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◆皇室と宮内庁と国民


平成16年10月5日(火)産経新聞

日本人の伝統文化と歴史の要

 今、日本の天皇制の存在が危ぶまれているとしたら、これは現代の私たち日本人が、このところにわかに感じとっている魂の奥にある漠然とした不安とそれから来る自信喪失や曖昧(あいまい)さと、どこかで繋がっているように思えてならない。それは戦前の日本人が、いわば空気のように存在すると信じ、寄りかかってきた盤石であるはずの土台が、シロアリに侵されてぐさぐさになっていたことに突然気が付いたかのごとくである。

 日本の天皇制は世界史の中で、稀なる人知を結集した集大成であり、われわれへの歴史からの贈り物である。あの太平洋戦争の敗戦の悲惨から驚異的な速さで回復できたのも昭和天皇の下に忍び難きを忍び、艱難辛苦(かんなんしんく)を乗り越えて一丸になって努力できたことによるものではないか。

 天皇制はわれわれの祖父母や父母の時代においては、今風にいえばいわゆる情緒的知性(エモーション・インテリジェンス)ともいうべき道徳の規範であり、日々の生業(なりわい)の暗黙のうちの要のようなものだった。が、それがいつの間にか機能しなくなっていたのである。敗戦し、息詰まるような軍国主義から解放されて、米国占領下で、民主主義の受け入れを学ぶことに必死になり、また一億総懺悔(ざんげ)的な、それまでの歴史をすべて否定するがごとき歴史観の下に、復興に邁進してきたのではなかったのか。その結果、経済的繁栄は得たものの、家庭崩壊や犯罪の若年化など、魂の喪失を憂うような今日この頃の世情ではないのか。

 新渡戸稲造は武士道の中で父権政治について、「臣民は天よりゆだねられた子であり、君主はその父である」として、君主が先祖並びに天に対して高い責任を持っていたと書いている。そしてその君主に求められるものは人間の王としての仁であり惻隠のこころであると。また、夏目漱石は「こころ」の先生に明治天皇の崩御に殉じての自死を示唆しているが、これは当時の日本人が明治天皇と魂の根源で繋がっていたということなのか。卑近な例を挙げるなら、明治の末期生まれの私の父も、日ごろは科学者として合理的な考えをする人であったが、祝日には恭(うやうや)しく日の丸を揚げることを怠らず、折節、昭和天皇に、そして天皇家に敬愛の心を捧げていた。それは尊敬する父親に対するような畏敬と親愛の情が感じられるものであった。それは盲目的なものではなく、大正天皇に関するエピソードなど茶目っ気たっぷりにユーモアのある父の話は忘れられない。

≪「誇りと品位を保っての柔順」≫

 「こころ」の先生にしても、私の父にしても、それはいやいやながらの服従ではなく、「誇りと品位を保っての柔順であり帰順であって、臣下でありながら、高められた自由の精神を持ってする服従なのである」(武士道より)。

 これはもしかすると戦後の半世紀にわたってわれわれが唯物史観の影響の下に置き忘れてきたものではないか。人は絶対的愛に裏打ちされた権威に己の意志で従うとき、小さき己から解放されて、より高き世界へと飛翔できるのだということを。それ故に、家族への愛に、祖国の存亡の危機にあって戦いに赴いた兵士たち、若き特攻隊員の御霊(みたま)を祀る靖国神社に詣でることに何の懸念もあってはならないし、帰国帰還するのだと騙され、シベリアの凍土に無念の死を遂げた六万人にものぼる兵士たちの遺骨を収集し、遺族の手に返した後も国が慰霊の労を厭(いと)ってはならず、国際間不正は不正としてあくまで歴史上に書き記しておくべきものなのである。

≪世界に類のない無形有形の財産≫

 今上陛下も美智子妃とともに日本国の道徳の規範として申し分のない御方であり、昭和天皇についでよりいっそう困難な時期の天皇としての重責を担ってこられた。現行の憲法の許す範囲内で世界平和に繋がる活動にご尽力され、また日本国民の安寧と幸いを祈願されて、淡々と祭祀に取り組まれているお姿に頭が下がる思いである。宮内庁が今、早急に取り組まねばならないことは、皇室という世界に類のない無形有形の日本民族の財産を再確認し、今何が出来るかを自ら反省し、天皇皇后両陛下と皇太子殿下と皇太子妃が本来の天与の職務を全うすることができるよう一層の努力をすることである。

 そしてそれは今の若い世代の現状をみるとき、もう一刻の猶予も許されないほど事態はさしせまっているのだ。日本の皇室は日本人の伝統文化と歴史の要として、欠けてはならない部分であることを、国民は家庭教育の中でも自らの子供たちに伝えていく義務があるのだ。

 カール・ヤスパース(ドイツの精神病理学者・哲学者)が、歴史上の喪失は民族の自殺と説き、「歴史において獲得されたものは意識的に伝えなければ失われてしまう。飛躍的創造と精神的に植え込まれたものは文化的遺産として心して伝えなければ消滅するのだ」と警告していることを思い出そう。




※①マスコミがやたらと「開かれた皇室」と言って、他国の王室と比較するが、余計なお世話である。ご皇室が開かれるほど、危機にさらされることをよく知っていてのことだろう。②女帝問題は天皇陛下のお考えが最優先で、何も知らない低教養の評論家はコメントすらすべきではないと思う。厚顔無恥とはこのことだろう。この事に関して発言するつもりは、一切ない。③皇太子様のご発言は、一つには、信頼できる側近がいないとおっしゃられたと解すべきだろう。明治の頃の「元老院」を制度的に復活させるべきだと思う。参議院も抜本的な改革が必要だろう。④およそ集団と言うものは、何か一つの象徴にまとまらなければ、その集団は崩壊する。日本はご皇室を中心としてまとまるべきだが、反対するのならそれに変わるものを提示するべきだろう。ばらばらな集団は弱い。
by sakura4987 | 2006-06-20 15:28

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