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◆イスラム勢力が首都制圧-ソマリア (世界日報)



アルカイダの浸透を懸念する欧米諸国

 今年三月下旬から六月初旬にかけ、ソマリアで展開された武力衝突により、「イスラム国家樹立」を掲げるイスラム根本主義勢力「イスラム法廷」が首都モガディシオを制圧した。

 米国をはじめとした西側世界は、国際テロ組織アルカイダと関連が深いとされる「イスラム法廷」を警戒、関係諸国による連絡調整グループ設立に動きだした。


≪連絡グループ設置へ≫

 十九世紀後半に、英国およびイタリアの保護領となり、アフリカの角と呼ばれるアフリカ大陸北東部の要衝に位置するソマリアは、一九六〇年にソマリア共和国として独立した。

 その後クーデターや反政府闘争などが発生して政権交代が二度ほど行われたが、九一年から内戦状態に突入。九二年から九五年まで国連平和維持部隊、米軍主体の多国籍軍によるソマリア平和執行部隊が派遣されたが、戦闘で死傷者が続出したことから九五年に撤退、その後も内戦が続いていた。

 このところ国際社会の注目を浴び始めたのは、今年三月下旬と五月上旬、イスラム根本主義系の民兵組織と根本主義台頭に反対する複数の武装勢力の同盟軍「平和復興と対テロ連合」(ARPCT)との間で大規模な戦闘があったからだ。三月下旬に約九十人が死亡、五月初旬は百四十人以上が死亡した。

 イスラム系民兵組織は、「イスラム法廷」を名乗り、イスラム法廷の全国設置とイスラム国家樹立を掲げるだけでなく、アルカイダとの強い結び付きを指摘されている。

 そのため、今年二月に結成されたARPCTが掃討作戦を敢行した格好だが、同盟軍の背後に、テロとの戦いを進める米国の支援があるとみられている。

 ところが、戦況はイスラム法廷側に有利に働き、六月五日、首都モガディシオをほぼ掌握した。イスラム法廷の代表は、群衆を前に、「イスラム国家成立まで戦い続ける」と宣言した。

 治安上の不安から首都に入れず、首都から二百五十キロ離れた内陸部のバイドアに拠点を置く暫定政府のゲディ首相は、同盟軍出身の大臣四人を罷免、首都の治安回復のためイスラム法廷と協力する姿勢を示した。

 イスラム法廷は首都の十一のイスラム組織が連合して結成された、厳格なイスラム法の施行を求める聖職者の組織とされるが、その性格は首都のイスラム最高指導者ヌール・バルド師の言動を見れば分かる。

 同師は同盟軍との戦闘を「イスラムの守護者と無神論およびその支援者との戦い」と位置付けている。アルカイダなどに見るイスラム根本主義的発想そのものである。

 マコーマック米国務省報道官は九日、欧州やアフリカ諸国などで、「ソマリア連絡調整グループ」を立ち上げると発表、ニューヨークで関係国による国際会議を開催するとした。アルカイダとの結び付きを強めるイスラム根本主義勢力の台頭を警戒し、ソマリアがテロの温床となることを強く憂慮するからだ。

 イスラム法廷は、欧米の動きを察知して、ブッシュ米大統領に書簡を送付、アルカイダやテロリストとの関連の否定に躍起だが、思想、宗教、言論の自由を前提とする民主主義とは真っ向から衝突する性質を持っている。

 国際社会は今、イスラム法廷側が、アルカイダとの接触だけでなく、根本主義的発想を捨て切ることができるかどうかに注目すべきだろう。

 そのことは、イラン(ホメイニ革命)やパレスチナ(ハマス政権やイスラム聖戦など)、レバノン(ヒズボラ)、イラク(ザルカウィ・グループやサドル師派グループなど)、エジプト(ムスリム同胞団)などで活動を拡大するイスラム根本主義勢力に対して共通に要求すべき「変化」と思われる。


【ソマリアの歴史】

1991年   統一ソマリア会議(USC)が首都を
      制圧。USC内部で対立、内戦へ

1992年   国連安保理は国連平和維持活動(PK
      O)の国連ソマリア活動(UNOSO
      M)設置を決議。米海兵隊が首都に上陸

1994年   国連安保理、UNOSOM2の完全撤
      退を決議

1995年
 3月   米海兵隊が撤退、外国部隊はすべてソ
      マリアから撤退した

1997年   武装26派が、エチオピアで救国評議会
      (NSC)結成

2002年
 10月   暫定政府や各武装勢力がケニアの仲介
      で和平会議を開始

2004年
 1月   ナイロビで和平会議再開

2006年
 2月   イスラム根本主義聖職者の影響力拡大
      に対抗するため、複数の武装勢力が同
      盟軍「平和復興と対テロ連合」(ARP
      CT)を結成

 3月22日 ARPCTとの間で戦闘。24日までに
      90人以上の死亡情報も

 5月7~14日 
      イスラム勢力とARPCTが衝突、140
      人以上死亡。過去最悪の規模

 5月14日 停戦合意

   17日 米政府、アルカイダがソマリアで地歩
      を固めつつあると懸念を表明

 6月5日 「イスラム法廷」が首都モガディシオ
      をほぼ掌握、勝利を宣言

   9日 マコーマック米国務省報道官、欧州や
      アフリカ諸国などで、「ソマリア連絡
      調整グループ」を立ち上げると発表
by sakura4987 | 2006-06-22 06:29

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