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◆【中国暗影 成長の大矛盾】(5)遠い世界の工場 (産経)



外資優勢で製造業は弱体

 中国は昨年、モノの輸出入額で米国、ドイツに次ぎ、日本とほぼ肩を並べる世界四位の貿易大国になった。中国側統計によると、輸出四千三百八十二億ドルのうち工業製品が四千三十五億ドルで92%を占める。一九九〇年代後半以来、「世界の工場」と呼ばれるようになった中国がグローバル市場に送り出すメード・イン・チャイナの面目躍如だ。

 中国製品の躍進は先進国の一部産業を脅かす。中国脅威論が台頭し、人民元切り上げ圧力が高まったが、いまその声はか細くなった。一つには、安い中国製品は消費者にとってだけでなく、多くのメーカーにも利益をもたらしているからだ。

 それに加え、近年、中国産業界の構造的欠陥が明らかになるにつれ、「中国恐れるに足らず」との認識が広がったことによる。その点については、中国内外の専門家による指摘も少なくないが、最近、国際的に注目されたのは、米外交専門誌「フォーリン・アフェアーズ」に発表されたマサチューセッツ工科大学のジョージ・ギルボイ研究員の論文だ。

 同氏は、中国工業の外資依存が急激に高まった九〇年代以降、中国で操業する外資系企業が対外貿易でのウエートを増し、中国市場でも優勢になりつつあることを具体的に明らかにしている。

 昨年の中国の工業製品輸出の55%は、外資系企業が占めた。外資系輸出品の大半は、コンピューターなど付加価値が高く、利幅の大きなハイテク製品である。外資系企業とは外資単独(いわゆる「独資」)、中国企業との合弁、生産協力の三種類の形態があるが、ギルボイ氏は二〇〇三年の主要工業品輸出額のシェアをグラフのように分析した。

 一九九三年と比較すると、この十年間に輸出額のパイそのものが飛躍的に伸びるとともに、外資系が優勢になったことを示している。

 外資利用は後発国の発展モデルである。トウ小平氏は、改革・開放初期から、工業開発区の設置や税の減免などの優遇措置で外資を誘致した。直接投資(実行ベース)は二〇〇三年末で累計五千億ドル近くに上るが、その95%は、一九九二年以降の十二年間に集中した。日本や欧米の大手企業が大挙進出した結果だ。

 香港、台湾からの投資を中心に一九八〇年代に沿海部で発達した加工貿易の経験蓄積と、円借款などによるインフラ建設や法律の制定で投資環境が改善され、「独資」の進出条件緩和などもあって、中国が有望な投資先として認知された結果だった。

 一九九二年以降の中国経済の成長と対外貿易の拡大に果たした外資の役割は大きい。投資が沿海部に集中した結果、内陸部との格差を広げる矛盾を激化させたが、中国のエコノミストたちが憂慮するのは、外資への優遇策と過度の依存が、中国製造業の体質を弱体化させていることにある。

 外資導入を技術や管理の改善に利用し、独自の技術創出につなげる多くの後発国の経験は、中国ではほとんど生かされていない、とギルボイ氏も言う。同氏によると、中国企業の研究開発投資は利益の1%未満、経済協力開発機構(OECD)諸国平均の七分の一以下という。「独資」が急増した九〇年代には、外資が技術移転を手控えたことで、ハイテク分野での差は決定的になった。

 その結果、中国企業のハイテク製品はプラント、部品の輸入に依存、ノウハウ料などの負担に加え、外資に対する税優遇もあり、国内市場でも外資系に食われる事態を招いた。一九九八-二〇〇二年の間に、中国国内でのハイテク製品販売に占める外資系のシェアは32%から45%に拡大した。

 中国企業は目先の利益確保に走り、不動産開発や携帯電話製造など、もうかりそうな他業種に参入しては失敗するケースも少なくない。中国産業界の構造的な欠陥には、政治体制の問題もかかわっているが、それについては稿を改める。いずれにせよ、中国が世界の産業を率いる真の意味での「工場」になる日は遠いとみてよい。(北京 伊藤正)
by sakura4987 | 2006-06-03 10:10

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