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◆【正論】JR東海会長・葛西敬之 何が真に糺されるべき歴史認識か (産経 06/7/14)


岐路に立つ今こそ誤ってならず


≪冷戦があぶり出した教訓≫

 通常国会も終わり、9月の自民党総裁選に向けて、政局が動き出した。マスコミは百年一日の如く、第二次世界大戦の「歴史認識」や「戦争責任の総括」を蒸し返し、靖国神社に参拝するか否かをそのリトマス試験紙にしようとする。

 それらの議論の特徴は「前の戦争」、すなわち20世紀後半の世界を覆い、40年以上も続いた「米ソ冷戦」については一切触れず、「前の前の戦争」である第二次世界大戦だけに偏執的思い込みを示す点だ。

 「米ソ冷戦」は双方が互いを絶滅させ得るほどの核兵器を保有し、その抑止力に依拠してにらみ合いを続けた新しい形の「第三次世界大戦」だった。

 民主主義の恩恵である言論の自由を逆手に取って「民主的」に共産主義を実現しようとした「国内冷戦」、ソ連で訓練され、ソ連に使嗾(しそう)されたテロリストによる自由世界への分断攻撃、朝鮮半島・インドシナ・中東の地域紛争等々、様態はさまざまであったが、それらはすべて「核抑止力」という土俵のなかで米ソがしのぎを削った戦争の切り口の紋様だった。

 自由主義と社会主義、民主主義と独裁、市場経済と計画経済という対立的価値観の正当性が争われた点でも、それまでの近代国際法が予定していた「主権国家同士の対等の戦い」とは異なっていた。

 21世紀への歴史の教訓は、この直近の「冷戦」の中にこそ見いだされ得る。何故ならば21世紀の世界は核の拡散、テロリズムの国際化など新たな要素が加わるにしても、基本的には共産主義の中国と自由主義のアメリカが核抑止力を以て対峙(たいじ)するという米ソ冷戦の変異型と成るに違いないからだ。


≪世界の変化無視する人々≫

 冷戦期間中の日本は民主主義、自由主義、平和立国、人権の尊重などすべての点で自由主義陣営の良き一員として国際社会に貢献してきた。この事実を一方に踏まえ、他方ではソ連、中国が内戦と侵略、自国民に対する人権の侵害に明け暮れた事実と照合して大局的な歴史の構図をまず認識すべきであろう。

 その上で国内的にはサンフランシスコ条約に反対し、激しい街頭運動によって1960年の日米安全保障条約改正を阻止しようと試み、文化大革命の狂気を礼賛してやまなかった人々の歴史認識が糺(ただ)されなければなるまい。

 それらの人々の思いが一部でも実現していたら日本の平和と繁栄は有り得なかった。この現実認識から21世紀への教訓をくみ取ることこそ、歴史に向かい合う正しい姿勢である。

 冷戦下における日本の意思決定と行動は挙げて「前の前の戦争」への反省に基づくものであった。つまり第二次大戦に対する「歴史認識」と「責任の総括」はその後60年に及ぶ現代史のなかで、実践により完了しているといってよい。

 加えてソ連の崩壊後、明るみに出始めた新事実により、第二次世界大戦観自体も修正を余儀なくさせられつつある。にもかかわらず、はるか半世紀以上も昔の視点で思考を停止させ、世界の変化に背を向ける。それは一体、いかなる人々で何故なのか。

 まず思い浮かぶのは冷戦時代を通じ、陰になり日なたになり社会主義、共産主義陣営に同調し、国の進路を誤らせかねなかった人々である。


≪国の命運賭けた選択の時≫

 彼らは冷戦時代の自らの過ちを隠すために、あえて「前の前の戦争」に衆目を誘導しようとする。中国政府の場合も意図は明白であり、一つにはその間の中国の凄惨(せいさん)過酷な歴史から人々の眼をそらすため、更には現政権に対する農村部などの不満を日本に転嫁するために「前の前」を持ち出すのである。

 加えて日本の国内世論を分断し、日米関係にも楔を打ち込めれば一石二鳥だという計算もあろう。中国に迎合すれば商売がやりやすくなるという幻想にとらわれた一部日本人の言動が中国をミスリードしてきたことも否定できない。

 その他に「消え去りたくない老兵たち」もいる。「前の前の戦争」を知る「語り部」、「生き証人」であることを存在理由とする以外に、政治に対する影響力を保持できない人々である。

 いずれにせよ日本は今、1960年の日米安保条約改正以来半世紀ぶりに国運を賭けた選択の岐路に立つことになった。アメリカ・民主主義・太平洋との同盟こそが日本の安全と経済的繁栄をもたらし、隣国との関係を良好にしてきた現代史の教訓を見誤らぬよう期待するばかりである。
by sakura4987 | 2006-07-17 10:39

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