◆産経抄 平成16年11月06日(土) 産経新聞
こんどは温家宝首相の番だった。小泉首相との会談で「靖国参拝に適切な処理を」と申し入れたという。入れかわり立ちかわり、口々に「靖国」だが、こうなると文化大革命当時の熱に浮かされた中国人の行動原理を連想しないわけにいかなくなる。
往時、人びとは手に手に赤い毛語録を掲げ、口々に「造反有理」を叫んで街頭を席巻した。機械仕掛けのあやつり人形のように、一斉にこぶしを振り上げて毛思想万歳を唱えた。走資派と目された幹部らに三角帽子をかぶせてつるし上げた。
形は変わっても“歴史”は繰り返されるらしい。毛語録に群がった人びとはいま「反日」を看板に、「靖国」をつるし上げている。中国研究者の岡田英弘教授によると「反日だけが彼らのアイデンティティー」(『マンスリー・ウイル』一月創刊号)だという。
「お前も反日か、俺も反日だ」という連帯感を確かめているようなのだ。ところが中国には「指桑罵槐(しそうばかい)」(クワを指してエンジュをののしる)という言葉がある。外交問題の裏には必ず内政問題があり、中国人が「靖国」をののしる時、ほんとうの敵は別の本能寺にある?。
では本能寺は何なのだろう。一つは共産党政府に対する人びとの不満かもしれない。そしてもう一つは、北京政府の側の海洋戦略のカムフラージュかもしれない。このところ中国原潜の日本領海侵犯をはじめ東シナ海の海底資源調査の不法活動が激しくなっている。その目くらましではないか。
こうみてくると、温首相のいう「適切な処理」とは何かがわかってくる。それは中国人の民族性と行動原理を見きわめて、冷静に対応することである。具体的にいえば、「放っておく」。それが“適切な処理”だと思えてくる。
※国内向けと言うことは以前から言われていた。私はこれだけやっているのだとか、言っているのだということをアピールすること自体が目的だと。外国との関係は情報がなくてはどうにもならないのだが、日本は本格的なスパイ活動もやっていないし、各国の駐在大使館はほとんど役立たずだと言う。大東亜戦争の敗因の一つにこの「情報戦」の未熟さが言われているが、今もまた同じ事を繰り返している。終戦以降、第3、第4と負け続けているのかもしれない。

