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◆【靖国参拝の考察】ボストン大学教授・トーマス・バーガー氏



(産経 06/6/22)

米は関与せず、アジアで解決を

 小泉純一郎首相の靖国参拝を中国などが非難することに対する国際的考察として日米の政治や安保の研究を専門とする米国ボストン大学のトーマス・バーガー教授は産経新聞に見解を寄せ、靖国問題の背後で日中韓の3カ国のナショナリズムがぶつかりあうことへの懸念を表明する一方、米国は関与すべきでないと主張した。

 日本、中国、韓国の間ではそれぞれの歴史認識のギャップがまた広がってきた。歴史認識の食い違いは歴史自体よりも歴史が政治的にどう使われるかの方法の違いから生じている。

 そしてその歴史認識の差異の背後にはイデオロギー上の食い違いが存在する。その結果、起きる緊迫の象徴が靖国問題だといえよう。

 この緊迫が東シナ海での尖閣諸島の領有権や竹島の領有権をめぐる紛争とからんで関係国自身がそもそも望んでいないような衝突を起こす危険を私は懸念している。

 米国にとっては日中関係が安定していることが好ましい。日中両国同士も対決が望ましいはずがない。

 小泉首相が靖国神社に参拝することは基本的に米国の指導者がアーリントン国立墓地を訪れるのとそう変わらないと思う。首相は政治的な計算からではなく、日本の国のために命を犠牲にした先人に弔意を表し、次世代にその追悼の範を示そうと思って参拝するのだろう。

 同時に首相の心にはおそらく日本国民一般が自国を愛し、誇りに思うというナショナリズムの意識にまだ欠陥があるという思いがあるのだろう。

 私は「日本のナショナリズムが急激に高まっている」というような見方には懐疑的だ。日本ではナショナリズムは中国、韓国、米国よりもずっと希薄である。

 だがそれでも靖国参拝には自国への帰属意識という意味でのナショナリズムの要因がからんでおり、不運なことにその部分が中国と韓国のさらに強まるナショナリズムとぶつかることになる。

 中国では共産党の統治の正当性を誇示するために国民のナショナリズムをあおり、日本非難がその一つの手段となる。韓国では盧武鉉(ノムヒョン)政権が日本の過去の統治を激しく非難することで朝鮮ナショナリズムの団結を図っている。

 その両国が自国のナショナリズムの視点から小泉首相の靖国参拝を非難するわけだ。

 米国は靖国問題に関与すべきではない。

 韓国はすでに米国に対し日本に参拝抑制を求めるよう要請してきているが、米国は応じてはならない。アジアでの衝突案件の解決はアジア人に任せるという年来の米国政府の方針があるのだ。

 米国政府は日本に首相の参拝停止を求めるべきだと主張する米国側の識者もいるが、あくまで少数派だ。日本自身が自主的に決めねばならない課題だからだ。

 日本の首相がたとえ靖国参拝をやめると宣言しても、中国との歴史問題は決して終わりはしない。短期にも中期にも解決をもたらすことはない。

 私自身も小泉首相の靖国参拝に道義的にとくに抵抗は感じない。

 A級戦犯の合祀(ごうし)も、米国のアーリントン国立墓地に米国側でさえ戦犯とみなされたジェイコブ・スミス将軍のような人物も埋葬されたことを考えると、それほど特殊とも思えない。

 同将軍は1900年ごろフィリピンでの戦闘で敵側の10歳以上の人間を皆殺しにする命令を出し、軍法会議で有罪となったのだ。

 しかし小泉首相の参拝の戦略的な意味については懸念もある。参拝が日本の戦争を正当化する方向に受け止められ、そのうえでの歴史論争が国際的に始まると、米国自身の歴史観は日本よりも中韓両国のそれに近いということが露呈しかねない。

 この点は日本の弱点たりうる。だから日本としては歴史認識に関して日本だけが異端ではないことを外部に説き続けねばならない。

 中国は首相による靖国参拝の中止声明を日本側が出さない限り、日中首脳会談に応じないという硬直した態度をとっているが、これは愚かな対応だ。日中間には首脳同士が論じるべきテーマは多々あるのだ。

 いまの靖国問題を一気に解決する魔法のような万能薬はないだろう。ただし日本側は参拝自体では一切、譲歩をしなくても中国や韓国の国民の靖国を含めての歴史認識にからむ分野で善意を示すことはできるだろう。

 たとえば朝鮮半島や中国での戦前の日本側による人員の強制徴用、強制労働への個人レベルでの賠償金の支払いという措置が考えられる。

 その場合、欧州での実例のように、各国の利害が複雑に交錯しながらも、相互理解の推進にはなり、靖国問題での対決のある程度の軟化にはなるだろう。

                  ◇

【プロフィル】トーマス・バーガー氏 

 1982年、コロンビア大学政治学部卒業、92年にマサチューセッツ工科大学で政治学博士号取得、94年から2000年までジョンズホプキンス大学助教授、01年からボストン大学国際関係学部教授。東アジアの安全保障や日本の防衛、政治などを専門分野とし、博士論文では日独の対米同盟関係を比較した。
by sakura4987 | 2006-06-22 06:20

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