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◆日本は守るに足る国家と言えるのか安全と繁栄以

2004/06/25 (産経新聞朝刊)
【正論】お茶の水女子大学教授・藤原正彦 

 日本国憲法の前文に「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」とある。これにのっとり第九条では「国の交戦権は、これを認めない」とした。「自衛のための戦争まで放棄するのはおかしい」と当然の疑義を呈した共産党の野坂参三氏に対し、吉田首相は明確に自衛権を否定した。

 小学生のころ私は、新憲法こそは苦い経験を生かした歴史的快挙と思った。世界が日本の美しい覚悟にならえば、戦争をこの世からなくすという人類の悲願が達成されると考えた。

 半世紀近くがたった。残念ながら世界のどの国も日本にならわなかった。それどころか、この間にわかったことは、諸国民には公正も信義もない、ということだった。どの国も例外なく、国益だけで動いている。イラク進攻のアメリカはもちろん、それに追随したイギリス、文句をつけた独仏露、靖国参拝や歴史教科書に口出しする中国や韓国、すべて国益のみである。自由と民主主義、世界平和、正義、人道といった美辞麗句で飾られていても、本質は国益追求である。

 こうしたあさましい現実の中で、孤高のドンキホーテとして出発した戦後日本でも、ようやく美しい覚悟に距離を置く空気が醸成され、小声でささやかれるばかりだった国益が大っぴらに語られるようになった。当然の成り行きであろう。世界の諸国は例外なく、利害が衝突するという意味で敵だからである。

≪功利主義で感受性を喪失≫

 国益とは一体何であろうか。通常、国益とは安全と繁栄と考えられているようである。正しい。外交、経済、防衛、治安、福祉、食料、エネルギーなどすべてがこの二つに集約されるからである。そこで国益、すなわちこの二つの確保こそすべてに優先する最重要事項と考える人が多い。誤りである。もしそうなら話は簡単である。アメリカの五十一番目の州となるのが最善であり、アメリカの属国となるのが次善である。

 国益を求めること以上に重要なことがある。国益を守るに足る国家を作ることである。安全と繁栄はそのような国家を支える手段にすぎない。主客の転倒がしばしばなされるのは残念である。独立国としての誇りを捨てたり、正邪をわきまえずに利を求めたり、下品で醜い日本となったりしたら、それは国益を守るに足る国家ではない。世界史から消え地上から滅んでも惜しむべきものではない。

 主客転倒にとどまらず、客が主を損なうこともしばしば起きる。例えば経済繁栄を第一に考え農産物輸入を完全自由化し、相対的に不利な農業を捨て有利な他の産業に力を注げば、経済効率は高まりコメや肉の価格も半分になるだろう。一方で農家の大半はつぶれ、日本の田園は荒廃するだろう。

 これは美しい自然の喪失であり、ひいては「もののあわれ」など日本人の有する類稀(たぐいまれ)な美的感受性の喪失につながる。この感受性はわが国の誇る文学、詩歌をはじめとするほとんどの文化、伝統の源泉でもある。美しい自然や情緒、高い道徳、文化、伝統などは国家の品格である。繁栄追求が国家の品格を著しく傷つけてしまうのである。

≪自立せぬ国家は侮られる≫

 また、自国の安全保障を全面的にアメリカに頼り、ひたすら経済に専念するというのは国益によくかなう。戦後日本の安全と繁栄はこれによった。しかし、この状態では、万事アメリカにすがり、その顔色をうかがう以外に選択肢はない。
自立しない、しようとしない国家は、国際社会に発言力を持たないのはもちろん、侮られて当然である。

 だから多数の日本人を拉致し、二百基のミサイルを日本に向け、核兵器を開発する国を、食料医薬品援助を手土産に首相が訪問することになる。傍若無人の内政干渉を重ね、「日本など二十年後には消えているだろう」と嘯(うそぶ)き愚弄(ぐろう)する国に、何十年も謝罪し続け多額のODA(政府開発援助)を与え続けることになる。自ら守ることもせず実利に走り独立国としての尊厳を捨てた日本の姿は、まさに客が主を損なった典型例である。

 太平洋戦争で日本の敗色が濃厚になったころ、大正末期から昭和初めにかけて駐日大使を務めたフランスの詩人ポール・クローデルは、パリでこう語った。「日本は貧しい。しかし高貴だ。地上に決して滅んでほしくない民族をただ一つあげるとすれば、それは日本人だ」

 まずは日本に独立不羈(ふき)と品格を取り戻すことである。国益とはこれを守るものである。(ふじわら まさひこ)
by sakura4987 | 2006-06-19 17:01

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