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◆本来の習熟度に応じた「学習」の実現を 産経2004.06.03


「ゆとり教育」から脱却すべき時  京都大学教授・西村和雄」

 ≪避けたい現場への押付け≫

 私と戸瀬信之・慶応大学教授が大学生の算数、数学の学力調査をして発表した一九九八年以降、少しずつ文部科学省の政策も変わり始めた。罪悪視されていた学力調査も、二〇〇二年には二十七の地方自治体で独自に実施された。東京都も今年二月に、すべての公立中学二年生の五科目の学力調査を行っている。

 一方、四十人より少ない人数のクラス編成を行っている都道府県の数は、二〇〇三年に三十、習熟度別の指導を行う学校は、小学校の七四%、中学の六七%に達している。さらに「読み書き計算」の反復を行い、基礎学力を定着させる授業を行う小学校も全国的に多くなっている。

 いずれも、ゆとり教育の下では、実質上禁止されていた指導だった。現場の努力が反映するようになってきたことは望ましいことであろう。

 ところが現在、習熟度別学級に対して、子供たちに差別意識を生むという批判が一部の教育学者や現場の教師の中にある。マスコミの中には「一斉授業による基礎基本の反復学習」対「習熟度別学級」として、対立的な図式で報道するところまで出てきた。

 しかし、私は現段階で現場が工夫の一つとしておこなっている習熟度別学級なら、否定するつもりはない。ただ、習熟度別学級が行政の指導による画一的なものなら、問題が大きくなるであろう。

 すべてはやり方次第である。避けなければいけないのは「誰もやってはいけない」とか「全員がやらなければいけない」という、現場への一方的な押し付けなのである。

 ≪的外れが多い一部の批判≫

 現場の教員は、自分の行う授業が効果があるなら、続ければよい。良いことをしていれば自然に広がるはずだ。他の教員の行っていることが良くないと思えば、自分がやらなければよいだけだ。

 一部の教員と教育学者が、現場で努力をする教員を批判する。マスコミが高名な教育学者の見解を取り上げ、文科省がイデオロギーで論じる一部の教育学者の意見に従っているうちに、それが、ゆとり教育のように全体主義的な教育につながり、現場を苦しめる、というようなことを繰り返してはならない。

 一部の批判やマスコミの取り上げ方は、二つの意味で誤っている。第一に、基本の反復と習熟度別学級は、矛盾するものではない。全員に基本の反復を徹底して、かつ、習熟度別に学級を分けることも可能である。

 第二に、一斉授業か習熟度別学級のどちらが良いかという問題提起が的外れである。基本の反復を重視しても、遅れた子供たちの手当てをする必要がある。一方、習熟度別に学級を分けたとしても、それぞれのクラスでは、一斉授業になっている。このような混乱が起きるのは、少人数クラスや習熟度に応じた「学習」の本当の意味が理解されていないからである。

 ≪登場待たれる自習用教科書≫

 日本では、四十人のクラス定員を約三十人にすることを少人数クラスと呼んでいる場合が多い。しかし、欧米では、既に二十五人以下のクラス編成が長年実施されている。アメリカは、クリントン政権の時に、十八人クラスにすることを国として決めている。一クラス三十人では、本当の少人数ではないのである。

 文科省が提唱してきた「個に応じた教育」は本来、一斉授業では、実現できないものである。すべての生徒が先生の方を向いて座って、話を聞いている授業では「自ら考える力」は育たない。

 むしろ少人数学級にして、自学自習のできる詳しい教科書を使うなら、子供たちは自分の進度に合った内容を学習できるようになろう。これは、習熟度に応じた「学習」である。習熟度に応じた学習は、更なるクラス分けをしなくても可能なのである。

 一九九九年に出版された『分数ができない大学生』の中で、私が繰り返し述べたのは、少人数クラスで自学自習の教科書を使い、習熟度に応じた「学習」を可能にするなら、現在の多くの問題が解決されるということである。アメリカでは、習熟度に応じた「学習」の延長線上に「飛び級」が位置付けられている。決して習熟度別「学級」を設けているわけではない。

 習熟度別によるクラス分けには、本当の少人数クラスにすることができない苦し紛れの策という面があろう。

 文科省は、二十人程度の少人数クラスと習熟度に応じた「学習」の実現を可能にすることで、現場に存在する無用な軋轢(あつれき)を解消してほしいものである。そのためにも自学自習ができる教科書が登場することが望まれる。
by sakura4987 | 2006-06-21 11:30

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