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◆人口激減、中国人の流入 (産経 06/6/26)


【『大ロシア』紀行】(11)

中央は極東の事を忘れた

 雑踏の中で中国語が飛び交い、一瞬、異質の空間に迷い込んだ錯覚に陥ってしまう。ロシア極東部の港湾都市、ウラジオストクから車で北に約2時間、中国国境から約200キロの所にあるウスリスク市の中心部に、その中国人市場はあった。

 入り口のゲートや駐車場、従業員の寮まで完備され、大規模店舗数軒のほか、トタン屋根のバラック店舗や露店数百軒が立ち並ぶ。家電や家具から洋服、日用雑貨まで何でもそろうとあって、「生活になくてはならない存在」と、ロシア人客には好評だ。

 カメラを向けると、中国人売り子たちはコソコソと柱や物陰に隠れる。案内してくれた警備業のマクシム(28)は「(不法滞在者の取り締まりを)恐れているのだろう。彼らは外部社会とは積極的に付き合わない」と話す。

 靴屋の男性店員(24)は「5年前に来た。靴は(中国東北部、黒竜江省の)綏芬河で生産されていて、こちらの注文に応じバスで運ばれてくる」と、ロシア語で明かす。

 中露政府間協定で団体旅行者に認められているビザなし越境を利用した「担ぎ屋」たちが、商品を持ち込んでいるのだ。

 取材していたところ、すっ飛んできた迷彩服姿のロシア人警備員に事務所に連れて行かれて、「ここでの撮影は認められない」と言い渡された。

                 ◆◇◆

 このほかにも、ウラジオストクをはじめ極東全域では夏場、建設や農作業、森林伐採の現場に外国人がドッと入り込んでおり、多くは中国人だ。

 実は、連邦政府が2002年施行の「外国人労働者の割当制度」に基づき、毎年、企業の要望を取りまとめて受け入れ数を決め、合法労働者として各州に配分している。

 2006年は32万9300人(前年比11万5300人増)が全土に、1万6500人(同1500人増)が沿海州(州都・ウラジオストク)に送り込まれており、近年の実績をならしてみれば、中国人が約65%、北朝鮮人が15%を占めている。

 ウラジオストク市対外経済委員会の議長、アンドレイ・シドロフ(44)は「われわれは労働力が大いに不足している。中国人や北朝鮮人が来るのはとても有益だ」と実情を吐露し、「彼らなくして極東の経済発展はない」とまで言い切った。

 中国人労働者を雇用する地元の大手、「極東建設」のビクトル・クリブリン(42)も「中国人はロシア人の2~3倍の働きぶりだ。ウオツカを飲まず、規律正しい」と極めて好意的に評価した。

 ソ連崩壊後の1990年代にロシアが中国との国境画定に乗り出したとき、極東部で声高に言われた「黄禍論」などすっかり影をひそめた形だ。

 中国などからの出稼ぎ労働を歓迎する背景に、全土で年間50万人に達する人口の激減がある。伝統的国産車、「ボルガ」の売れ行き不振で人口扶養力が失われてしまった前回の舞台、ニジェゴロド州は一例に過ぎない。

 体制も価値観も一変して社会が荒廃しきった90年代、精神的打撃からアルコール暴飲や麻薬使用に走る者が増えて、内臓疾患やエイズなどで死亡率が上昇する一方、社会保障制度の破綻(はたん)や経済危機で出生率も低下した。

 こうしたダブルパンチによる人口減少は、とりわけ極東に極端な形で表れた。シドロフは「ソ連崩壊後、国家は極東を忘れてしまった」と憤る。

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 帝政ロシアは、18~19世紀の露土戦争に代表される不凍港を求めての南下政策と、コサックを先兵としてシベリアに植民する東進政策を、車の両輪のごとく推し進めた。ウラジオストクのもともとの意味はずばり、「東を征服せよ」である。

 シドロフによれば、ソ連も「植民政策」を引き継ぎ、北方・辺境地域に相当する同市の居住者には給与を3割程度上乗せしたり、年金も割り増したりして版図維持に努めた。90年代に、その特典が事実上廃止されるや人口は一気に中央へ流出、その流れが今も続いている。

 太平洋艦隊の母港で大半の工場が軍需目的だった同市で「軍民転換が思うに任せなかった」(沿海州副知事のビクトル・ゴルチャコフ)ことも、空洞化に拍車をかけた。

 かくしてロシア極東部の人口は約730万人、対する中国の東北3省は総計1億1000万人と、中国からロシアへの人口の“浸透圧”は強まっている。現地報道では、ビザなし越境した外国人はこの5年間で3倍も増えている。

 不法滞在の温床とも指摘されるこの制度や、外国人労働者の受け入れ自体の是非も現地紙では論じられている。それでも「多くの国で経験したことで問題はない」(ゴルチャコフ)と、実利を優先せざるを得ない事情が、今の極東にはある。

 さまざまな危機を内包して、ロシアは来月、サンクトペテルブルクで主要国首脳会議(サミット)を初めて主催する。=敬称略 (遠藤良介)

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【用語解説】人口危機

 ロシアの国家統計によれば、全土の人口は1995年の1億4846万人から昨年の1億4347万人へと10年間で約500万人減少。うち自然増減だけを見れば、95年以降は年平均76万8000人の減である。

 ソ連崩壊前の90年には人口1000人当たりの出生数が13.4人で、死者数は11.2人だったのに対し、2004年はそれぞれ10.4人、16.0人と今や完全に逆転。平均余命も90年の69.2歳(男63.7歳、女74.3歳)から、04年の65.3歳(男58.9歳、女72.3歳)へと急落した。
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by sakura4987 | 2006-06-26 08:14

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