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◆義務教育は地方分権になじまず

平成16年10月4日(月)産経新聞

お茶の水女子大学教授・藤原正彦 場当たり主義に揺れる学びの場

≪教員の格差生む税源移譲≫

 現在、小中学校の教職員の給与は、国と都道府県が折半で負担している。義務教育は国と地方の共同責任ということである。この国庫負担のおかげで、全国一律の給与が保たれ、全国津々浦々の子供たちに同水準の教育が与えられている。

 このシステムが危殆(きたい)に瀕(ひん)している。政府は地方分権ということで、都道府県への総額三兆円の補助金を廃止しようとしている。その不足分は所得税(国税)の一部を住民税(地方税)に移すことで補われることになる。問題はこの削減される三兆円の内訳を決めた全国知事会が、義務教育費の八千五百億円をそこに入れてしまったことである。

 税源移譲がなされても、住民の所得水準の低い県では、切られた補助金を埋めるだけの住民税を得られそうもない。東京などを除く四十道府県がそうなるだろう、という試算もある。このような自治体では、移譲された財源が一般財源となり、使い勝手も自由ということから、本来教育に充てるべきものを緊急の公共事業などに回してしまわないともかぎらない。

 そもそも税源移譲が今後ずっと確実に実行される保証もない。これでは都道府県の税収の格差が先生の給与格差となり、ひいては教育の格差につながる、と文科省、PTA全国協議会、日教組が反対している。当然であろう。

 私は七〇年代にアメリカの大学で研究教育に携わっていた。地方分権先進国のこの国では、公立学校教員の給与の低さがよく話題となっていた。給与が低ければ、優秀な人材が教員になりたがらないし、意欲も低下するから、教育の質が落ちる。私の学生で分数の足し算さえままならぬ者が珍しくなかった。

 義務教育の地方分権は誤りである。文科省の教育政策が信頼できないという気持ちは分かるが、地方自治体の教育委員会がより信頼できるわけではない。各都道府県がそれぞれの考えで教育をしたら国は瓦解してしまう。国語と算数を軸に、この国の文化、伝統、情緒、道徳を教え、祖国愛をはぐくむべき義務教育は、地方分権になじまない。義務教育は国防や外交と並び中央集権以外にありえない。

≪数字合わせの対象に堕す≫

 最近、教育が数合わせの対象になっている。今回は補助金削減三兆円が先にあり、達成のための義務教育費が出てきた。数年前には国家公務員の25%削減が先にあり、達成のため国立大学を法人化し十二万五千人の公務員を減らしたのであった。ともに教育上の議論はほとんどなされぬまま決定された。

 公務員削減の時は、文科大臣は本省に傷が及ばぬよう国立大学を犠牲にした。今回は補助金交付という地方に対する権限の喪失を恐れ、突然、狼狽(ろうばい)気味に六三制見直しなどと口走り、ことを複雑化させ紛糾させようとしている。情けない。文科大臣は、「祖国を滅ぼすつもりか」と首相なり全国知事会を一喝すべきであり、頭をかかえるべきものではない。

 わが国が不況に入って十年以上になる。この間に文科省に対して外からの傍若無人な干渉が目立っている。義務教育国庫負担の削減は、政府の補助金削減に呼応し全国知事会が決めたものである。財界や産業界の干渉はさらにあからさまである。小学生に起業家精神を育てろ、英語とパソコンを教えろ、大学では卒業後すぐに産業界で役立つ人材を養成しろ、などと唖然(あぜん)とするようなことを平気で言う。

≪誇り高い国家の覚悟とは≫

 不況克服のためなら何でもしようと考えるのだろうが、小学校で起業家精神や英語やパソコンを教えるのは、愚民化政策としか評しようがない。大学は学問を研究し教育する場であり、産業界などを眼中に入れていたら日本の学問が滅んでしまう。最近では金融庁などが、中高生に株や債券の知識を与えろ、などと開いた口がふさがらないような注文までしてくる。

 このような素人の思い付きに省益がかかわる場合を除き、ほとんど反発もせず従ってしまう文科省の無節操も問題である。教育をこの手で守るという気迫に欠けている。

 政治や経済をどう改革しようと、たかだか生活が豊かになるくらいで、魂を失った日本の再生は不可能である。いまできることは、時間はかかるが立派な教育を子供たちにほどこし、立派な日本人をつくり、彼らに再生を託すことだけである。教育とは、政治や経済の諸事情から超越すべきものである。人々がボロをまとい、ひもじい思いをしようと、子供たちだけにはすばらしい教育を与える、というのが誇り高い国家の覚悟と思う。




※地方分権にすれば薔薇色の政治が出来ると、左翼やマスコミの宣伝に乗せられて本気で思っている人がいるが、地方分権は必ず失敗する。自治体の教育委員会など信用していたら、ひどい目にあう事は私が実体験している。その証拠に、「つくる会」に反対する連中は、学校ごとの教科書採択を画策している。公共事業にしても、密着度は国政どころではない事はご理解いただけると思うが。
by sakura4987 | 2006-06-20 17:08

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