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◆整理 生きているうちから協力


曽野綾子  平成16年12月17日(金) 産経新聞

 三十年前の自分を考えると、私は決して整理のいい人間ではなかった。本の山の中から自分が必要な本を探し出し、その中の左ページの下段近くに目的の個所がある、というような動物的記憶を自慢していた。

 しかしこの頃かなりの片づけ魔になったのは年のせいである。もっともまだ少し雑事も残しているので、棚一段ずつ整理するとそれで「今日の仕事は終わり」にしたくなる。

 死が近くなるとケチになるというが、私も極く自然にその気配が見えて来た。守銭奴になったというより、使わないものを置いておくのが勿体(もったい)ない、と感じるようになったのである。そのもの自体の命、それを作った人たち、に、申しわけなくなったのだ。

 棚や押し入れの空間もまた私は貴重だと思うようになった。まだ地価の高い東京では棚の面積もばかにならない値段だろうし、それを必要なもので満たせる可能性もまだ残しておかなければならない。新しく買いたい本や食器はどこにおけるか、頭の中で予定を立てる必要もあるのである。

 昔、私の母は、風通しということを非常に大切だ、と私に教えた。まだモルタルなどというものは一般的ではなかった時代に、私の家の外壁も典型的な羽目板であった。その直ぐ傍(そば)に八つ手や南天や万両などの植物が植えてある。それらの植物が伸びて羽目板に触るようになると、母はすぐに自分で枝を払った。家の羽目板と植物との間に風が通らないと、植物と家と両方の健康によくない、というのである。

 後年中国やソ連などの社会主義国家を見た時、私は何よりも母の言葉を思い出した。跳ね上がりも出るかもしれないけれど、自由主義は、何より風通しがいい。魂が解放されて自由である。その代わりミノムシの蓑(みの)がないようなもので、危険は自分で負担する部分が多い。

 ハンドバッグや靴や服などをとにかく買ってきて、袋から出しもせずに置く人がいるというが、人間の才能は少ないものをどれだけ絢爛(けんらん)と使いうるかということにある、と私は思っている。デザイナーや女優さんやモデルさんには、あんな不思議な調和をよくもまあ、こんなにおもしろく使いこなすものだ、という才能を持っている人が多い。

 整理には時間がかかる。時には十年くらい必要かもしれない。もう死ぬまでものを買わない、という人もいるが、日本の国家をうまく経営してもらうには、人間をやっている限り、常にいささかの消費にも協力すべきであろう。旅行もして日本国自体が持つ力を活性化することも義務だと思う。死後遺族が、ものを捨てるのに膨大なエネルギーとお金と時間をかけたという話だらけなので、生きているうちから整理に協力するのが当然だと自然に思うようになった。





※昨日、二つのお葬式に出た。私は44歳になるが、この年になると少しづつ死ぬまでの事について考えることも出てくる。周りでは同年代の人の病気も時々聞くし、亡くなる人もいる。上記の文章もうなずくし、曽野さんの「戒老録」には納得することが載っている。例えば、

『よく捨てること。年をとるに従って溜め込む傾向にある。』 

『他人が「くれる」こと「してくれること」を期待してはいけない。』 

『老人であることは肩書きでも資格でもない』 

『身内の者になら、何を言ってもいいどんな姿を見せてもいいと思ってはいけない。』 

『若さに嫉妬しないこと。若い人を立てること。』 

などなど多数ある。死後の世界があることは100%信じているので、死後についてはそう不安はないのだが、それまでの人生をいかに生きるかを他の人から学び続けながら、ひとつでも向上できるよう精進を続けようと思っている。年末でもあるし、まずは身の回りを整理をして、少し捨てることも覚えようと思う。 
by sakura4987 | 2006-06-21 16:46

毎日の様々なニュースの中から「これは!」というものを保存していきます。


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