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◆絵本の読み聞かせ 育児ストレス軽減にも効果


平成16年8月31日(火)産経新聞

 読書は子供の言語能力や創造性をはぐくむといわれています。しかし、近年、子供たちの読書離れが深刻な状況になっています。

 一九九〇年代には、英国で識字率や子供の創造力の低下などが社会問題となりました。そこで乳児期から本に親しませるために、一九九二年にバーミンガムで「ブックスタート」が始まりました。

 これは乳児健診を受診した保護者に絵本を無料で配布し、読み聞かせを啓発するための運動です。現在では、英国の九割近い自治体で実施されています。日本でも四年ほど前から始まり、徐々に広まりつつあります。

 私の研究室では、かつて在籍した小川里奈さんがこの運動に興味をもち、研究が始まりました。本の読み聞かせは、言語の能力だけではなく、幅広く認知能力を高めると考えられています。ブックスタートに参加した子供は、幼稚園時に国語だけではなく算数の領域にも成績がよくなるという報告もあります。

 さらに、読み聞かせでは、母子が本を共有する時間をもつので、子育てにプラスになると考えられます。育児ストレスが高まる現在、母親が乳児と接するひとつの手段として貴重であるかもしれません。

 私たちは米国で代表的な育児ストレス調査票(PSI)を日本で使用できるよう標準化しました。京都市内の大学に保健婦として勤務する伊藤美保さんも育児ストレスに関心をもっていますが、小川さんとともにこの調査票を使用して、六カ月時でブックスタートに参加した母親の育児不安を調べたところ、九カ月の時点で母子のかかわりに関する育児ストレスが、参加しなかった母親より低いという結果が得られました。これは、絵本を通して、乳児との適切な接し方を学んでいるためかもしれません。

 また同時に、外界の対象に母親と注意を共有できるかという「共同注意」の研究もしています。これは、指差しに代表される現象です。ブックスタートに参加した乳児は、母親が指差したおもちゃを注視する傾向が強まります。本読みは、母と子が外界の対象を共有するよい訓練となっているようです。

 現在、これら研究を受け継いだ佐藤鮎美さんは、「母親の読み聞かせを楽しそうに聞いている乳児がどのように母子関係を発達させるのか、さらに詳細な検討をしていきたい」と話しています。

 読書の基礎となる読み聞かせは、子供の認知能力だけではなく、母子関係にも大切な役割を果たしていることは間違いなさそうです。(同志社大学文学部教授)
by sakura4987 | 2006-06-21 12:00

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