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◆法律論の前に省みたい“親子の黙契”

平成15年7月22日(火)産経新聞

作詞家・作家 阿久悠  少年犯罪に思う“丸投げ”の咎め

≪“罪を知らぬ罪”こそ重罪≫

 要するに法律とは線引きなのだと、多くの人々は思ったに違いない。一本の線によって、正義という絶対であるべきものでさえ、内と外に分けられる。正義が線引きされるのではなく、正義を全く問わない法律に納得し難い思いが生まれるのも、無理からぬことである。感情論ではそうなる。それは、裁かれざる人が許される人ではない、という素朴な感情である。

 この素朴な疑問に根ざした感情は、あさはかな感情論として軽視され、ほとんど論外の扱いをされるのが普通であるが、果たしてそれでいいのだろうか。早い話、少年法に於ける十四歳での線引きは、一体誰を救い、誰を幸福にするかということで考えられた結果であるのだろうか。

 素朴を超えた粗暴な感情論がマグマを噴出する前に、法律論ではなく人間の尊厳論での説明が必要であろう。

 その線の意味を語る言葉に説得力を持たせず、ただ線を引き下げるだけの論議をするようになれば、永久運動のように線は下がる。

 たぶん、いや絶対に、少年だけが悪いのではないと誰もが言う。親も悪ければ、社会も悪い。加えて時代も悪い。だからといって、罪を犯した少年に罪がないわけではない。最も重大な罪は、罪を知らない罪である。裁かれざる人が許される人ではないという説明が出来なければ、法律用語の十四歳未満は、サッカーの慣用語のアンダー・フォーティーンという感覚で受け止められてしまうだろう。

≪他者に求めず自らが為す≫

 法律を改正するには何年もかかる。意見を集約するのも並大抵ではない。それこそ永久運動になるかもしれない。かといって、見過ごすわけにはいかない。特効薬も劇薬もないとすると、むしろ、最も時間のかかる方法を、親と子の関係で選ぶしかないのかもしれない。法の外で。

 あえてぼくらはという言い方をすると、ぼくらは、総理大臣の丸投げは断罪の勢いで責めるが、自分たちが、政治も経済も環境や文化も伝統も、そして、子供の躾(しつけ)すらすべて誰かに丸投げしていることに気がつかない。

 何とかしてくれとは叫ぶが、何とかしましょうと責を負うことは、誰もしないのである。社会のせい、時代のせいと責任放棄して自分の身は軽くなっても、子どもは幸福にはならない。少なくとも、人間の尊厳についてと、他人の尊重についてと、生きる価値の存在と、人生は可能よりも不可能が多く、しかし、すべてが不可能ではないという現実ぐらいは、語り聞かせる責任が親にはある。親と子、息のかかる距離の中での黙契は、法律や規則をはるかに越える重大事なのである。

 たぶん、今の時代、それが全く行われていないか、崩落してしまったかのどちらかであろう。法律の検討は検討として、英知を集めて、誰かを幸福にするためにという視点で行っていただくとして、それを待つのではなく、親と子の黙契のために身を捧(ささ)げるべきであろうと思う。

 簡単な話、テレビを見ながら、画面を指差して出演者を愚弄(ぐろう)し、罵倒(ばとう)し、高言、放言する姿を子どもに見せないだけでも、人間としての美意識は一つ守られる。また、微罪の一つ一つを大罪への入り口と考えるだけでも、倫理観は確実に教えられる。普通のことをやれば子どもは育つのだ。

≪伝えるべき日本人の美徳≫

 子どもが壊れるということは、日本人が壊れるということ、日本人が壊れるということは、この日本が壊れてしまうことである。

 少年犯罪がどうの、少年法がどうのという狭いところだけの問題意識ではなく、日本の存亡の問題として、たとえば、親と子で日本人を考えてみるところから入ったらどうだろう。アイデンティティーの確認でもいいし、好き嫌いの選別でもいい。とにかく、思ってみることが多い。

 日本人は器用か。日本人は勤勉か。日本人は正直か。日本人は優しいか。日本人は頭がいいか。日本人はきれい好きか。日本人は努力家か。日本人は愛国者か。日本人は謙虚か。日本人は忍耐強いか。日本人はシャイか。日本人は礼儀を重んじるか。日本人は志が高いか。

 どれもこれも、かつてあるといわれた日本人の資質である。外国が評価したものもあれば、日本人自らが認めたものもある。これらの如何にも個人的な資質が、国力に繋がったものもあるのである。

 今、この中で、どれとどれといくつ残っているだろうか。第一これらの資質を、親は一体いくつ知っているのか、子にいくつ伝わっているか。




※「知って犯す罪は軽いが、知らずに犯す罪は重い」という言葉を読んだことがある。今の子供たちに為すべき事を我々親は、大人は果たして伝えているだろうか。知らずに犯している事も多いのかもしれない。 
by sakura4987 | 2006-06-21 12:03

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