◆イスラエル、シリア領空威嚇飛行 「ハマス支援に警告」 (朝日 06/6/29)
http://www.asahi.com/special/MiddleEast/TKY200606290123.html
拉致されたイスラエル兵を取り戻すためとしてパレスチナ自治区ガザに侵攻したイスラエルの空軍機が28日、シリア西部ラタキアの大統領宮殿周辺を低空飛行し威嚇していたことが分かった。
さらに、イスラエルは29日未明までに、自治政府のシャエル副首相らハマス系の閣僚や議員らを一斉に拘束。
一方、AP通信によると、パレスチナ過激派組織「民衆抵抗委員会」がヨルダン川西岸で拉致したイスラエル人少年(18)を殺害したとの声明を出した。
ロイター通信などによると、28日朝、イスラエル軍がガザに侵攻したのとほぼ同時に、同国軍機4機がシリアの領空を侵犯。
アサド大統領が夏を過ごす大統領宮殿があるラタキア上空を飛び、周囲に超音速飛行による衝撃波「ソニックブーム」の爆音が響いた。当時、同大統領は宮殿にいたという。
イスラエル軍は、パレスチナ自治区ガザでソニックブームを住民らを威嚇する心理作戦の一環として使っている。
イスラエル軍報道官は同日、「イスラエル兵を拉致したハマスらテロリストをかくまい、支援しているシリアに対し警告を与えた」と述べた。イスラエルは、シリア亡命中のハマス政治部門トップ、メシャール氏が拉致事件の背後にいるとみて非難を強めている。
これに対しシリア国営通信は「許されざる挑発だ」と反発。また、メシャール氏側は拉致への関与を否定した。
また、AP通信などは、イスラエル軍はヨルダン川西岸地区のラマラなどで、シャエル副首相らハマス系の閣僚と議員ら少なくとも計20人を拘束したと伝えた。理由は明らかになっていない。
閣僚らは自宅やホテルなどから連行されたという。イスラエル軍報道官は「作戦は継続中」としてコメントを拒否した。
一方、「民衆抵抗委員会」が殺害声明を出したイスラエル人少年は西岸地区のユダヤ人入植者で、同委員会はイスラエル軍がガザに侵攻した28日にその拉致を発表、即時撤退を要求していた。
これとは別に、パレスチナ自治政府の旧主流派ファタハ系の過激派「アルアクサー殉教者軍団」が28日、テルアビブ近郊に住む62歳のイスラエル人男性を拉致した、との声明を出した。
パレスチナ過激派によるイスラエル人の拉致は、25日のイスラエル兵拉致以降、これで3件目。過激派各派が拉致を新たな戦術として多用し始めたとみられる。
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◆ハマス議員、閣僚ら拘束 兵士拉致でイスラエル軍 (CNN 06/6/29)
http://www.cnn.co.jp/world/CNN200606290034.html
エルサレム――イスラエル軍兵士の拉致事件で、同国軍は29日、空海陸からパレスチナ自治区ガザへ砲撃などを続け、自治区のヨルダン川西岸では前日からの作戦で、自治政府を主導するイスラム強硬派組織ハマスの閣僚、評議会(議会に相当)議員ら約64人を拘束した。
イスラエル軍によると、拘束は、テロ活動への関与の疑いを理由にしている。パレスチナ筋によると、拘束されたハマス系議員は数十人に及ぶ。閣僚は、労相、地方自治、宗教担当らが含まれている。
拉致事件の発生に合わせ、イスラエルの生存権認知を拒み、武装闘争継続を宣言するハマス内閣の失墜を狙った作戦に踏み切った可能性がある。
ガザでの攻撃では、イスラエルとの境界線付近に待機させていた戦車を投入。イスラエル兵拉致から4日間連続の攻撃となった。拉致では、武装組織「パレスチナ民衆抵抗委員会」が関与を認める声明を発表。
29日には、これも拉致したユダヤ人入植者の少年(18)を処刑したと述べている。少年の遺体は、自治政府議長府がある西岸ラマラ付近で発見されたとの情報がある。
イスラエル兵の拉致で、パレスチナ側は解放の条件として、イスラエルが収監するパレスチナ人女性や少年の釈放を要求しており、ハマス議員、閣僚の拘束は対抗手段ともみられる。