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◆【中国暗影 成長の大矛盾】(7)民工の反撃 平成16年8月17日(火)産経新聞



待遇改善へ労組も誕生

 中国経済を下支えしてきた農村の出稼ぎ労働者(中国語で「民工」または「農民工」)が、都市に大量流入する現象を「民工潮」と呼ぶ。民工を使って加工貿易で急成長してきた南部沿海地方で最近、民工の深刻な不足を意味する「民工荒」という言葉が登場した。

 世界の市場を席巻した衣料品、玩具、履物、日用雑貨など安価な軽工業品製造の最大の基地は広東省の珠江デルタ地帯だ。二十万以上の加工工場が密集しているが、その中心地の一つ東莞市だけで、数十万人もの民工が不足と伝えられる。

 時事問題週刊誌「新聞週刊」によると、中国労働力市場情報ネット観測センターの報告書では、今年四-六月(第二・四半期)、江蘇、浙江、福建、広東各省の十二市で、計百八万人の求人に対し、七十万人しか集まらなかった。影響は外資系にも波及、深セン市の台湾系企業でも不足率は平均30-40%という(「経済参考報」紙)。

 改革・開放路線の開始以来、初めての「異常事態」の主因は、過酷な労働条件にある。「新聞週刊」誌は、毎晩十二時まで働いて月収が六、七百元(一元=約十三円)とか、月二百時間の超過勤務といった東莞市の例をルポ。低賃金、重労働に加え、社会保障はなく、経営者から侮辱や暴行を受けることも多い。

 政府当局の調査では、珠江デルタの民工の平均月収は過去十二年間に六十八元しか増えず、八百元以下が半数を占める。収入には労働法の規定(月三十六時間以内)を上回る超過勤務代も含まれ、それを除くと、広東省の最低賃金制(二百八十-五百十元の七段階)ぎりぎりの水準という。

 こうした低賃金が一九八〇年代以来続いてきたのは、民工の数が絶えず増え、経営者側が民工の弱みにつけ込んできたことによる。例えば、新規雇用者に超低賃金の試用期間を設け、満期前に解雇して、新規に雇用というサイクルを繰り返すのも常套(じょうとう)手段という。

 情報化の時代、民工たちがこんな待遇に屈従しているはずがない。民工たちはより条件のいい職場や他地区への移動を始めた。民工が就業先を選別する時代への移行だ。それと同時に、より重要な動きが始まったと「新聞週刊」誌は伝える。

 東北部最大の工業都市、遼寧省瀋陽市で今年、「農民工工会(労組)」が誕生し、六月末現在、四千五百人が加入し、執行部も選出した。既に民工百人あまりへの未払い賃金約三十五万元の回収に成功したという。

 未払い賃金の回収や労災補償を求めたり、女子民工への性的暴力など経営者の不当行為に抗議する民工の集団争議は近年、頻繁に発生し、しばしば街頭デモに発展している。しかし本格的な組織化は、瀋陽が初めてとみられる。

 本連載三回目で紹介した中国社会科学院社会研究所の近刊「当代中国社会流動」は、民工の動向に関する調査に基づき、重要な結論を下している。それは民工を「新労働者階層」の出現と規定し、「その集団意識と権利意識が強まり、組織化への動きが高まっている」というのだ。

 従来の定義では、民工とは都市部に出稼ぎに行く農民を指すが、同書は郷鎮企業と呼ばれる地元農村の小規模工場などで働く農民も広義の「民工」に加え、総数は二億一千万強と推定。民工は戸籍上の農民に分類されることで、低賃金に加えて労働法など法的保護の対象外になっている。

 全国人民代表大会(国会)常務委員の鄭功成・中国人民大学教授は、別の角度から民工を含めた低労働力コスト政策に反対している。労働集約型の加工貿易に依存し、技術への投資をほとんどしていない現状では、中国産業の国際競争力は失われるというのだ。

 珠江デルタ地区の輸出総額の72%は、加工貿易が占める(二〇〇三年)。国際市場での競争の前に、加工業者は国内の激烈な競争に打ち勝たねばならず、そのためには、民工の低賃金を維持しなければならない、と経営側はいう。

 しかし胡錦濤政権はすでに、民工の待遇改善に向けた措置をとりつつあり、中国の労働力コストが今後高まるのは確実だ。さもなければ、総労働力の三割を占める民工の組織的な反抗を抑えられなくなるだろう。(北京 伊藤正)
by sakura4987 | 2006-06-03 10:11

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