◆朝日の匿名座談会 (世界日報 06/6/14)
軍事評論家 土田 隆
朝日の秋山耿太郎社長が、ご就任直後から「NHK問題」「長野支局捏造事件」「子息の大麻事件」と、次々に不祥事が起きているのに、一向に謝罪会見されぬのを、何故かと不審に思っていた。
その不審は、「WiLL」七月号、花田紀凱編集長司会の匿名内部告発座談会「朝日新聞社会部大粛清の真相」を読んで氷解した。
花田氏の「代表取締役専務、専務、常務、この三名の社会部出身役員はじめ五人をクビにした。あの六月二十三日付人事をどう思うか」という幕開け質問に、出席者のうち二名が、こうおっしゃったからである。
A「私は秋山さん、相当な決断をしてやったと思っています。喜ぶべき方向ですね…」
B「…この人事は、半世紀続いた体制がどうにもならなくなって、秋山社長が朝日を変えようとしている象徴的な出来事ですね…」
それなら結構。
私も、最近、「これが、人民日報東京支局の異名を持つ朝日か」と、思わず掲載紙名を確かめたくなるような見事な記事を見かけるのに気付いていた。
例えば、松本仁一編集委員の連載「アフリカの『中国人』」
香港支局、林望氏の「中国『上へ、上へ』の過酷さ」(六・四)
加藤洋一アメリカ総局長の「中国の軍事増強と孤立/なお残る不信感」(六・八)
そして極め付けが、六・十日付国際面の殆どを使った「世界発2006」である。
1999年以来カナダに逃げ込んでいた例の「アモイ汚職」の主役、頼昌星容疑者の本国送還をめぐる解説だが、ご丁寧に、彼をかばったとされる前国家主席をはじめ現国家主席らの顔写真を掲げ、責任関係が図示してある。
ところが、変わらないのが論説主幹、若宮啓文氏。
六・七日付同紙十四・十五両面を使った「合同シンポ『東アジアと米国』」の司会者としてのまとめで、「…まずは靖国問題にけりをつけ、大きな和解を目指すべきだと思うのだが、それは参加者のコンセンサスでもあった」と、書いておられる。
が、出席者八名の発言要旨を読むと、靖国に触れられたのは米・韓のお二人だけ。何が「出席者のコンセンサス」なものか。
ともあれ、この匿名座談会、内部告発者は四名だが、話題は、ナベツネ氏と若宮氏の思惑から広告基準、販売店の内幕等々に及び、こんな面白いのを読んだのは久しぶり。ご一読をおすすめする。

