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◆加古川の惨劇と過剰な加害者保護


帝塚山学院大学教授・小田晋 

事勿れ主義に陥った警察や行政

≪結局は現実となった不安≫

 記録破りの猛暑が続く中、兵庫県加古川市で八月二日未明、二家族七人が刺殺され一人が重傷を負う事件が起こった。容疑者は近所に住む親類の無職男(四七)で、約三年前から近所の人を包丁で追い回すなどの問題行動を再三起こしており、住民は平成十三年七月と翌年七月には加古川署に相談もしていた。男は高校中退後、定職も持たず引き籠もり生活を始め、そのころからトラブルが目立ちはじめた。近隣の住民は「目が合っただけで『殺すぞ』といわれた」などと語っている。

 近所の住民は地区の公民館に集まり“対策会議”を開くほどであったが、警察は「実害がないと何もできない」として動くことはなかったという。警察はパトロール回数を増やすなどの対応はとり、保健所に相談するようにも勧めていたというが、「いつか大変なことが起きるのではないか」という住民の不安は結局、現実となってしまった。

 この事件は、単に村落の中の限られた人間関係の中で暴発したものと正常心理的に理解することはできないし、「人権の問題もあるから事件は周囲の人が自衛するしかない」と投げ出してしまうべき事件でもない。容疑者の男は親族のみならず、近隣の人たちからも、疎外され迫害されているという被害者意識を持っていたようである。そして被害者意識を持っている者が他者に対する攻撃を躊躇(ちゅうちょ)しないというのは「迫害される迫害者」と称される被害妄想患者による犯罪の典型タイプであるといえる。

≪通報は20年で20分の1に≫

 些細(ささい)なことを被害的に邪推し恨みを持ち、暴力を振るうということなら妄想性人格障害であり、それが一定の被害妄想に結晶しているなら妄想症、就労せずに引き籠もり生活を送っていたところからは統合失調症(妄想型)に罹患(りかん)していたことも疑われる(もっともそうだからといって、それは「心神喪失」とは直結しない)。

 いずれにしても精神保健福祉法二九条でいう「精神障害によって自傷他害のおそれある者」であって、知事命令による措置入院の対象になる。この条文では「おそれのある者」となっていることが重要である。実際に自殺したり、死体が横たわる事態になったら、それは法医学の対象で精神保健の対象ではない。

 それを事件前に介入して入院させるのは、すべて「予防拘禁」であるとして手を縛ってしまったのは、一九七〇年代に犯罪者や精神障害者の反社会的エネルギーを革命の原動力にしようという新左翼・全共闘運動思想の影響力が特に弁護士団体や精神神経学会で強く、行政もその影響を受けたからであろう。

 精神保健福祉法では、精神障害者で保護の必要のある者を発見した者は、誰でも保健所を通じて知事に通報し保護を申請できる。ところが八〇年代に右記の弁護士会や精神神経学会の動向にも影響され法改正が行われ、入院は本人の同意に基づくことを原則とする「任意入院優先原則」が条文化されてから、保健所は住民の通報を「そうは言っても人権ということもある」「地域で温かく見守って」と門前払いにするようになり、ために一般人からの申請通報は二十年間に二十分の一以上に激減している。つまり保健所が当てにされなくなっている。そこで警察に相談しても「事件が起きなければ手が出せない」ということになる。

≪放置より行き過ぎ恐れる≫

 こういう事件の再発を防ぐためには(1)保健所は住民の申請通報、特に被害妄想を持って脅威的言動を反復する人物に関する通報には真摯に対応し、少なくとも精神保健相談員を派遣して問題解決に当たらせ、自傷他害の恐れがあれば措置入院を積極的に適用する(2)警察は通報を受けたら直ちに保健所または精神保健福祉センターと対応を協議し、必要があれば障害者の保護と入院に協力する-ことが重要である。問題は、保健所も警察も人権侵害について少しの行き過ぎでもあれば厳格に責任を追及されるのに、問題を見て見ぬ振りをして放任した場合に責任を問われることがほとんどないか、もしくは処分が軽いことである。

 埼玉県警のストーカー被害者見殺し事件も、先日あった草加署交番に救助を求めて駆け込んだ被害者を“黙殺”した事件も、背景にはこうしたトップの事勿(ことなか)れ主義の姿勢がある。家族や住民の申請通報を黙殺して事件が起きた場合、保健所長、警察署長は必ず責任を問われるという原則が確立しなければ、「加古川の惨劇」は再発する。それは場合により局長通達一本で可能なのである。
by sakura4987 | 2006-06-21 17:12

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