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◆基礎研究を重視するトフラー氏の読売「地球を読む」の慧眼 (世界日報 06/6/8)



は構造改革の陥穽をも示唆する


◆一石を投じる好論文

 経済効率重視の弊害が、大学経営(特に法人化された国立大学)や基礎研究分野に及ぼす懸念が強いことを、この欄で何回か紹介してきた。破綻(はたん)状態に近い財政を専ら歳出削減で再建しようと取り組む小泉政権の構造改革がその震源。

 これに歯止めの掛からぬ少子・高齢化の進行が影響して、さまざまな制度改革が検討、または実施に移されているが、依然として目立った成果は見えてこない。むしろ、経済二極化が深化し、ホリエモンに象徴される拝金主義の風潮も招いている。

 経済面ばかりでなく、企業経営面でも上場企業では、バブル破裂による経費削減、借入金の返済に最優先に取り組んだため、リストラの名の下に、これまでいわゆる日本的経営の特色だった終身雇用制が変更を余儀なくされ、年功序列よりも能力を重視し、正社員よりパートなどの非正社員の雇用を増やしている。

 決算も上期、下期の二期決算から四半期決算と株主重視に変わってきている。疑惑が報じられた村上世彰氏はその動きの中で台頭した一例。先月からは数十年ぶりに会社法も改正された。

 特に四半期決算は、三カ月ごとに決算報告書をまとめなければならず、それだけ、業績を上げるため、短期での成果が求められる傾向が強くなっているのである。

 そんな中、読売が先月二十八日付一面で、米未来社会学者のアルビン・トフラー夫妻を「地球を読む」に登場させ、「基礎研究軽視/短期的見返りの弊害」との内容の記事を載せている。


◆「開発」の現状を批判

 トフラー氏といえば、世界的ベストセラーになった「第三の波」でご承知の読者も多いことと思うが、その先見性と分析の確かさにうなずく人は少なくないだろう。

 トフラー夫妻の記事によると、米タイム誌が「企業は、ますます迅速な利益を求める株主の圧力にさらされ、短期的な目標に集中している」と伝え、それを促進しているのが、経営コンサルタントや経営学の教授たちが与える戦略的な助言だという。

 その戦略的な助言というのは、「各企業は、新しい市場への突破口となる製品の創出を模索するのではなく、既存の製品のより単純化された廉価版を提供すべきだ」というもので、トフラー夫妻は「すべての企業が本当にこの助言に従い、突破口を開くための研究を控えたら、画期的な製品はなくなる」、さらには「もし古人がこれに従っていたら、われわれはいまごろ、石斧(いしおの)をせっせと研いでいたはずである」とまで皮肉る。

 同夫妻によれば、一九八〇年代以降の研究開発について、民間部門が資金全体の68%を提供し、そのうち71%が「開発」に、すなわち基礎研究ではなく、試作品や製品改良などに向けられており、政府資金でも基礎研究よりも短期的な研究に移行しつつあるという。

 長い時間かかっても巨大な突破口につながるような研究には、米国の政府や企業のみならず、ほかの経済先進国も同様に、総じて背を向けている、というのが同夫妻の見方で、基礎研究を軽んじる国や企業は、「未来の到来を早めるような種類の研究を、遅らせているのである」と厳しく断じている。

 それというのも、同夫妻が指摘しているように、「実際には基礎研究こそが、半導体やレーザー、ペニシリン、小児まひワクチン、全地球測位システムなどにつながり、そこからさらに無数の商業製品を生み出した」からだ。


◆日本の問題と認知を

 この「地球を読む」は二面に「続き」が掲載され、その記事には「『未来』に背向ける先進諸国」との見出しが付く。同夫妻の指摘、警告には同感である。

 同様の意味で、「国家の品格」の著者である藤原正彦お茶の水女子大教授の次の言葉を紹介したい。

 ――ニュートリノでノーベル賞に輝いた小柴教授の実験は、もしうまくいかなければ数十億の無駄遣いとなるところであった。幸運にも成功したが、それでもこの発見の実用価値はいまのところ皆無である。

 基礎科学とはかくの如く「壮大な無駄遣い」と紙一重なのである。そして目先の実利や損得にとらわれず、このような無駄遣いを惜しまぬ国家にこそ、人類への貢献という栄誉が与えられ、それがとりもなおさず国家の品格となるのである――(「この国のけじめ」(文藝春秋)

 しかし、短期的見返りの弊害が日本で認知され見直されるようになるのは、これまでの経過からして、やはり米国経由で、ということになるのであろうか。

 ちなみにトフラー氏が指摘した「ペニシリン」「全地球測位システム」などは軍事と密接に関係した。

 このような国益に絡めば国家は多額の研究費に理解を示す。

 中国は有人宇宙飛行を成功させた。だが、平和時に経済至上主義で来たわが国が、「未来」に基礎研究費を投じる「品格」を持つことは勇気がいることかもしれない。国家戦略が問われよう。
by sakura4987 | 2006-06-10 08:52

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