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◆金融危機再燃させかねぬ郵政民営化


【正論】慶応大学教授・榊原英資
 
国債暴落の引き金になる恐れも

≪民間になじまぬ郵便事業≫

 郵政民営化が小泉「改革」の最後の仕上げだと経済財政諮問会議も準備委員会も夏休みを返上して大車輪で作業を進めている。かつての私の財務省の部下たちもこの作業に巻き込まれ懸命に働いているので、あまり無責任な批判をするのは本意ではないが、一体何のための郵政民営化なのか、筆者にもおそらく多くの国民にも全く分からない。

 “亭主の好きな赤烏帽子(えぼし)”で働かされる官僚たちも気の毒だが、彼らの時間とエネルギーの浪費は結局のところ政治と行政の非効率の増大ということで国民一人一人に跳ね返ってくるのだから全く迷惑な話である。

 郵政民営化は郵便サービスの民営化と郵便貯金・簡易保険の民営化の二つに大きく分けて考えると分かりやすい。まず郵便サービスの民営化。もちろん業務の効率が上がることは望ましいことだ。現在、郵政公社の生田総裁は公社という法的枠組みの中でこの課題に必死に取り組んでいる。どうして今このサービスの民営化を急がなくてはならないのか。まず今の法的枠組みの中での効率化を見守るべきではないのか。少なくともそれが民間企業から請われて就任した生田総裁への礼儀というものではないのか。

 それにドイツのような大陸国家ならともかく、三千を超える島々からなる日本のような島嶼(とうしょ)国家では郵便サービスの完全民営化は不可能である。離島や僻地(へきち)に対するサービスは民間ベースでは余程高額にしないとペイしない。何らかの公的支援は不可欠である。とすれば、公社ではなく民営化会社だという論理は成立しにくくなる。

≪巨象を解き放つに似たり≫

 より問題なのは郵貯と簡保だ。今や郵貯と簡保の残高は四百兆円を超える。郵政事業の金融部門は実は世界一の金融機関ということで、その業務には貯金の最高限度、保険金の額などさまざまな制約が加えられてきた。

 民営化というのは少なくとも論理的にはこうした制約をなくすことを意味する。民間金融機関にとっては巨大な競争相手が登場することになる。競争を激化させれば金融業務の効率は増すと理論的には説きうるが、今でも日本の金融システムはオーバーバンキング、オーバーインシュアランスの状況である。

 こうした中に何の制約もなく郵貯・簡保という巨象を解き放ったら大変な混乱が生じる可能性が高い。金融システムのガタガタが収まりかけているとき、新たな混乱を生じさせかねない民営化をなぜやる必要があるのか。しかも二〇〇五年四月一日にはペイオフ解禁が予定されている。やり方によっては再び大きな金融危機を招きかねない。

 もう一つの大きな問題は民営化の国債市場へのインパクトだ。少なくとも論理的には民営化は金融資産運用の自由化を意味する。現在、郵貯と簡保は膨大な額の国債や国債類似債券(財投機関債や政府保証債)を半強制的に保有させられている。もし、この一部でも短期間に市場に売却されれば、その影響は大きい。しかも国債の新規発行は財政赤字の継続、財政投融資改革の二〇〇一年からの実施で大きく増えてきている。

 ただでさえ金利が上昇する局面で、増大する国債の新規発行を消化することはそう簡単ではない。近い将来の国債暴落の可能性は郵貯・簡保の民営化がなくても、かなり高い。それをどうして今のタイミングで加速するようなことをしなければならないのか。つまり、預金や融資の面でも資産運用の面でも今、郵貯や簡保を民営化するメリットはほとんどないばかりか、これもやり方次第では大変な金融危機に直結しかねない。

≪時間と労力と税金の無駄≫

 実は準備室に集められた官僚たち、特に金融庁や財務省から送り込まれた人たちはこのことをよく知っている。彼らは銀行監督や国債管理政策のエキスパートだったのだから。そして、彼らはそれぞれ有能な官僚たちでもある。

 とすれば彼らの行うことがどういうことなのかは、少なくとも筆者には、はっきり見えてくる。“亭主の好きな赤烏帽子”なのだから形の上では民営化されたように仕組まなくてはならない。持ち株会社だとか、民間人の導入だとか、目くらましはいくらでもできる。しかし実態は民営化したら大変なことになる。

 公的制約を残し、場合によったらそれを強化しなくてはならない。何のことはない。道路公団の時と同じ民営化の名の下の現状維持である。これなら自民党も反対しない。こんなまやかしをまたやるのは、時間と労力の無駄、税金の浪費である。(さかきばら えいすけ)
by sakura4987 | 2006-06-20 16:51

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