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◆大英帝国の衰亡と日本(2-2)


平成15年06月07日(土) 産経新聞  京都大学総合人間学部教授  中西輝政氏

≪なぜ英国が衰退しているか本当の原因がわからなかった≫

 イギリスは近代史のパターンとしては日本より六十年から百年先を進んでいます。世界の工場としての地位を確立して、化学、電気工業、そして金融、保険、情報通信の分野に経済成長の主要な焦点が移った第二次産業革命の時期、一八九〇年代にイギリスは初めて衰退の徴しを経験します。日本のバブル崩壊の百年前に初めて屈曲点に達したわけです。世界で最初の近代型衰退です。

 そのとき、イギリスはあせって、あれもこれも改革しようと、火のついたような「改革論の季節」を迎えるのですが、優先順位が決められない。なぜ衰退しているか、本当の原因がわからないからです。ある人は経済構造の近代化、ある人は財政再建、ある人は教育改革だと主張しますが、どれひとつ実現しませんでした。第一次大戦でイギリスは辛うじて勝ちますが、古い体質を持ったまま歴史の大嵐の中に漂いつづけ、戦後、二流国家になってしまいました。これは改革の道筋を誤り二十世紀初頭の最後に残ったチャンスを生かせなかったためです。

 当時のイギリスは、豊かな社会を達成し、世界一の生活水準を誇りました。「勤勉な文化を維持してきた国が、あるときを境に妙に騒がしく楽しい国になってくる。そのようにみえたときこそ衰退の脅威が迫っている」。これは二千年前のローマ人の言葉ですが、当時のイギリス人は若者の価値観の崩壊に懸念を深めていました。若者が仕事のために海外へ出たがらなくなったからです。イギリス商船の船乗りも外国人が主流になりました。議会が一九〇五年に出した調査報告書では、国内でぜいたくが可能になり、洗練された生活ができるようになったからだと分析しています。当時は、グルメブーム、さらに大変な旅行ブームで、大衆が楽しみのために海外へ団体旅行するようになりました。

 ストレス解消のため健康産業が流行し、雑誌や新聞には健康食品などの広告でいっぱいでした。この国の国民はいつから虚弱体質になったかと、お年寄りが投書しているのですが、健康ブームは繁栄が頂点に達したときに必ず起きます。若者が活字でいっぱいの本を読みたがらなくなる。これはイギリスだけの現象ではありません。

≪生活水準が下がる衰退期を経験し、再生した国こそ先進国≫

 先進国の定義をすれば、親よりも子、孫の世代の方が生活水準が下がる衰退期を経験し、そこから再生した国のことです。近代型衰退を一度も経験したことのない国は一人前ではありません。日本は、まだ半人前の先進国です。先進国には長期の経済成長を続けた後、必ず歴史的な屈曲点がきます。そのときの共通現象を四つ挙げましょう。

 一つは衰退期に直面したとき、必ず人口問題が関心を集めます。

 一九五〇年代のフランスは実際に人口が減り始め、将来への悲観論が増幅しました。当時の長期予測は五十年後の二〇〇〇年にフランスの人口は七割以下に減る、と予測したのです。

 今のフランスの人口は五〇年代より増え、当時の予測の十七例中、十四例は間違いました。なぜ長期予測がはずれるのか。歴史には必ず予測できない決定的な前提条件の変化があるからです。ですから三十年を超える長期の人口予測を今のトレンドを投影する形でやっても何の意味もないのです。歴史は変化に満ちています。今の延長に未来はない。これは何よりの教訓です。

 二つ目は必ず財政の構造的破綻(はたん)が起きます。財政の根本は税制です。国の収入と支出の基本構造は三十年もたてば必ず時代に適応できなくなります。しかし、抜本改革できないのが先進国の財政構造です。昔は戦争とか大恐慌でご破算になった。今は自分からご破算にしなければならず、ある種の革命が必要です。

 それと関連して、三つ目に政治のリーダーシップが大きく衰退し、政治が何も決められなくなる。硬直した財政構造をどうご破算にするか、これがサッチャーさんやレーガンさんの問題意識だったのです。破壊を起こすには政治にすごい活力が必要です。ところが衰退期の先進国は内閣がいくつも交代する。人口減少期のフランスは十年間に十一回内閣が交代しています。当時は大統領制ではなく、日本と同じ議院内閣制で、連立政権が続き、政治が何も決められない。結局、最後はドゴールが登場し、従来の憲法を廃棄して全く新しい憲法をつくり、第五共和制という大統領がすべてを決めるフランス型の独裁制をはじめました。これでフランスは外交も経済も安全保障も価値観も変わり、フランス人は保守化し、家族の価値の再生が唱えられ、七〇年代以降、出生率が上昇に転じました。

 最後の四つ目が、洗練されすぎた生活に若者が浸り、国民としての活力が失われ、モラルが崩れます。今の日本人は、恵まれすぎているがゆえに停滞を打破できない。では、どうしたらいいか。日本は今、非常に大きな国としての歴史的な選択の分かれ道にきています。戦後の制度、価値観、生き方を見直し、憲法、安全保障、教育といった問題を含めた「国家として構造改革」をやらねばなりません。

 今、日本という国の歴史的な構造改革、革命、つまり完全に行き詰まった戦後の清算をやらなければ、この国の地下水脈として国民に脈々と流れている活力を再生し、くみ上げることはできないと思います。




※「国家としての構造改革」。小泉首相の口から何度も出たような言葉だが、何かできたという感じがしない。と言うのも、真に国民が渇望している部分での価値観がまったくズレていたように思う。意外と国民のほうが健全で、ここ数年で国内の政治的な雰囲気は明らかに変わってきた。国民は明らかに「保守」を待ち望んでいる。この空気を掴める人が、次のリーダーになるのだろうが、さてどなたの出番だろうか。民主党でないことだけははっきりしているが、自民党の批判票が民主党へ流れた時が恐ろしい。
by sakura4987 | 2006-06-20 16:52

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