◆民主党はやはり第二社会党なのか
イデオロギー色濃い政策の羅列
≪むべなるかな自民の指摘≫
参議院選挙の最中、自民党は民主党が発表した『民主党政策INDEX2004私たちのめざす社会』に対し、「民主党は第二社会党」と批判する文書を作成し、各候補陣営などに配布したという(産経新聞六月二十九日付朝刊)。
実は私は昨年十一月の総選挙後、やはり民主党が総選挙用に発表していた『政策集』を分析して「社民党、共産党は選挙の度に議席を減らしているが、どっこい旧社会党のイデオロギーは民主党の中で生きている。民主党に警戒せよ」との原稿を雑誌で書いたことがあったので、この報道には面映いものがあった。
もちろん今度の自民党の民主党批判に私はかかわっているわけではない。自民党が独自の見識で行ったものと思われるが、昨年の『政策集』、今回の『政策INDEX』を読む限り、「第二社会党」と呼ばれても仕方がないのではないかと思われるのである。
ここで『政策INDEX』の内容を一部紹介しておくと、まず永住外国人に地方選挙権を付与する法案を提案したとある。「性別役割分業を固定化しない(ジェンダーフリー)社会こそ、日本を再創造するカギとなります」ともある。選択的夫婦別姓を実現し、「婚外子(非嫡出子)の相続差別をなくします」ともある。特定のイデオロギーにとらわれた政策のオンパレードである。
≪自虐史観そのものの主張≫
また「我が国と近隣諸国の建設的関係の土台を構築するためにも、歴史的事実の真相究明は必要です」とし、そのために国会図書館に恒久平和調査局を設置する「国立国会図書館法改正案」を目指すともいう。「真相究明」は必要だが、ありもしなかった「戦争犯罪」をでっち上げる機関を、公的に設置しようということである。
その証拠に「当事者の方々が高齢化していることに鑑み、アジア等の女性に対する旧日本軍による『慰安婦』問題の解決を図るために『戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する法律案』の成立に急ぎます」とある。幾分トーンダウンはしているが、「従軍慰安婦」の日本軍や日本政府による「強制連行・強制労働」を前提としなければこの発想は出てこない。
さらに「何人もわだかまりなく戦没者を追悼し、非戦・平和を誓うことができるよう、特定の宗教性をもたない新たな国立追悼施設の設置に向けて取り組みをすすめます」とも述べている。靖国神社の代替施設を建設するということである。
これらを自民党は「民主党の歴史観は東京裁判史観や抗日戦争史観と同じ『自虐史観』そのもので、かつての社会党の歴史観をそっくり引き継いでいる」「民主党の目指す社会は左翼思想と全く同じ」「民主党は家族の崩壊を目指す」などと批判しているが、的を射た指摘である。
≪改憲提言も注視が不可欠≫
これに民主党の幹部は「『INDEX』は必ずしも党の政策を縛るものではない」と弁明しているが、いかにも苦しい言い訳である。
実は民主党が六月二十二日に発表した「創憲」に向けての「提言」にも以上紹介した項目の一部は盛り込まれている。
例えば「永住外国人の地方参政権を認めるべきである」とし、「国家と宗教との『厳格な』分離を基本理念として規定する。(中略)政治的解決策として、新しい国家追悼施設の建設・整備を進め、靖国神社参拝問題を事実上終焉させる」としている。昭和五十二年七月の津地鎮祭事件最高裁判決以来判例としても確立している「目的効果基準」による政治と宗教の「限定分離」の考えを見直して、唯物論者の見解である「厳格分離」を憲法で規定しようというのである。そしてその考えをもとに国立追悼施設を作り、靖国神社の地位を貶(おとし)めようというのである。
「提言」には「憲法に子どもが権利を享受し、行使する主体である旨を明記する。子どもからの苦情や権利侵害の救済に対応できる独立した『子どもの権利保障機関』の設置も必要である」とも述べている。日教組の主張そのままだが、子供が親やその他の大人を訴える社会を作ろうというのである。
果たしてこのような政策を掲げる政党が勝利した選挙結果を「我が国の政治におけるイデオロギー対立の時期に完全な終止符を打ったものとも評されるはず」(櫻田淳氏、七月二十五日付「正論」欄)といえるだろうか。民主党のイデオロギーを直視しない楽観論と言わざるを得まい。
今後の民主党の政策、憲法改正の方向性に注視したい。(やぎ ひでつぐ)
平成16年7月29日(木)産経新聞

