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◆シベリア抑留


【産経抄】

 きょうから八月。戦後もう五十九度目の「鎮魂の季節」だが、役所やマスコミにはなお、基礎的な史実の曲解や偏見がまかり通っている。シベリア抑留経験者の洋画家、故香月泰男氏の「地獄の日々」の作品を集めて茨城県近代美術館で始まった展覧会もそうだ。

 ▼同美術館と朝日新聞社、NHK水戸放送局の主催だが、その子供向けリーフレットには、日本人抑留者が「捕虜」と記されていた。シベリアで多数の日本人が犠牲となったのは昭和天皇の「戦争責任」だ、と香月氏自身が解説していた作品「朕(ちん)」も展示されている。

 ▼言わずもがな、「捕虜」とは交戦中に敵に捕らえられた将兵らを指すが、シベリア抑留者は終戦直前、日ソ中立条約を一方的に破って満州などに侵攻したソ連軍に不法に強制連行された。従って、抑留に伴う艱難(かんなん)辛苦の責任を天皇にかぶせるのが筋違いなのは明白だ。

 ▼生還抑留者でつくる「全国強制抑留者協会」(全抑協)の抗議で美術館側はあわてて「捕虜」の文字を削除したが、単なる「ミス」では済まされず、事はこの展覧会だけの問題でもない。「捕虜」と表記した教科書がいくつも検定をパスしているのだ。

 ▼抑留問題の提起を「ロシア側を刺激し、領土問題解決への障害となる」と避けてきた外務省の責任も大だ。歴代駐ソ(露)大使の回想録でも抑留問題は大方黙殺されている。きょう外務省では機構改革が始動するが、意識改革の気配はない。

 ▼今年一月、「われわれは捕虜ではなく抑留者だ。歴史をねじ曲げてはならない」と訴え続けていた青木泰三全抑協理事長が八十三歳で急死した。老戦士の“遺言”はこうだった。「鎮魂とは国家犯罪を正確に語り継ぎ、わが運動を風化させないこと」

平成16年8月1日(日)
by sakura4987 | 2006-06-21 12:57

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