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◆学力レベルの低下加速する恐れ

精神科医・国際医療福祉大学教授 和田秀樹

教育軽視の財源移譲に異議あり

≪移譲は良いが問題は中身≫

 小泉改革の基本方針は「官から民へ」「国から地方へ」ということであるが、後者の具体化として、平成十六年六月四日に出された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」の中でも、平成十七年度から十八年度に三兆円程度の地方への税源移譲が謳(うた)われている。

 地域地域でなすべき仕事や予算の配分が違って当然のことであるので、私も方向性としてはまったく異論はないし、マスメディアも世間もそう感じていることだろう。

 しかし、問題は中身だ。

 平成十六年現在、国からの地方向け国庫補助負担金は約二十兆円で、社会保障関係が約十二兆円、文教・科学振興が約三兆円、公共事業関係が約五兆円などとなっている。

 これを税源移譲するとなると、たとえば教育に力を入れたい県では、公共事業の費用を教育に回すことができるし、逆に教育や福祉よりインフラを整備したいという県では逆に文教や社会保障の費用が公共事業に回るということになるのだろう。これに関しては、どのやり方がいいかをとやかく言うつもりはない。県知事を公選で選ぶ以上、民意が反映されることになるし、どこに予算を配分するという政策で首長を選ぶことのほうがあるべき姿と言っていい。

≪減額のほか選択肢はなし≫

 今回の税源移譲案の問題は、三兆円のち二・六兆円までが、義務教育の国庫負担金のような文教予算といわれていることだ。仮にほかの四千億円の財源が文教以外の予算から回ってきたとしても、文教予算をこれ以上増やす枠はきわめて小さいのに、それを減らして公共事業や福祉に使う気になれば、かなりの金額を自治体が得ることになる。つまり、教育予算に関しては減らす方向の選択肢しか事実上残っていないのである。

 逆に公共事業の予算を財源移譲していれば、公共事業の縮小や教育予算の拡大に充てられたのであろうが、それをすると国会議員や中央官庁の力が相対的に弱まってしまうので見送られたのであろうというのは私の邪推だろうか?

 少なくともこの財源移譲の配分案を見る限り、中央政府の考え方は教育軽視といわれても仕方がない。

 もう一つの問題は、教育予算を自由に使えるようになった際の地方の予想される対応だ。一つは、二〇〇四年度から学校図書整備費について、国からの地方財政計画が一・八%減額されたという例である。すると、たちどころに四割を超す自治体で学校図書整備費の減額が行われたのだ。地方の財政難もわかるが、教育のプライオリティが低いため、ちょっと予算配分を減らされるとすぐ反映されることを想像させる前例といえる。

 それ以上に問題なのは、二〇〇二年度の学習指導要領の改悪(と私は信じている)の際の自治体の対応である。

 確かに内容の削減は問題であるが、文部科学省が最低基準と明言している以上、自治体の側で何を教えてもよくなったのである。つまり、県や市が自分たち独自の学習指導要領を作ってもよい。

 これに対して、静岡県のように自分たちの学習指導要領を作ろうという動きを見せている例外もないわけではないが、ほとんどの自治体では学校外での補習学習を多少行う程度で、国がカリキュラムを減らしたに任せている。

 つまり、西欧諸国と違い、教育が地方選挙の争点にならない国では、地方に教育を任せてもレベル低下を招く可能性のほうが大きいのである。

≪知事の中からも反対の声≫

 実は総額裁量制といって、国から与えられた教育費用のかなりの部分が自治体が自由に使えるようになった。たとえば給与の総額が決まっている場合、国の基準より給料を減らす代わりに、教師の数を増やすということができるようになったのだ。財源を維持しながら、地方の裁量に任せるほうがはるかに安全だ。

 そうでなくても、ゆとり教育導入で、塾や六年一貫校のない地域の教育レベルが不安視されるのに、これでは税収の乏しい県の教育レベルが下がり、アメリカのように貧しい自治体に住む子どもの機会がますます失われてしまう。

 今後、八月後半には全国知事会議でのヒアリングを経て地方六団体の意見集約がなされ、年内に予算配分が決定されるとのことだが、県知事たちが教育に深い関心をもち、自主財源は別のところで求めてくれることを切に望む。

 実際、五月の東京都の基本的見解で石原都知事が、七月の全国知事会議では片山鳥取県知事など私の尊敬する首長が、この方針に反対の発言をしているのだから。(わだ ひでき)

平成16年8月7日[土]産経新聞
by sakura4987 | 2006-06-20 17:07

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