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◆家庭で芽生える「個人主義」(3) (産経 06/6/28)


1人にこだわる定年夫婦

 昼食時。アジの干物を焼いてみそ汁と食べる小川有里(59)のそばで、夫(66)がカップラーメンに湯を注ぐ。最初はさすがに気の毒に思ったが、7年目にもなると、そんな感傷もなくなった。「夫を自立させるための第一歩」。小川はそう割り切っている。

 「昼食は各自が好きなものを作って食べ、後片付けも各自がする」

 埼玉県に住むフリーライター・エッセイストの小川がそう迫ったのは、大手電機メーカーのエンジニアだった夫が定年退職した翌日だ。

 それまでの家事と育児はすべて小川が、働きながら担ってきた。夫は朝7時前に家を出て、夜の7時半には帰宅するまじめ人間。夕食後や休日はテレビを見てごろごろするだけだが、どんなに暇でも家事を手伝おうとしなかった。

 小川も夫に何もさせなかった。「世話女房が偉い」と教えられて育ち、小川の父親も家事は一切しなかった。母親からは「だんなさんを大事にしなさい」と言われ続けた。

 しかし、夫が家に居続ける生活が目の前に迫って考えが変わった。「定年夫の昼食は妻にとって深刻な問題。自分1人ならお茶漬けですんでも、夫が食べるとなるとそれなりのものを用意しないといけない。外出もしづらくなる」

 ふいをつかれたためか、夫は案外簡単に、小川の要求にうなずいた。翌日からインスタントラーメンやカップラーメンの昼食が日課になった。「妻は夫の母親ではない」という小川の真剣さが伝わったからだろう。

 昼食に始まった「夫改造」は朝食後の皿洗い、風呂掃除、洗濯物の取り込み、庭の草むしり…と広がった。手取り足取りで教える家事。自分がやれば5分ですむことに30分かかることも。

 それでも夫が慣れるにつれ、1人でやるよりずっと早く終わり始めた。今では朝のゴミ出しでも、頼んだ家事はなんでもやってくれる。

 家事をこなせるようになって、サラリーマン時代は無趣味だった夫も変わった。週2回、パートの仕事に出かける一方で週3回、ダンス教室に通う。2人で楽しむ晩酌でも話題が増えた。

 「夫婦で一緒にダンスを楽しんでいる人もいるらしいけど、私は絶対いや。お互いに好きなことを楽しんで、何かあったら協力する。定年後は、いかに夫婦がすれ違い、顔を合わさないか。それが“離婚しない秘訣”だと思います」

 家事で浮いた分、自分のための時間が増えた小川はそう話す。

                 ◆◇◆

 団塊の世代の定年退職が始まる平成19(2007)年。NPO「日本ファイナンシャル・プランナーズ協会」のアンケートで興味深い結果が出ている。

 定年後、一緒に暮らしたい相手は男性は91・2%が「妻」。女性は「夫」が61・4%で、13・3%は「特にいない」。

 退職金はだれのものかの問いには男性の69・3%が「自分と妻のもの」だが、女性は55・4%が「自分のもの」。夫との共有収入と考える女性は24・1%しかいない。

 通信教育会社「ユーキャン」のアンケートでは、団塊サラリーマンの半数が「定年後の昼食は自分で作る」などと答えている。小川の夫は特別な例ではなく、定年後の生活で「1人」にこだわる夫婦像が、今後も広がっていくとみられる。

                 ◆◇◆

 『賢いあなたに〈ひとり〉が似合う』

 49歳で姑をみとった後、祖父母や父母ら5人の介護体験を本にまとめ、介護カウンセラーとして講演などにひっぱりだこの羽成幸子(57)は夫(62)とのセパレートライフに成功した一人だ。

 自営の機械設計製造業を5年前にやめ、木や草で作った趣味の作品をレンタルボックスで売る夫はほぼ終日、自宅にはいない。顔を合わせるのは朝夕の食事時だけ。寝室も別だ。

 今では自らカロリー計算して糖尿病用の食事も作る夫だが、羽成が4人の子育てと介護に追われるころは家事を全くしなかった。「それを根気よく教育しました」。食事の後、茶碗を台所の流しまでさげさせるのにさえ2年もかかった。

 変わった夫との同居の意味合いを「互いの安否確認」と言い切る羽成は言う。

 「困ったら助け合うのは当然ですが、一緒に生活していても思いは一人旅。どうせいずれはどちらかが先に死に、1人になるんですから」
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by sakura4987 | 2006-06-28 11:33

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