◆高知こども条例 議会の見識を示した修正 平成16年7月27日(火) 産経新聞
都道府県で初の高知県こども条例が県議会で採択された。子供の権利に偏重した原案は一部修正され、少しバランスを取り戻した。
今年二月県議会に県が提示した条例案では、子供の「休む・遊ぶ権利」が認められ、子供の意見が大人と同等に尊重されるとしていた。これに対し、保守系会派から「権利ばかりが強調され過ぎて、子供を甘やかす」といった批判が出された。その結果、「休む・遊ぶ権利」規定は削除され、「大人と同等に」は「適切に」という表現に改められた。
妥当な修正である。議会の見識が示されたことを評価したい。
だが、極端な部分が是正されたとはいえ、この高知県の条例は全体として、子供の知る権利や意見表明権が強調され、大人が責任を持って子供を育てていくという教育観がほとんどうかがえない。実際の運用にあたっては、子供に迎合しないよう、安易な拡大解釈を戒めるべきである。
十年前、日本は国連の「児童の権利条約」に批准した。十八歳未満の子供を、飢えや病気、虐待などから保護することを主目的とした条約である。しかし、日本の一部教育現場では、この条約にある子供の「意見表明権」(一二条)や「思想・良心の自由」(一四条)を盾に、子供の権利を大人と同等に扱おうとする風潮が根強い。
七年前、京都府の高校生らがジュネーブの国連児童の権利委員会で、「制服の導入は子供の意見表明権を定めた権利条約に違反する」と訴えたことがある。だが、委員からは「(制服もない)自分たちの国の子供に比べたら、あなたがたは格段に幸せ」(ロシア)、「スイスに来て意見が言えること自体が恵まれている」(スウェーデン)などと諭された。
子供の権利について、日本の一部で通用しても、世界では通用しない教育が行われていることの証左だ。生徒会や教職員が校長主催の卒業式をボイコットした埼玉県立所沢高校問題(平成十年)、小学生と教職員が校長に土下座謝罪を求めた東京都国立二小問題(十二年)なども、子供の権利をはき違えた教育の結果といえよう。
高知県以外でも、子供条例づくりが進められている。権利と義務をバランスよく規定することが肝要だ。

