮮籍船舶に制裁発動-米国 (世界日報 06/6/1)
違法行為取締強化の一環
米国が北朝鮮に対する圧力カードを増やしている。米財務省は今月八日、北朝鮮籍船舶への制裁措置を新たに発動。紙幣偽造などに対する金融制裁に比べると、効果は限定的だが、北朝鮮の違法活動を徹底して取り締まる米政府の強い姿勢がうかがえる。
北朝鮮への新たな制裁措置は、米国の市民や企業、米国内で活動する外国企業に対し、北朝鮮籍船舶の保有や賃貸、利用、保険加入を禁じるというもの。
クリントン前政権は二〇〇〇年に、北朝鮮の長距離ミサイル実験凍結の見返りとして、経済制裁の緩和を実施したが、今回の措置は部分的にこれを再び強化する内容だ。
北朝鮮は外国船主に有利な条件を与えて船舶を登録させ、その登録料などを得る便宜置籍船事業を積極的に進めている。北朝鮮への船籍登録は、安全・管理基準が緩いなどのメリットがあり、米メディアによると二百隻以上の外国船舶が北朝鮮に登録しているという。
このうち、少なくとも十一隻は、米企業や米国内の外国企業が所有する船舶。制裁発動を受け、これらの企業は数カ月以内に船籍を変更しなければならない。
米政府が北朝鮮の便宜置籍船事業を問題視するのは、北朝鮮に船籍を登録した幾つかの海運会社が、北朝鮮の違法活動に加担していたことを確認したためだ。
米政府は昨年九月以降、北朝鮮向けマネーロンダリング(資金洗浄)に関与した疑いのあるマカオの銀行に金融制裁を科したり、大量破壊兵器拡散に関与した北朝鮮企業の在米資産を凍結するなど、北朝鮮の違法活動の取り締まりを強化しており、今回の措置もその一環とみられる。また、船舶の登録料という外貨獲得手段を遮断する狙いもある。
ただ、今回の制裁は米国一国だけでは効果が限定的なことから、同盟国などに同様の措置を取るよう働き掛けを行っている。
北朝鮮は核問題を話し合う六カ国協議への復帰を拒否し続けているが、米政府は「北朝鮮による大量破壊兵器拡散の脅威や違法活動に対し、必要かつ適切な防衛手段を拡充していく」(ジョゼフ国務次官)との立場を明確にしている。六カ国協議の進展状況にかかわらず、北朝鮮の犯罪行為には断固たる措置を講じていく構えだ。

