◆支援費と介護保険 統合急ぎ不信招くな
二〇〇五年の介護保険制度見直しに向け、介護保険と障害者福祉の統合問題が現実味を帯びてきた。厚生労働相の諮問機関である社会保障審議会の障害者部会が、介護保険と障害者支援費制度の統合を事実上容認する部会長案を大筋で了承したからである。
四年前にスタートした介護保険は、五年で負担と給付を見直す。両制度の統合問題は、その見直しの最大の焦点だ。統合で保険料の徴収年齢を現行の「四十歳以上」から「二十歳以上」に引き下げ、代わりに若年障害者も介護保険が利用できるようにする考えが下敷きになっている。
部会長案は、障害者福祉のあり方について「障害は誰もがなりうる。誰もが年老いていくことを考えると、障害種別や年齢にかかわりなく支え合う地域福祉の考え方が重要」と指摘。「給付と負担のルールが明確な介護保険の仕組みを活用することは現実的な選択肢の一つ」として、統合問題を広く議論するべきだとした。
しかし、問題は多い。支援費と介護保険は、利用者が事業者と契約し、サービスの提供を受ける点は共通しているが、財源やサービス、利用者負担のあり方などは大きく異なる。
支援費の利用者負担は、所得などに応じて決まる(応能負担)。財源の多くは公費だ。障害に合わせて必要なサービスを選ぶ。提供量に上限はない。一方、介護保険は、給付費の半分を保険料で賄う。要介護度ごとに利用の上限が設けられ、原則として費用の一割を負担する(応益負担)。
支援費制度が介護保険に統合されると、障害者の負担は現行より大きくなる。長時間介護が必要な重度障害者への支援費によるサービスは、現在の介護保険の上限を大幅に超えている。障害者には、統合でサービスが切り捨てられないかとの不安も根強い。
障害者の支援費制度は、昨年四月にスタートしたばかりである。このたび統合問題が浮上してきたのは、この支援費制度に昨年度、当局の見込みを上回る利用があり、当初予算が百億円以上不足する事態になったからだとの見方が強い。でも、不足が生じたのは、予算措置が少なかったからかもしれない。早々と制度の抜本的な変更に手をつけるのは、拙速にならないか。制度の十分な検証がまず必要だろう。
介護保険の徴収年齢を二十歳以上に引き下げるという考え方も、若い人たちの生活実態を無視していないか。年金の未納率が高い中、医療保険に加えて、新たに介護保険料まで支払い義務を課すのは、妥当だろうか。
統合は、支援費と介護保険双方の制度の根幹にかかわる問題である。関係者の声にしっかり耳を傾け、慎重に判断する必要がある。このたびの年金改革にみられたような、国民不信を再び招いてはならない。

