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◆中南米の「地殻変動」 民主主義持続の正念場 (世界日報 06/6/15)


 べネズエラのチャベス政権に続いて、中米のエクアドルや、南米のペルーに相次いで反米左派政権が誕生している。

 英国の経済専門誌「エコノミスト」5月20日号は、このような一連の南米の地殻変動ともいうべき出来事について、「民主主義者と大衆迎合主義者(ポピュリスト)との間の抗争」という観点からの分析記事を掲載している。

 最近の南米の動きについて、エクアドルがアメリカ資本のオクシデンタル石油を国有化したことに端的に表れているように、これをアメリカと中南米諸国との対立という観点から論じる場合が多いが、「エコノミスト」誌はそのような見方は間違いだと指摘する。

 同誌によれば、中南米で進行中の事態は、ラテンアメリカ諸国内部での、将来の方向性をめぐる葛藤(かっとう)であり、その将来の方向性とは、自由民主主義(中道左派、右派)と権威主義的な大衆迎合主義者たちとの間で、どちらが中南米諸国のリーダーシップを握るかという形で争われているという。

 中南米は七〇年代から八〇年代にかけて旧ソ連の影響下、その代理国家であったキューバの支援を受けた共産ゲリラの浸透に対抗して、多くの国々で軍事政権による強圧的な支配が続いた。

 そのなかには、ニカラグアのように一時共産化する国も現れたが、レーガン政権下での中南米民主化政策によって、共産主義勢力が一掃され、その結果、南米の多くの軍事国家が民政へと移管されたという経過をたどった。

 そして、新たに中南米に誕生した各国の民主政府は、世界各地の発展途上国がみなそうであるように、民主主義制度を用いて不公平をなくし、より公正でより豊かな国づくりに励んできた。

 ところが、このような新興民主主義国の努力に水を差したのが、一九九八年から二〇〇二年にかけて中南米を襲った経済危機である。

 そこで、各国で行われた大統領選挙や国政選挙で中南米各国の国民は、経済危機や導入された市場体制への不満を表すために、左派政治勢力に投票したのである。

 ただ、各国国民の不満を吸収するかたちで政権の座に就いた中南米の反対勢力には、大きく分けて二つの流れがあり、中南米の将来は混在しているこの二つの潮流のうち、いずれかが主流になるかによって決せられると、「エコノミスト」誌は指摘している。

 その二つの勢力とは、チリやウルグアイ、ブラジルといった中道左派のグループであり、いまひとつの勢力とは、過激な大衆迎合主義者であるチャベス大統領に率いられるベネズエラや、モラレス大統領の誕生したボリビアなどである。

 在任七年を経たチャベス大統領は依然人気を保っているとはいえ、その達成した業績には見るべきものはなく、国富を使い果たし続けているという。

 これに対して、チリ、コロンビア、メキシコ、ブラジルといった中道左派政権のもとでは、効果的な社会政策が推し進められ、貧困をなくす継続的な社会政策が功を奏し、社会の不公平の解消も徐々に実現しつつある。

 一見すると中南米全体が反米左翼化した印象を受ける最近の出来事も、その内実は、軍事政権から民主化を獲得した国々が、それまでに払った犠牲を無駄にするとことなく民主主義を発展させる道をたどるのか、現状への不満から、将来の展望を欠きながら一時の甘言に心を奪われ強権的で過激なポピュリストに政権を託すのかという選択の岐路に立っているというのが「エコノミスト」誌の分析である。
by sakura4987 | 2006-06-19 11:55

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