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◆日本型資本主義を守れ!


平成14年11月5日(火)産経新聞

作家 深田 祐介  いまこそ見直せ「終身雇用制」のよさ

≪資本主義には二タイプある≫

 私の知人のジャーナリストY氏が「島津製作所の田中さんは民間人としてのノーベル賞を貰う最初で最後のひとじゃないですか」と言う。「こんなに日本の経済界が合併だリストラだと乱れていては、研究に集中できる筈(はず)がないでしょう」「まったく同感です。私の意見を付け加えれば、アングロサクソン型資本主義、主として米国型資本主義ばかりを金科玉条として、日本型資本主義をあっさり捨ててしまったことが大きい、と思いますよ」

 私はそう応じた。

 日本は資本主義というと、米国が本場であり、教科書のように思いがちだが、世界には少なくとも二つ以上の資本主義のタイプがあると認識を深めたのは、フランスの雑誌で、フランス総保険会社社長ミシェル・アルベールの「資本主義対資本主義(キャピタリズム・コントル・キャピタリズム)」の紹介と作者のインタビューを読んで以来である。

 その後原書も入手して読んだ結果を要約すれば、「資本主義には大きく分けてドイツ、日本型資本主義(ライン川資本主義)と、米国、英国型(アングロサクソン型資本主義)とある。後者の米英型は株主第一主義で、株主の利益最優先、社員の生活など意に介さない。反対にドイツ日本型は社員第一主義、社員の利益優先で株主の大半は金融機関であり、影響力は強くない」という趣旨であった。

 その後、旧知の先輩、知日派で英米の名門大学教授を歴任されたロナルド・ドーア教授がミシェル・アルベールとまったく同じ考えを持っておられるのを知り、教授と私の対論集という形で光文社から「日本型資本主義なくしてなんの日本か」という本を出した。文中ドーア教授は、

 「英米の資本主義における従業員、労働者がどういうものであるかというと、労働を買う対象に過ぎないのです。できるだけ質の高い労働力をなるべく安く買うことが経営者の義務になる」と語り、株主の企業(英米型)と社員の企業(日独型)がいかに違うかを強調していた。

 日本型雇用のうち、年功序列制やいわゆる「ケイレツ」は風化しつつあるが、日独共通に生き残っている、いや生き残るべき制度は「終身雇用制」であろう。

≪ドイツに永年勤続社員表彰≫

 日本人に知られていないが、少なからぬドイツの企業は日本同様「永年勤続社員表彰」つまり十年勤続、二十年勤続の社員表彰を行っている。

 ドイツ系大銀行に転職した日本人社員は表彰式場で「何だ、日本と同じじゃないかと思いました」と語っていた。

 この終身雇用こそが日独の工業技術水準を維持してきたのである。

 そもそも日本企業の特に技術部門には「名人」がいて、企業を支えてきたのは周知の事実だろう。エンジンの音を聞いただけで、どこの部品に欠陥があるかを聞き分けてしまう人物。船のスクリューの表面を掌でさっとひと撫でしただけで目に見えぬ凹凸を感じ取ってしまう人物。そうした名人たちが、日本の技術を支え、日本を技術大国ひいては経済大国へと導いた。

 この技術を支えてきたのが「終身雇用制」であって、「終身雇用制」あったればこそ、各個人は技術や研究に集中でき、各界に名人を生み出したのだ。因(ちな)みにドイツ製自動車の評価が高いのは終身雇用およびそれに近い長期雇用制のためと考える。

≪諸悪の根源はバブル崩壊≫

 恐らくバブル崩壊のA級戦犯達はバブルを潰(つぶ)せば、企業がリストラ、倒産に傾き、それが研究者、技術者の不安を招き、集中力を奪い、名人や熟練工の維持、育成に大きく響くとは考えもしなかったのだろう。まったく浅慮というものだ。なにしろバブル崩壊で毎年三万人以上の自殺者を出しながら、高いびきで寝られる神経の持ち主なのだ。

 話は違うが、竹中平蔵金融・経済財政担当相が不良債権処理加速策のために民間の学者などでつくった、いわゆる「竹中チーム」のやり方もバブル崩壊の手続きに酷似していると私はみる。銀行や企業の生死を左右するといっても過言でもない政策を完全非公開で議論する。しかも、米国式の経営手法をそっくり取り入れようとするのだから、銀行ならずとも「竹中チームはいったい何様だと思っているのか」と批判したくなる。

 まさに竹中チームの密室性、強引乱暴な手口はバブル崩壊のときにみられたものとそっくりではないか。こうしたやり口をみて民間企業の社員の動揺を誘い、社員の集中力を奪い、研究成果の激減にもつながりかねないと思うのは私の杞憂(きゆう)だろうか。(ふかだ ゆうすけ)




※社員の首を切らずに頑張った社長の会社がつぶれたと聞いたことがある。例の貸し渋りの時期だ。なぜアメリカ型に急ハンドルを切らねばならないのか分からないが、竹中氏は経済学者でもあるし、経済学の中にも一種のイデオロギーがあるのだろう。 
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by sakura4987 | 2006-06-23 12:23

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