◆東京都の「男女平等教育について」
男女平等教育について
東京都教育委員会では、適正な男女平等教育の推進について、以下のとおり「ジェンダー・フリー」という用語の使用に関する見解を示すとともに、別紙のとおり都立学校長あて通知しますのでお知らせします。
1 「ジェンダー・フリー」という用語の使用に関する見解
「ジェンダー・フリー」という用語の使用に関する東京都教育委員会の見解
東京都教育委員会は、最近の「ジェンダー・フリー」という用語をめぐる誤解や混乱の状況を踏まえ、以下のとおり見解を示すものであります。
「ジェンダー・フリー」という用語は、男女共同参画社会基本法及び国の基本計画、東京都男女平等参画基本条例等においても使用しておらず、また、その意味や主張する内容は使用する人により様々であり、誤解や混乱が生じています。
こうした状況の中で、内閣府においても、本年4月、この用語を定義できないとした上で、地方公共団体が条例等を作成する場合にはあえて使用しない方が良いのではないかとの考え方を示しています。
また、一部には「男らしさ」や「女らしさ」をすべて否定するという意味で「ジェンダー・フリー」という用語が用いられることがあり、このことは、東京都教育委員会が目指す男女平等教育の考え方と明らかに異なるものであります。
こうしたことから、東京都教育委員会は、男女平等教育を推進する上で、今後は、「ジェンダー・フリー」という用語は使用しないこととします。
平成16年8月26日
東京都教育委員会
都立学校長殿
教育庁指導部長 近藤精一
(公印省略)
「ジェンダー・フリー」にかかわる配慮事項について(通知)
東京都教育委員会は「ジェンダー・フリー」という用語については、平成16年、月日付16教総政第号「ジェンダー・フリー』という用語の使用に関する東『京都教育委員会の見解について(以下「東京都教育委員会の見解」という)のとおり、誤解と混乱を招くことが考えられるので、男女平等教育を推進する上で、今後、この用語を使用しないこととしたところです。
つきましては、各学校においては「東京都教育委員会の見解」を十分に踏まえ、、男女平等教育の指導計画を見直すとともに、以下の点について御配慮いただきますようお願いします。
記
1 教科用図書にみられる「ジェンダー・フリー」の用語の扱いについて
文部科学省の検定を経た社会公民家庭の教科用図書のなかには「ジェンダー・フリー」という用語を用いているものがある。また、これらの教科用図書のなかには「男らしさ」や「女らしさ」を否定するような意味で「ジェンダー・フリー」という用語を用いているものもある。
各学校においては、これらの教科用図書で「ジェンダー・フリー」の用語を取り扱うに当たり「東京都教育委員会の見解」を十分に踏まえ、適切に指導を行うこととする。
2 男女混合名簿について
東京都教育委員会は、これまで学校における出席簿等の名簿について、望ましい男女共同参画社会の実現に向けた取組の一環として、男女混合名簿の導入を推進してきた。
しかし、近年「男らしさ」や「女らしさ」をすべて否定するような「ジェンダー・フリー」の考えがでてきている。それに基づき、男女混合名簿を導入しようとする主張がみられ、学校において混乱を招いているところである。こうした「ジェンダー・フリー」の考え方に基づいて名簿を作成することは、男女共同参画社会の実現に向けて男女混合名簿を推進してきた東京都教育委員会の考え方とは相容れないものである。
したがって「男らしさ」や「女らしさ」をすべて否定するような誤った考え方、としての「ジェンダー・フリー」に基づく男女混合名簿を作成することがあってはならない。
「ジェンダー・フリー」の使用に関する内閣府の考え方
1 「ジェンダー」の使用状況等について
· 「ジェンダー」という用語は、1995年の第4回世界女性会議で採択された北京宣言及び行動綱領において、生物学的な性別を示す「セックス」に対して、社会的、文化的に形成された性別を示す概念として使用されています。
· 男女共同参画社会基本法においては「ジェンダー」という用語は使用していませんが、男女共同参画基本計画においては、「社会的・文化的に形成された性別(ジェンダー)」と規定し、これに敏感な視点などの形で使用しています。
2 「ジェンダー・フリー」の使用状況等について
· 「ジェンダー・フリー」という用語は使用する人によりその意味や主張する内容は様々であり、北京宣言及び行動綱領や最近の国連婦人の地位委員会の年次会合の報告書などでは使われておりません。
· また、男女共同参画社会基本法、基本計画等においても使用しておらず、内閣府として定義を示すことはできません。
· なお、一部に、画一的に男女の違いを無くし人間の中性化を目指すという意味で「ジェンダー・フリー」という用語を使用している人がいますが、男女共同参画社会はこのようなことを目指すものではありません。
3 地方公共団体における「ジェンダー・フリー」の使用等について
· 一般論として言えば、地方公共団体の条例、計画等においてどのような用語を使用するかについては、それぞれの地方公共団体が判断すべき問題です。
· 最近の「ジェンダー・フリー」という用語をめぐる誤解や混乱の状況を踏まえると、今後新たに地方公共団体において条例等を制定する場合には、敢えてこの用語は使用しない方が良いのではないかと考えております。
· なお、地方公共団体において、差別をなくすという意味で、定義を明らかにして使用しているものについては、問題ないと考えております。
· 男女共同参画社会について誤解や混乱があることは適当ではないので、今後あらゆる機会をとらえて、正確な理解のための広報啓発、個別照会への対応を行ってまいります。