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◆イチロー選手の偉業達成に思う

平成16年10月15日(金) 産経新聞

筑波大学名誉教授・村上和雄  環境の変化でオンした最良の遺伝子

≪最高の舞台が目覚めさせた≫

 マリナーズのイチロー選手が、シーズン最多安打の大リーグ記録を八十四年ぶりに塗り替えるという前人未到の大記録を樹立した。大記録の直前、私はオレゴン州ポートランドに滞在していたが、テレビのスポーツハイライトでは、毎日彼の名前が聞かれ、アメリカ人の感動と興奮ぶりを伝えていた。彼の活躍は、アメリカ人が持っていた日本人に対する人間観をも変えるほどのインパクトを持つ。

 イチロー選手がアメリカの大リーグに行く決断をしなければ、彼の大記録は生まれなかった。彼の筋肉や運動神経にかかわる遺伝子が、日本からアメリカに行って急に変わったとは考えられない。変わったのは、大リーグという世界最高の舞台で、彼の眠っていた遺伝子がオンになったのだと思う。

 多くの遺伝子は眠っており、眠っている遺伝子をオンにすることができれば、私たちは、まだまだ才能を開花させることができる。

 イチロー選手は「自分の可能性が広がったと思うか」という質問に、「器が広がったとは感じていない。器の中でどれぐらい能力を発揮できるか。それが変わったと思う」とコメントしている。

≪努力の結果が幸運つかむ≫

 最初、イチロー選手はスターではなかった。プロ野球入団のときはドラフト四位だったことでもわかる。球団は、彼を第四希望としてしか考えていなかったわけだ。しかし、彼の才能をここまで開花させたのは、いつでも最善、最高の準備をするという姿勢だ。加えて、父親や監督、コーチ、トレーナーとの素晴らしい出合いもある。そのうえに、一安打ずつ積み重ね、今日の偉業を達成したのである。

 遺伝子学から見れば、イチロー選手のたゆまぬトレーニングが、彼の筋肉や運動神経の遺伝子をオンにしたのだと思う。事実、種々のトレーニングによってオンになる骨形成や筋肉の遺伝子を、私どもはいくつか同定している。

 しかし彼の成功は、決して物理的トレーニングによるものだけではないと考えられる。常に、一歩一歩高い目標をかかげて前進する姿勢に代表されるメンタルな面も大きな力を持つ。

 自分の信念をどこまでも強く貫き通し、努力を続けているとき、天の味方がやってくる。幸運は努力の結果、準備された心に降りてくる。

 私は遺伝子のオン・オフに関する研究を長年やってきた。遺伝子はトレーニングなどの物理的刺激や、食物、環境ホルモン、アルコールなどの化学的刺激によっても、オンやオフになる。

 これらの事実に基づいて、精神的な刺激によっても遺伝子のオン・オフは調節されるという仮説を提出している。それを「思いが遺伝子の働きを変える」と表現している。楽しい、うれしい、喜び、感動、感謝、信念、信仰などによって良い遺伝子がオンになると思っている。

 このことを、科学的にぜひ証明したいと実験を行ってきた。そして最近、笑いのような陽性の感情によって、遺伝子がオンになる直接証拠を得ることができた。

≪「野球大好き」が原動力に≫

 イチロー選手の活躍は、日本人に勇気を与えてくれた。そして、私にとっては「思いが遺伝子の働きを変える」という仮説が正しいということを、彼が示してくれたように思われ、大変うれしかった。

 実は、そのイチロー選手も、かつて野球人生最大の危機を迎え、苦しみで眠れない日があったという。それも、日本野球界の最高のバッターとしての地位にあったときである。この苦しみも、彼の眠っていた遺伝子をオンにしたのに違いない。

 苦しみも、それを克服できれば、良い遺伝子がオンになることもあり得るのではないか。飢餓状態が遺伝子をオンにし、メスの乳腺細胞から、オスなしでクローン羊が誕生した例がある。

 イチロー選手はアメリカ人と比べれば体は決して大きくない。それなのに大記録を作れた。体が大きいということは、それほど意味がないと語っている。偉業達成を可能にした原動力は、まず「野球が好きだということ」である。

 人間には、本来素晴らしい可能性があり、限界などはない。自分の能力を生かすことによって可能性は広がる。自分が限界だと思ったとき、それは限界となる。

 イチロー選手は国民栄誉賞を二度も辞退している。「賞をもらうと、さらに前進する動機が低下するように思う」とコメントしている。実に立派である。彼は新しい目標に向かって、さらなる前進を続けようとしている。




※ダイヤモンドの原石という自分を輝かせるには、自分という器の中で最大限の努力をすることだと言う。ある意味、「足ることを知る」ということだし、「適材適所」と言うことだろう。「かごに乗る人 かつぐ人 そのまたわらじをつくる人」という言葉通り、与えられた環境の中で共に精一杯、自分と人の両方が喜ぶ成功を目指そう。
by sakura4987 | 2006-06-21 16:32

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